
採用担当者が成果を最大化するために意識すべきこと
お疲れ様です。
みほ(https://twitter.com/miho_career)です。
本日は、日ごろから採用支援をしていて感じる、採用担当者が成果を最大化するために意識すべきことについて話をしてみようと思います。
これは、自分が過去に人材紹介会社で勤めていた時の経験、そして会社員時代からこれまでの採用業務の経験を元に、上手くいったことやそうでなかったことを振り返り、採用で成果を出すために必要だと感じたポイントをまとめたものです。
採用担当ではあるけど専門は他の領域である方、未経験から採用人事に転身したけどなかなか仕事に手応えを感じない方、また、経験のない職種の採用業務を依頼された方で早く立ち上がりたい方のお役に立てるかと思います。
スタートアップや中小企業向けのエージェントで決裁者向けにアプローチしている方も参考になるかもしれません。
読んでいただいた方の気付きになれば幸いです。
御用聞きにならないこと
採用担当者が陥りがちなミスの一つは、事業責任者などの現場の採用責任者から言われた条件を『はい!分かりました!』とあっさり引き受けて採用活動をスタートしてしまうことです。
採用は、依頼された条件を満たす人材を探す単純作業ではありません。
私が考える採用担当の仕事は、経営者や事業責任者と同じ視座を持ち、その人たちと一緒に組織の未来を設計し、構築していく仕事です。
その外部窓口を担うわけですから、求職者やエージェントに対して、経営者や事業責任者の想いや会社や事業の未来をその人たちの代わりに語れる存在でなければなりません。
採用担当者は単なる採用活動の作業担当ではなく、会社の未来を創る経営者や事業責任者のパートナーであるべきだと私は思います。
採用担当者がすべきことは、事業や組織の状況を深く理解し、自分自身が現場責任者になったつもりで組織作りに関わる意識を持つこと。
採用要件が現場から出てきた時に、言われるがままに進めるのではなく、なぜその要件が出てきたのかを深堀して事業と組織の全体像を理解することが必要です。
採用したい層の方からの応募〜内定承諾を実現するためには、募集背景や人物要件の背景などを求職者やエージェントに聞かれた時に、経営者や事業責任者に代わって、会社や事業、組織の状況を踏まえた過去・現在・未来をストーリーで語れるくらいの理解は最低限必要だと考えています。
現場理解の目的と深め方
ここで理解を深めるものは3つ。
事業と組織、そして担当職種です。
では、採用担当者は具体的にどうやって事業や組織、職種の理解を深めていけばよいのか。
現場理解が大事であることは分かっているが、理解の仕方が分からないという人は少なくない印象を受けますので、まずは担当する職種の理解について話します。
ありがちなのは本などを読み漁り知識のインプットをひたすらする人。
試験勉強のためのインプットではないので、情報をただ”暗記”するのは採用の成功に直接結びつきません。
たとえばエンジニア採用がいい例ですが、自分が経験のない職種の採用を担う場合は特に、このやり方に陥りがちです。
でも、専門用語などを覚えることは手段であって目的ではありません。
もちろん専門用語の理解は必要ですが、それだけでは成果に結びつかず、あくまでインプットの目的は、母集団形成や内定承諾に繋げることなど、採用を成功させることにあるということ。
採用は営業プロセスと似ていると言われますが、人の心を掴んで動かすというプロセスが必ず発生する点では非常に似ています。
そのためには、ターゲットとなる人々の抱えがちな課題、心情を理解することが重要です。
私はその業界や職種の人なら全員共通認識のある”業界・職種あるある”は昔から必ず確認するようにしています。
彼らがどのような悩みや不安を抱えているのかを知り、よりその人の心に響く採用メッセージを作ることが成果に繋がるからインプットするんです。
これが職種理解の目的です。
職種の用語などを覚えて知識をインプットしても、その職種に就いている方の理解が進んでいないなら、それは理解不十分だということ。
母集団形成がうまく進んでいない時は、ここが不十分だった、というケースもよくあります。
次に事業と組織の理解です。
この目的は、求職者に本人が求めている情報や必要な情報を質高く伝え、興味を持ってもらい、応募や内定承諾に繋げるためです。
自分が求職者だったら、転職時に何の情報がどのくらいあればいいか?を考える。そして、それを求人票やスカウト文などに盛り込もうとすれば、事業や組織の理解が必要になってくることは言うまでもないです。
事業であれば、ビジネスモデルはもちろんですが、顧客の特性、業界動向、自社サービスが顧客や世の中に与える価値は何なのか、競合はどこで差別化要素は何か、今後の展望や方針、複数の業界・プロダクト・事業ドメインなどがある企業の場合は、どのような背景でそのような展開になったのかなどの変遷などは、転職活動を熱心にやっている方であればあるほど気にします。
そして、採用活動が始まれば、求職者やエージェントからどうせ聞かれるであろう項目です。
求職者から聞かれそうなことは聞かれてから現場に確認するのではなく、先回りして聞いておくこと。そのくらい、求職者の視点に立つ努力はした方がいいです。
これを理解した上で求人票やスカウト文などを書けるかどうかで、母集団の量と質は全然変わってきますし、応募してくれたあとの面談や面接で候補者が企業に対して抱く印象も変わります。
“求職者やエージェントから質問をされて全然回答できない採用担当”というのは会社にとって良い印象になることはないですし、母集団形成や、下手をすれば会社のブランディングにも影響します。
組織の理解も事業の理解と同様の目的と手法で行いますが、今ここまで述べたことを行う時によく出てくるのが、採用の4P(※)の整理です。
※Philosophy(理念・目的)、Profession(仕事・事業)、People(人材・風土)、Privilege(特権・待遇)のこと
私は、支援で採用活動を始める際に一番最初にこれをやります。戦略を練る時にまずここに時間をかけて現場の方々と一緒にすり合わせしていますが、もし社内でこの洗い出しとすり合わせが済んでいないようであれば、ぜひここを整理しておくことを推奨します。
ポイントは、現場の人と一緒にすり合わせること。
採用担当と現場、お互いがお互いに丸投げをせず、共通認識を持って一緒に採用活動を進めることは採用成功の1つのポイントと言えます。
物事の本質を掴む
現場理解に必要なのは現場へのヒアリングですが、このヒアリングの仕方でも結果は変わってきます。
ヒアリングの目的は、求人票や説明資料に魅力的な情報を展開し、求職者がエントリーしたくなるようなメッセージを作ることにあります。
しかし、ヒアリングした情報が薄かったり抽象的すぎたりすると、訴求力のある求人やメッセージにはなりません。
効果的なヒアリングを行うためには、事象と具体的なエピソードをセットで掘り下げて聞くことが重要です。
たとえば、やりがいは何か?を聞きたい場合、「やりがいは何ですか?」と聞くだけでは非常に薄い話になります。
具体的に、どんな場面でどのような感情になったからそう言えるのか?まで伺ったり、それは前職では感じなかったのか?、だとしたら、前職と今との違いは何か?まで聞く、ということ。
そのほか、「〇〇業界出身者が活躍しています!」と言う文言も同様で、これだけ書かれていても、このメッセージを見た側としては、なぜ?という疑問が出てくるためそこで止まってしまい次の行動に移しにくいです。
なぜその業界の人が活躍できるのか?どのようなスキルがどう現場で活かされているから活躍できるのか?まで具体例を聞いておくとより説得力が増し、ちょっと話を聞いてみようかなという行動に繋がりやすくなります。
さらに、仮説を立てて質問をすることもおすすめです。
あれもこれも、ただ現場に質問を投げるだけでなく、自分で調べた情報やインプットした知識をベースに仮説を作り、「これってこういう解釈でいいのでしょうか?」というように現場にぶつけながら聞くことで理解が深まります。
道案内された経路は忘れやすいですが、自分で調べて目的地まで到達できたルートは記憶に残りやすいのと同じ原理で、自分で調べて、自分で思考するプロセスが自分の知識の定着にも役立ちます。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
採用Tipsは時代やトレンドと共に変化するので、一度覚えたからといってずっと使えるものではありませんし、担当している職種が変われば通用しないものも出てきます。
採用を成功させるには、現場理解力や現場との連携力も必要です。
採用担当者は、企業の未来を左右する重要な役割を担っています。
言われるがままに進めるオペレーターではなく、戦略的な視点と当事者意識を持って業務に取り組むことが大きな成果に繋がります。