「720° が1周」の量?【スピノル、メビウスの帯、アナログ時計、etc.】
物理学にはスピノルという量があります。スピノールとか、スピナとか言ったりもします。この量の最大の特徴は「 2 周が 1 周であること」です。つまり、360° 回転してもスピノルにとってはまだ半周しかしていなくて、720° 回転してやっと1周したことになるわけです。
え?そんなこと言われてもピンとこないって?でも、意外と身の回りにもスピノルみたいに「 2 周が 1 周」のモノってあるんですよ?
01. メビウスの帯
そのようなモノに、有名なところだとメビウスの帯があります。メビウスの輪と呼ぶこともありますね。
ご存じの通り、メビウスの帯の表面をたどっていくと、1 周したときには出発点の裏側に到着します。さらにもう 1 周してはじめて元に戻ることができます。
02. アナログ時計
アナログ時計も見方によっては「 2 周が 1 周」のモノの仲間です。
アナログ時計の短針に注目してみましょう。例えば 12 時の位置から出発して 360° 回転すると、短針は元に戻ってきますよね。これでは「普通」で、360° 回転が 1 周です。
ですが24 時間、つまり1 日を 1 周だとみなせば、短針が 720° 回転してはじめて 1 周したことになりますよね。幾何学的には、短針は 2 周しているのですが、概念的にはそれを 1 周とみなすことができるわけです。
03. コップを持った腕
手のひらの上に水の入ったコップを置いてみましょう。コップの水をこぼさないように頑張って腕を一回転させると、腕が変な形になっていると思います。腕がつりそうになるのを我慢して、もう一回転させてみましょう。するとはじめの姿勢に戻ります。つまり 2 回転させると腕が元に戻ったわけです。
これは「ファインマンのワインダンス」などと呼ばれて、物理学の教科書などでスピノルの説明をするときによく挙げられる例です。
「 2 周が 1 周」のモノには他にもいろいろな例があります。「変な」スピノルの性質ですが、このように意外と身近にも同じような性質を持ったものがあるんですね。
こうしてみると、考えようによっては「365 周が 1 周」の量だってあるわけです。何のことだと思いますか?