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#43 止めてはならない

笑いの大学とともに気になっていた

Show must Go on

昔の劇がDVD化されていたものを購入した。

今ならアウトかもしれない演出もわかりやすさを際立たせる。
劇の舞台裏のドタバタが笑いを誘う。
そして最後はわかってもらえないせつない気持ちにつつまれる。

決してNoと言わず献身的に動き回る女性
調子のよい裏方
自分の書いたものがどのように演じられているのを楽しみに来た脚本家
息子が出社拒否のため代役を名乗り出た父親
破損された小道具を修理するために呼ばれた伝説の職人
配役に不満をもった俳優に、役をはずされた俳優
ベテランでだれも逆らえない俳優

そしてメインとなった役が
どのようなトラブルでもベストをつくして奇跡的に劇を止めない舞台裏の責任者。それが、第三者に理解されなかったとしても。

想定外のトラブルが彼に次から次へと襲い掛かる。
まるで冷蔵庫にある材料で調理する料理人のように、
舞台裏で展開するイマジネーションが観る者の感動を巻き起こす。

劇中劇が終わった後、 1人1人と離れていき、ベテラン俳優には、罵声すら浴びせかけられる。

トラブルがあってもとにかく劇を止めないことが彼の使命。
そのための彼の行動が他の立場からは、時に冷たく映ったり、切なく感じる。

もし30年前に見たならば、さえない役者に感情移入したかもしれない。
今見ると断然この舞台裏の責任者に肩入れしてしまう。

俺がいなきゃ劇は途中で終わっていたんだ。
強く叫んでもいいようなラスト。
でも彼がそれを言うことはない。

きっと明日もトラブルが彼を待っている。
それでも劇を止めないよう全力をつくす。
そこが彼の守るべき居場所だから。
          


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