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困難から生まれる文化

土砂降りの仙台に取材に来ている。昨日の誕生日に買ってもらったばかりのスーツケースは土砂降りのなか旅行デビューを果たした。届いたときに入っていたビニール袋をそのままかぶせて、雨の中の仙台を一緒に歩く。

取材した場所は4件。30分バッファを見てスケジュールを組んだのが功を奏して、無事なんとかスケジュールどおりにまわることができた。すべての取材を終え、ゲストハウスから徒歩5分の銭湯で今日の取材で聞いた話を振り返ると、「トラブルの後の文化形成」というキーワードが浮かんできた。

「第二次世界大戦の空襲で本店が消滅してしまい、別の土地に立て直して復興に努めた」という店舗。「戦後に食べるものが無かったから、お腹いっぱい食べれらるように作られたのが牛たん定食」と話す牛たん屋さん。どれも今では、50年以上もの歴史をもって仙台の地で営まれている老舗店舗だ。

また「東日本大震災の後でも、お客さんの様子や売れるものも変わってきたような気がします」とも、老舗店舗の店長が話してくれた。感覚のような話しぶりだったけれど、それはきっと一理あるのだろうなぁと思う。

「何も無くなってしまった」状態から作りなおしていく作業は、もともと何もないところから作るよりもかなりエネルギーがいる。もともとあった、活き活きとしていた過去を知っているからこそ、「昔はよかった」に打ち勝つ何かを作る必要があるからだ。

そして、そこで生まれてきたものこそが、新しい文化の形成につながっているのだろうなぁとも思った。つらい所からスタートした取り組みは、“よかった”過去よりも深みがあるような気がしたのだ。

戦後の復興でできた文化を、もっとひも解いていきたいな、と思う。東日本大震災で誕生し始めている文化にも、もっと関わっていければうれしい。

明日は松島取材です。

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