家庭は分業か、共同経営者か
「多分わたし好きだろうな」と思って見始めたドラマに、結局あまりハマらなかった。
つまらなかったわけじゃない。のほほんと毎週見ていたのだけど、琴線にふれることがなかっただけだ。主人公との年齢差だろうか、このひっかかりの無さは何なのだろう。
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最近、逃げ恥の最終話を見てホロホロ泣いた。見るのは3回目だったのに、ちゃんと泣ける。逃げ恥はいつ見ても共感するし、登場人物のみんなを好きになってしまう。どうしてこんなに、感情移入できるのだろうか。
要因はきっと、“コンプレックス”にある。
「誰かのため」と一生懸命になっても、「こざかしい」と思い込んでしまう。頑張りたいのに、頑張っても認められるフィールドが見つけられない。「自分が好かれているわけがない」と、殻に閉じこもってしまう……。
そのコンプレックスがとてもリアルに、そして繊細に描かれていて、さらに一筋縄ではいかなくて。ちょっとづつ、根気強く向き合って、解決に向かう過程に共感していったのだと思った。
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昨日まで見ていた『私の家政夫ナギサさん』は、描かれているキャラクターのコンプレックスがどうしても自分事に見えなかったなぁと思う。そして、解決までのスピードがずいぶん早いドラマのように感じた。「やればできる」の呪いはかけられてきた方だけど、染み付いてしまった潜在意識は1回倒れたくらいで改善されない。
みんな素敵なアドバイスをくれるし、いい人なんだけど、ものわかりが良すぎてどこかテンプレート的なものを感じてしまったのだ。
それに、今までは有料で家事をしてもらっていたナギサさんが、これなくなってしまったら結婚して無料で家事、といった流れに、みくりちゃんがモヤっとした“好きの搾取”を感じてしまった。「わかるよ!」なんて声高々に共感していた私にとって、この展開はちょっと立ち止まって考えたいところだ。
とはいえ世の中には、家事が大好きで、専業主夫になってやりたいという人もいると思う。そして仕事が忙しいから、家事はすべてパートナーにお願いしたいと思う人だっている。男女関係なく「分業派」の人がいるはずだ。このドラマはそう思う人たちを肯定するために、どんな形でも大丈夫、というメッセージを込めて、作られているのだろう。
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私はというと、家族は「共同経営者」だと思っている。家のことは分担して、何かあれば話し合いを設け、そしてどちらかが大変な時には、サポートし合える関係でいたい。だからこそ、分業制が自分事化できなかったのかもしれないな。
新しい形を伝えるドラマは、学びが多いです。
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