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思い出のあの駅

中央線で西へ西へ下るとある、立川駅。

高校3年間通った駅。大学へ行っても、アルバイトや友達との遊び場として、一番使っていた駅。失恋した時もこの駅に集合して公園に行って、終電まで話を聞いてもらった。迎えに来てくれる車は必ず駅前のカラオケ屋の前に止まってた。ほかにも甘酸っぱい思い出がたくさん詰まった、大好きな駅だ。

今日は3か月ぶりにその駅で降りた。かれこれ15年近くお世話になっている美容師さんに髪を切ってもらうためだ。高校までの道をなぞるように歩く。部活帰りによく行ってたミスドは銀だこに変わっている。私がアルバイトをしていたエキュートのお店も今はもうない。あの頃一緒にオールをしたり、失恋にかけつけてくれたり、迎えに来てくれた友達も、もうこの駅を使っていない。

あんなにホームだったこの駅が、今ではなんだかよそよそしくて、ぽつりと別世界に入り込んでしまったように思えた。そこが思い出になるかどうかって、場所だけじゃなくて「誰とどんなことをしたか」がすごく重要で、思い出になる=いまはそこに誰もいない、ということなのかなと思った。そう考えると思い出って、ちょっと切ない。

美容院が無くなってしまったら、私はもうここに通うことはないと思う。「お気に入りの美容師さんがいた立川駅」として思い出になってしまう。まだそれは、思い出にはしたくないなぁ。

テーマ#思い出の駅


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