犬 / 自作ショートショート
始めに。どこかで僕の生い立ちについて書きましたが、想像できないと思いますので、ショートショートの形で再現します。毎日こんな日々でした。
(以下本文)
逃げたいけど逃げれない。本能の中で人に忠実でいられる犬が羨ましい。
「全員ならべ」
今日は風呂場のタイルに正座をさせられ、小便をかけられる。
僕は小学一年生。
クロ助の頭を撫でて、散歩にでかけ本を読んで、
寝ようとした僕を叩き起こし、
「今から内臓が内出血する所を見せてやる。」
施設の上級生は、僕の腹を殴り続け、便器に血を吐かせた。
僕は小学一年生。
殴られない日は一日としてなかった。
8年、そんな毎日が続いた。
「クロ助、散歩に行こうね。」
頭を撫でて、散歩に出かけた。
夏のある日、クロ助が死んでいた。
スコップを握ってクヌギの木の下に穴を掘って、埋めた。
一日中、涙を流して。
その日も僕はみんなから殴られた。
どんなに悲しい日でも、敢えて僕をそっとせず、痛めつけ続ける。
僕が何か悪い事をしたというの?
自分という存在に生まれ、その生んでくれた親が早く死んだ、それだけなのに。
誰もそれを止めなかった。僕が施設で最上級生になり、下級生への暴力を止めさせ、鎖を断ち切るまでは。
犬の方がいい。
犬の方が優しいから。
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