みてた / 自作詩 (前の記事に寄せて)
君がハナウタを歌いながら歩いていたのを
みてた
ねむの木やはぜの木がざわざわ騒ぐ坂道を下っているとき
君はすごく幸せそうな笑顔で歩いているのを
ちゃんとみてたよ
製材所で拾った角材で木にしがみついた苔を
薙ぎ払いながら
意味もなく殴られた悔しさを薙ぎ払いながら
薙ぎ払われた苔が放った香りを君は思いっきり吸って
ハナウタを歌い始めたね
みてたんだよ
もうすぐ鳴りだす除夜の鐘を心待ちに
街へと繰り出す人達の喧騒から離れ
冷えて透き通った空気の向こうに輝く月を眺めながら
一人ぼっちで泣いていた君を
みてた
僕はずっと君と一緒にいるんだよ
君とは少しの間しか一緒にいれなかったけど
君の事が大好きだったからずっと側にいるんだよ
触れた手のひらや抱きしめたときの匂い
君は覚えてないかも知れないけど
僕は覚えてるんだ
ちゃんとみてた
不器用な君が器用になっていくみたいで
少しもかわらない柔らかなこころを持て余しながら
こころの波を持て余しながら
不思議な人になっていくのを
ちゃんとみてた
また会えるといいね
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