ジャムグン・ミパムの、涅槃日
今日は近代チベット仏教の巨匠、ジャムグン・ミパム(1846–1912)が円寂された日(チベット暦四月二十九日)にあたります。
ジャムグン・ミパムは文殊菩薩の化身とされ、文殊上師とも呼ばれます。私の師匠から三代遡った先生にあたります。
古訳ニンマ(ニンマ派)の見解の先生でしたが、超宗派的なお立場を採られた先生として知られます。
超人的な頭脳をお持ちで、仏教の中観・唯識・如来蔵・論理学(印明)をはじめとする膨大な著作は、今でも僧院大学の主要テキストとして僧侶の教学に採用されています。
それだけでなく占星学、占術、詩学、芸術論など多くの分野に通じておられました。
特に『入菩薩行論』第九章(智慧波羅蜜の章)の膨大な注釈書『ノルブ・ケータカ』や、中観哲学の正しい見解を示された『確定智の燈明』、インドからチベットに初めて僧戒(比丘戒)をもたらしたシャーンタラクシタ(寂護)先生の著作『中観荘厳論』の注釈書、釈迦牟尼仏の儀軌、文殊菩薩の成就法、孔雀明王の成就法などは師から伝授をいただいており、私にとって大切なものです。
また十万回の加行を終えて伝授が許された「グル・リンポチェ七句祈願」の注釈書『パドマカルポ』も宝のような教えです。内容的には古訳ニンマなのですが、「時輪金剛」(カーラチャクラ・タントラ)や「喜金剛」(ヘーヴァジラ・タントラ)など新訳派経典からの引用も多くあり、新訳・古訳のあらゆる密教に通じておられたことがうかがえます。
ジャムグン・ミパムは、今日の古訳ニンマの宗義を大成されたといっても過言ではありません。
今夜はその偉大な先生を偲んで、先生がお作りになった釈迦牟尼仏の儀軌を中心に執り行ないたいと思います。
本邦初となりますが、ジャムグン・ミパムの舎利(遺骨)が収められた仏塔を公開します(下の写真)。
文殊上師のお加持が私たちに降り注ぐことで、無明を払うことができますように。
サポートは、気吹乃宮の御祭神および御本尊への御供物や供養に充てさせていただきます。またツォク供養や個別の祈願のときも、こちらをご利用ください。