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夜の刺客と全自動のありがたみと息子のメガネの話。
ここ最近夜寝る時になると、蚊が刺客のように現れて参っていた。しかも3日連続で。もう送り込まれているとしか考えられない。 奴らはどこから侵入してくるんだろう。玄関の扉から? 庭に出入りするために開ける掃き出し窓から? 換気のために開けた窓の隙間から? 取り込んだ洗濯物にくっついて?
蚊が一匹部屋に侵入しただけで、その夜の安眠が妨害されるから勘弁してほしい。
“戦う”? “無理やり寝る”? さあ、どっち? ロールプレイングゲームのような選択肢が頭に浮かぶ。
ここは「戦う」だろう。だって明かりを消した一、二時間後には、ブーンと耳元で嫌な音がしてどうせ起こされるハメになる。それか、なんかやけに腕がかゆいなぁと、不快な痒みに耐えきれなくなって目が覚める。大体そんなパターンだ。
しかしこちらは臨戦態勢でも、蚊はなかなか姿を現さない。こっちが寝静まるのをじっと待っているのだろう。腹立たしい。
せっかく見つけたと思っても、今度はなかなか捕まらない。最近の蚊は進化しているのか、目でずっと追っていてもUFOみたいに変則的な動きをするから(UFO見たことないけど)見失う。というか、壁に止まった瞬間に息の根を止めてやる(言い方!)と思ってじーっと視界に入れているのに、本当に忽然と消える。あれは消えたとしか言いようがない。 瞬間移動してる?
「おのれ、にっくき蚊め!」と三十分から一時間奮闘してエネルギーを消耗し、なんとか決着をつけて眠りにつくパターンが出来上がってしまったここ数日だった。
ちなみに殺生をしたら(たとえそれがGであっても)「南無!」と言い添えることは忘れない。
昨夜は蚊が出なかった。でも眠れなかった。呼吸に意識を向けていたら、なんだか呼吸のリズムとかタイミングがよくわからなくなって、息苦しくなってしまった。頭とか指先が痺れる感覚がじわりときた。怖くなってムクッと起きて、廊下や別の部屋をうろうろしてなんとか自分を落ち着かせた。「いや、アホなの?」と自分にツッコミを入れたけど、小心者の私には恐怖だった。
そして思い出す。 まばたきとか心臓の鼓動とか胃が食べ物を消化することとか。身体は私の意識とは関係なく、いつも働き続けてくれているという事実を。 よく言われていることだし、時々思い出して鈍感に謙虚さを欠いて生きる自分を戒めようと思うのに、平和な時ほど忘れがちだ。いつもご苦労様です。しみじみと労い、感謝の意を伝えた。
結局数時間ごとに目が覚めてしまい、今朝はちょっと寝不足に。 なぜかタバコを吸う夢を見た。 ショートホープ? あの小さめな箱の。 喫煙の習慣はないのだけれど。思い出したのは、昔、母の鞄の中にショートホープの箱を見つけてしまったことだ。いつだったか。 私が大学生の頃だったか。 母も喫煙者ではないはずだった。そんな素振りもなかったから驚いた。色々ため込んでしまう人だったから、ガス抜きの 一 つだったのかもしれない。そう思って当時、見なかったことにしたのを覚えている。
何はともあれ、 少しぼんやりした頭でも、 今日もオレンジ色の朝日を拝めて良かった。
今朝、息子は買ったばかりのメガネをかけて 「これかけてると、勉強できる人みたい」と、鏡を見ながらニヤニヤしていた。単純なやつめ、と思ったけど、ずっとメガネをかけたいと言っていたから嬉しいのだろう。
玄関でマスクをつけた息子。 瞬く間に眼鏡は曇った。
息子「これ、どうにかならんの?」
私「いや、マスクかメガネか選べや」
息子「んー、ま、いいや」
息子はマスクを顎へずらすと、それでも嬉々としてメガネをかけて登校していった。ま、徒歩通学だし、危険ではないだろう。
ゲーム三昧のくせに息子の視力は悪くない。メガネはダイソーで購入したものだ。お気づきかと思うが、度は入っていない。
昔、乱視が入っていると言われて、視力矯正のためのメガネを一時期かけていた息子。けれど、買ってから一ヶ月経たないうちに遊びに行った先のどこかになくしてきた。
「ええーっ!安くなかったんですけど!?」
小一の息子を思いきり睨みつけ、ほっぺたをむぎゅっと挟んでやった。
しかし眼科でも、“視力矯正はもう少し小さいうちからやっておかないとあまり意味がない”みたいなことを言われていた。それに近視で黒板が見えないわけじゃない。だから、もういっか、とその後再び眼科へ行くことはしなかった。そうしたら、その後の小学校の視力検査では、裸眼でABCの評価で、毎回両目ともA。つまり問題がなかった。
「メガネ、なくなってよかったんじゃん!」
と息子に言われた時は、ほっぺたをつまんだまま、思いきりぐるぐるしてやった。
そんなことを思い出して笑える自分は、きっと幸せなのだろう。