見出し画像

学校では教えてくれない  2024/5/16

20年ぶりに会った友人がいる。名前は玉ちゃん。彼は「食とアニミズム」というテーマで今食べているものがどこを発祥にどう変化を遂げて今に至るか、という自主研究をウェブサイト上に展開している。興味がある人はぜひサイトを覗いてみてほしい。

数ヶ月前私は、その「食とアニミズム」について、玉ちゃんがFacebookに投稿した内容にとても興味をそそられ、思わずダイレクトメッセージを送った。

ご無沙汰も何も20年ぶりだったものの、すぐにメッセージの返信がきて、玉ちゃんの拠点でお昼ご飯を食べながら近況報告会をした。そこから3ヶ月後には、仕事をいくつか一緒にする展開となった。(この話は本題ではないのでいつかまた)彼は、コンテクストデザイナーと自らを名乗っている。文脈を編集・デザインするデザイナーである。先の「食とアニミズム」もそれに該当する。インターネット勃興期に最盛期のSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)に潜り込んで学び、ウェブデザイナーを経て、多くの情報を編集し見せていくという情報デザイナーから最近、肩書をコンテクストデザイナーにしたという。

それってどういうことなのか。これが面白かった。1995年にMITメディアラボの創設者ニコラス・ネグロポンテがFrom Atoms(物質) to Bits(情報)に世界がシフトすると予測をした。実際、世の中は、インターネット中心の世界に呑み込まれるように急速に変化した。玉ちゃんもちょうどその流れに乗った生き方をしていた。

しかし玉ちゃんはある時、今度はBits to Atomsだ、とハッとしたそうだ。伊藤若冲のヘチマ(「糸瓜群虫図」)の絵を見た時になんと情報量の多いことかと感嘆したことがきっかけというのも面白かった。ヘチマのツルの周りに生き生きと虫たちのそれぞれのいい瞬間が描かれている。絵の中には11匹の虫がいて、ヘチマにはところどころ虫たちに食べられた穴がある。ネットを超えた情報量であり解像度ではないか!と。また、山を見上げると気温や天気によって雲が生まれ山に覆い被さるように動いている。これもネットだけだと見えない解像度。やっぱりリアル世界はすごいぞ、と。それをきっかけに情報デザイナーからコンテクストデザイナーと名乗ることにした。

リアル社会の情報や状況をどう読み解いていくか、インターネット、そしてAIの発展とともにもっと重要になってくるだろう、と玉ちゃんの話を聞いていて実感した。ネットで調べられる範囲でリアル社会を見ていても、見えていないことがたくさんある。(MIDORI.soで働くこともリアルの大事さを漠然と感じているからというのがあるのだろう。)

先日は、玉ちゃんの里山フィールドワークに同行させてもらった。道を歩いていて、食べられる花や草って分かりますか?しかもどうやって料理をして食べればいいかって分かりますか?え、表面的にしか知らない。リアル社会に身を置いている自分の見ていることの解像度の低さに愕然とした。だって、そんなこと学校じゃ教えてくれないじゃない(笑)って弁解したくなるくらい。

SDGsやらサステイナブルやら、リジェネラティブやら色々な言葉が飛び交うけれど、そんないい社会を本気で作るなら、それぞれがリアルで生きるための解像度をあげないといけないんだろうな。学校では教えてくれない、なんて言い訳はできないわ。

いいなと思ったら応援しよう!