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本はタイトルだけでも味わい深く、役に立つ。

読んだ本の内容は、忘れていることが大半だけど 、きっとちゃんとクラウドのようなところにポイポイ放り込まれて溜まってる。それは必要な時に取り出せないし、内容そのものは一生思い出せないかもしれない。でも、無意味なことではないと思う。少なくとも読んでいる最中は楽しんでいたはずだし。


それはさて置き、最近自分の中で、役に立っていると思うものがある。それは本のタイトルだ。短い言葉の中に、深い想いがぎゅっと詰まってる。私が特に頻繁に思い出すのは以下の3つ。

『読みたいことを、書けばいい。』
『思考中毒になる!』
『あっという間に人は死ぬから』


この中には読んでいない本も混じっている。 でも、タイトルを思い出しただけで、なんだか姿勢を正したくなるのだ。


まず『読みたいことを、書けばいい。』
私は最近ものを書くとき、これしか意識していないかもしれない。自分が読みたいとも思えないことを書いていてもつまらないから。 それに、何度読み返しても誤字脱字はある。だから、書き上げたら必然的に自分の文を繰り返し読むことになる。それもあって、読み手の自分が「ちゃんと楽しませてよね」と、書き手の自分の肩にポンと手を置くように、圧をかけているところがある。実際に書き上がったものは、まだまだ未熟だけど。心構えとしてはしっくりきているし、ブレないためのいい指針になっている。


『思考中毒になる!』は最近読んだ本。感想文を書くつもりもなく、最初は斜め読みしようと思った本。結局ぐいぐいと最後まで読まされてしまった。内容ももちろん良かった。でも大事なことは、タイトルに集約されていると思う。
普段から頭を使って考えろ、深堀りしろ、思考することを楽しめ、ということ。“中毒”には、依存症とかマイナスな悪いイメージがあるけど、人は誰しも度合いは違えど何かに依存しているもの。心身が健康なら、それは“夢中”と置き換えられる。思考することは“筋トレ”のようなもの。ひらめきが降ってこないかなぁ、なんてぼんやり頭の中をお花畑にしている場合じゃない。日々修行だ、とこのタイトルを思い出すたび、はっとさせられる。


『あっという間に人は死ぬから』は、統計学で有名なサトマイさんの本。でも、読んではいない。YouTubeの本要約チャンネルや、この本を紹介している記事などを少しのぞいてみたくらいだ。別段、タイトルに新鮮味はないかもしれない。“死を意識して今を生きろ”というメッセージは、無数に存在している。でもシンプルでストレートなこの言葉が、本当にしみる。最近、切に時間の流れの速さ、容赦のなさを感じるからというのも大きい。


ベルトコンベア式に義務教育というものがあって、親や周囲の大人、世間が、やるべきことをなんとなく教えてくれていた子供時代。周りを見渡せば、同じ方向に同じように進んでいる子たちがいて不安はなかった。 こういうものだと思っていたし、疑問も持たなかった。
それがある時、急に冷や水を浴びせられたように、人が多い場所からポンと弾き出されて(自分で飛び出たのかもしれないけど)ああ、人生って自分で考えて決めていかなきゃいけないんだ。 せいぜい3択くらいの選択肢から「これでいいかな」って選ぶものじゃなかったんだ。ぼんやりしていた私は、そんな単純なことに大分遅れて気がついた。
気がついたものの、なんとかしなくちゃ、と焦るだけ。不安からほんの少し動いては、小さなことに打ちのめされて、また閉じる。その繰り返し。もうなんにもしないで、ふわふわと漂うように生きていれば楽かもしれない。葛藤と虚無感と、やっぱり諦めきれない気持ち。そんなくだらないことに、エネルギーを消費していたように思う。なんて暇人。 あの頃、特にやたら眠くて、疲れやすかった。きっとこんな風に頭の中で無駄なことを、ぐるぐると考えていたせいに違いない。今、あの頃より少しすっきりした心と体で、そう思う。


時間は有限。もうみんな耳にタコができるくらい、周知の事実。だけど、目の前のことでいっぱいいっぱいで、わかってはいてもすぐ忘れるのも事実。ちゃんと心に留めておきたい。
今、少しやりたいことがある。でも現状に余裕がないのにできるのかなとか、また失敗するとか、始める前に頭でごちゃごちゃと考え出して目を回している自分がいる。面倒くさい奴、と思うけど、死ぬまで付き合っていくしかないのだからしょうがない。
ダラダラしたり、ぼんやりすることもたまには大切。だけど延々と解決しない思考のループにハマりだしたら『あっという間に人は死ぬから』のような、パンチの効いた言葉を思い出したい。
本のタイトルに限らず、すごくシンプルなのにその一言に全てが込められているようなパワーワードって、即効性があると思う。それではっと目が覚めたら、熱が消えないうちに動こう。感情の鮮度は大事だ。近頃、そんなことをつらつらと考える。


今、これをカフェで書いている。なんとか予定時間内に、本文はまとめられた。家に帰る道すがら、何かいいタイトルを考えようと思う。日々、筋トレだ。



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