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風変わりな依頼 (自作短編)

■ 初めに 
以下、フィクション(と思ってください)

・・・・・・・・・
僕が社会人としてデビューしたのは、プロの広告カメラマンとしてだったという事は、最近になってSNSで公言しているから知っている人も多いけど、リアルでそのことを知っている人は、今の居住地の知り合いには全くいない。

今はもうやっていないフェイスブックで、スマホ写メをアップすると、ちょっと写真上手くね?くらいの反応はあったけれど、基本的には黙っていることにしているから。

カメラマンをやっていたという事を知ると、知り合いの結婚式の写真撮ってくれ(ノーギャラで)をはじめ、何かのイベントの度に撮影を自然と任され、そもそも平等にイベントに参加できない事が多かったから。

しかし、それでも時々、気を許せる相手には話すことはある。

以前、知り合いの美大生にそのことをふと漏らしていたからだろうか、彼女が大学から地元へ帰って来た時に、友人が写真を撮って欲しいと言ってるから、あって欲しいと言われ、会うことにした。

地元の女子大に通う大学1年生。少しやせ形で、ショートカットが似合う色白のその子は、凄く美人というわけではないけれど(どちらかというと、美人)、よく笑う感じの良さと共に、少しだけ風変わりな印象もあった。

「で、どんな写真撮って欲しいの?SNSにアップするとか?バイトの面接用?」
と尋ねると、
「いえ、その・・・ヌードを取って欲しいんです。それも普通のではなくて、してるところを・・」
「えっ?いいの、それ?というか、相手もいいの?」
「あ、はい。こういうこと、そんな頼めないし、でも、ゆっこ(美大に行った友達)の話から、先生だったら大丈夫かなと。秘密も漏らさないだろうし、お願いします。お金あんまり出せないですけど。本当は高校生の時にと思ったんですけど、それは問題あるだろうから、せめて18の時の写真を撮っておきたいと思って」

男の身としては、相手の男性がいるとはいえ、18歳の女子大生のヌードを拝めるなんて、美味しい話だし、一応自分はバツイチ独身で、気兼ねする相手もいない。

人がやってるところを取るなんて経験もそうそうはないし、まあ断る理由はない。

それで、撮影の日取りと、ホテルを段取りして、当日、ホテルのロビーへ向かうと、彼女が待っていた。

「え?相方さんは?」

「はい、相手はいますので、大丈夫です」

じゃあ、ということで、部屋へ向かうと、誰もいない。

「え?どういうこと?」

と尋ねると、

「して欲しいんです。しながら、してるところを撮って欲しいんです。してる人に撮ってもらわないと、してるところを撮ってもらったことにならないでしょう?あと、動画も撮っておきたいんで・・・」

「??? はあ?というか、自分まだ、会って2回目だし、もうすぐ50になるオジサンだよ?」

「いいんです。好きな顔だし、年気にしませんし、それに、年上の人の方が上手だし、いってるとこも撮って欲しいし。私、魅力ないですか?」

「いや、そういうわけじゃ・・・」

とまごまごしていると、顔をギュっと近づけられ、キスを奪われてしまった。

「シャワー浴びてきます」

それから、彼女が指示するままに、あるいは僕の欲望のままにか、今となってはもうどちらでもいいわけだが、彼女の身体のすべてと、彼女の望むすべての行為と表情を、5時間くらいかけて濃密な時間の中で、撮影をした。

あとで聞いた話だけど、中学1年の時に、骨肉腫系の不治の病にかかっていつ死ぬかわからないと診断され、なぜか奇跡的に回復した経験があるそうで、その時に、その時々の自分をできる限り自分で経験しないと、損だと思ったらしい。

彼女の事を変態とか、あばずれという評価を下すことは、誰にもできないだろう。

※サムネの写真は、加工画です。







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