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#貴族社会
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-36
「あなた、この国の皇女ってわかってる? それもただの皇女ではなく、高い皇位継承権を持った皇女である立場なの。そんな人間が、公衆の面前で暴漢に襲われた。それが原因で、護衛の人間が責任を問われ、その座を追われるかもしれないということを、マリナはどう考えるのよ?」
言葉遣いこそ丁寧だが、その口調は、反論を許さないといわんばかりに冷徹だ。そう、彼女は職務のためならば、悪魔にもなれる
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-17
2人の口論は、終わる気配がない。私が周囲を見ると、いらだちの視線を向けているのはキャサリンだけではない。捜査関係者も、それは同様だった。何人かが、ラッシャーとフリーダを見ながら、なにごとかひそひそ話をしている。どんな内容なのかは、おおよそ見当がつく。総店長が口論しているから、仕事がはかどらないのだ。
「あのう、ちょっとよろしいでしょうか?」
私とキャサリンに、一人の警察官
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−16
「だったら、社員やアワマネに後を任せて、とりあえず現場に足を運ぶべきだったのではないですか?」フリーダは執拗に食い下がる。
今彼女が口にした「アワマネ」とは、アワリーマネジャー(以下HM)という、社員不在時に店舗運営を担うアルバイト社員のことで、全アルバイトの頂点に位置する。小規模店舗では2~3人いるが、グラーツ総本店だと、20人以上のHMがいる。この時間帯でも、最低4~5
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−15
私は素早く、キャサリンがいる方向に姿勢をかえた。
彼女はアクア色の無地のシャツの上に、濃紺のノーカラージャケットを羽織り、前のボタンは開けている。下半身は、ジャケットと同じ色のレギンス、黒のパンプスという格好で、私の目の前に立っている。
近衛兵といっても、軍服を着用するのは国家や軍隊の儀礼行事がある時だけで、普段はスーツで勤務する。キャサリンに率いられた近衛兵も、全員がス