【統計力学】 解く計算の流れ一覧
自分の院試対策用にまとめておく.
1. ミクロカノニカル分布
外界の熱浴と粒子交換がなく, エネルギーのやりとりもしない系
i) 与えられたHamiltonianに対して, $${E\backsim E+\varDelta E}$$ 内の状態数を求める.
$$
W_c=\frac{1}{h^{3N}}\int _{E\leq H \leq E+\varDelta E}d^3r_1\cdots d^3r_Nd^3p_1\cdots d^3p_N
$$
※ なお, 量子系の場合は, 「重複組合せ」で求める.
ii) Boltzmannの原理より, 完全な熱力学関数であるエントロピーを求める.
$$
S=k_B\ln W_c
$$
iii) 熱力学関係式から各物理量を求める.
$$
\frac{\partial S}{\partial E}=\frac{1}{T}
$$
2. カノニカル分布
外界の熱浴と粒子交換はないが, エネルギーのやりとりはする系
i) $${E}$$ での分配関数を求める.
$$
Z(\beta)= \begin{cases}
\displaystyle \sum_ne^{-\beta E_n} &\text{(量子系)} \\
\frac{1}{h^{3N}}\int d^3r_1\cdots d^3r_Nd^3p_1\cdots d^3p_Ne^{-\beta H} &\text{(古典系})
\end{cases}
$$
ii) 完全な熱力学関数であるHelmholtzの自由エネルギーを求める.
$$
F=-\frac{1}{\beta}\ln Z(\beta)
$$
iii) 内部エネルギーやエントロピーなどを求める.
$$
E=-\frac{\partial}{\partial \beta}\ln Z (=\frac{\partial}{\partial \beta}(\beta F))
$$
$$
S=\frac{E-F}{T}
$$
$$
C_V=(\frac{\partial E}{\partial T})_V
$$
$$
M=-(\frac{\partial F}{\partial B})_{T,V}
$$
3. グランドカノニカル分布
外界の熱浴と粒子交換し, エネルギーのやりとりもする系
i) $${E}$$ での大分配関数を求める.
$$
\Xi(\beta)=\displaystyle \sum_ne^{-\beta (E_n-\mu N_n)}
$$
ii) (Helmholtzの自由エネルギーを一般化した) グランドポテンシャルを求める.
$$
J=-\frac{1}{\beta}\ln \Xi(\beta)
$$
iii) 内部エネルギーやエントロピーなどを求める.
$$
E=\mu N+\frac{\partial(\beta J)}{\partial \beta}
$$
$$
p=-\frac{\partial J}{\partial V}
$$
$$
S=-\frac{\partial J}{\partial T}
$$
$$
N=-\frac{\partial J}{\partial \mu}
$$
文献
[1] 田崎晴明.『統計力学I』(2008, 培風館).
[2] 田崎晴明.『統計力学II』(2008, 培風館).
[3] 久保亮五.『大学演習 熱学・統計力学』修訂第56版 (1998, 裳華房).