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モチベーションの源
この人のために頑張りたい、と思う人がいる。職場環境がすごくいい。
訪日観光客向けに作る日本語の記事は、ほかの言語に翻訳した後のリーチが重要になる。海外の人がターゲットとなると自分の感覚はほとんど通用しないので、数値で見るか、ネイティブの編集者の意見を聞きながらどんな記事を作っていくか検討する必要がある。
今、隣で働いている同僚は、女性の台湾人編集者だ。鈴のような声をしていて、よく笑い、よく怒り、よく観察する女の子。ブロガーで作家でもあり、さいきん台湾で自分の本が出版されたので、今月末に帰国してサイン会をすると言っていた。
その子が書く記事は本当にニーズを押さえていてよくバズっているし、本人もすごく楽しそうに取材をしているので、困った時は彼女に相談をして、どんな方向性にするかを考えるようになった。
「この記事で何が言いたいの?」や、「ライターの考えはどこに入っているの?」など、改めて聞いてくれるのもありがたいし、取材先を選んだ時も、どんなふうに考えて選んでいるかを聞くと、必ず理にかなった理由があるので、いつも勉強になるなぁと思って聞いている。
けれどそれだけじゃなくて、喜怒哀楽を思いっきり出してきてくれるところにいつの間にかメロメロになってしまい、「彼女のために頑張りたい」なんていう気持ちが芽生えてしまった。
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私が書いた記事が他の言語で人気になると、「もりもり(私のこと)の名前があるよ!」と嬉しそうに報告してくれたり、体調が悪いと報告すると、体に良さそうなものをたくさんくれたり、それでも夜は飲み会が……なんて言った時には本気で怒ってくる。そして時間を置いて何度も「今日、ほんとに行くの?」と聞いてくるのだ。
席を変えて仕事をしていると、戻った時にちょっと拗ねて「もりもり全然いない」とか言われるので、何それ可愛すぎじゃないかと思って「ごめんね」と謝った。その代わり、取材の後にオフィスへ戻ると「待ってたよー!」と言ってくれるから、もうメロメロにならざるを得ない。
彼女に届く荷物は私が持ってるハサミを使って切ってあげたり、「この記事ほしい」と言えば取材に行ったり、傍から見ればいい感じに使われているのだけれど、「もりもりは私の愛人だから」と嬉しそうにしているのを見ると、彼女が楽しそうならそれでいいかな、なんて思えてきてしまうのでちょっと危ない。ちなみに“愛人”は、中国語で恋人の意味らしい。
いつも穏やかな人も素敵だな、と思うけれど、嬉しい・イライラ・悲しいがはっきりしている人にすごく魅力を感じるし、そうなれたらいいなぁと思う。感情が正直に出てしまうからこそ、「楽しく仕事がしたいの!」と言ってダメだと思っている点をどんどん改善しようとする、そのエネルギッシュなところを見て、彼女が楽しんで仕事していられるように頑張りたいなぁと思う。
今の仕事それ自体も十分好きだけど、モチベーションの源はどこかというと、やっぱり人なんだよなぁ。日々彼女から学んでます。
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