見えないものを信じたって

余白のある人と一緒にいると、深く深呼吸する余裕が生まれ、信じたいものを信じられるようになる。

1年ほど前に出て行ってしまった同居人が、最近また戻ってきた。彼女のことが大好きだったので、戻ってくれてからまた、リビングでよく話すようになった。のんびりとした、余白のある彼女。気がつくと私は、いろいろなことを相談している。

今日は、悪夢ばかり見てしまうことを話した。金縛りや怖い夢は、きまって月に1度くらい見ているけれど、最近はそれにも増して頻度が多い。遠方取材でのビジネスホテルだったり、宿坊だったり。そして昨日は自宅で悪夢にうなされた。

夢の中で夢を見ていて、金縛りになった(最近の夢はいつもこれだ)。金縛りから解放されたくて、夢の中で目を開けたら、正面で私が睨んでいる夢だった。正面の私に頭をつかまれたところで、すべて目覚めて飛び起きた。眠り始めてから30分以内の出来事だ。

どんよりしながら話す私を見ながら、表情を変えずうんうんと聞く彼女。少し間をおいて、「なにか悪いものがいるのかもしれないね。取材から持ってきちゃった?」なんて聞いてもくる。直近の取材では、神社で護摩祈祷してもらったんだけどな……。

どうなんだろうと悩んでいると、「いいものあるよ」と言って部屋から“お清めの塩”を持ってきてくれた。ダイニングテーブルにあるティッシュを1枚とり、小皿1つ分くらいの塩をていねいに包みながら、「見えないものも、あるとおもうんだよねぇ」なんて話す。


原因がわからないけれど何か不調だ、という時は少なくない。むしろ年を重ねるにつれて、だんだん増えてきているような気もする。

そんな時は信じたいものについて、信じて進むことが必要なのかもしれない。大きく深呼吸して、あぁ、どうしようと考えて。そうやって彼女が行きついた先が、「お清めの塩を持っておく」ことだったのかもしれないなぁ。

私はというと、怖くて飛び起きてからはひたすら症状をネットで検索し、睡眠外来にいったらどんな薬や治療がうけられるのかばかり考えていた。なんだか余裕がない。

今日は、もらった塩を枕元に置いて寝てみよう。いい夢見られますように。

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もりやみほ
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