看護師あれこれ#4…おばあちゃんにアイディア賞を‼
(この記事は1500文字、3分ほどで読めます)
施設で夜勤をしていた、ある日のこと
深夜1時…ラウンドと呼ばれる巡視の時間
順番に各お部屋を周り、利用者さまに異常がないか確認
静かに、起こさないように…
事件は、おばあの部屋で…
そして、行きついた今日の主役のおばあの部屋
扉をそっと開けて…
ん? 臭う…
マスク越しでも、はっきり分かるこのにおい…
The 尿臭…
トイレを流し忘れたとか、そういうレベルではない
部屋中に立ち込める
えっ…
もしや… 放尿?
豆電球だけの薄明りのなか、ベットに腰掛ける人影…
「あー看護婦さん」と、声ををかけられた
「見回りに来たんだけど、どうした?眠れない?」
「んーーちょっと困ってね…」
「なにに困ってる?」
と声をかけながら近づくと…
えっ・・・
裸体・・・?
「ごめんね、ちょっと眩しいけど、電気つけさせてもらうね」
おばあに許可をもらい電気をつける
私の目に飛び込んできたもの…
・ベットに腰掛ける真っ裸のおばあ
・ベット上にいくも並べられた使用済みの尿取りパッド
臭いの元、発見!!
「どうした?お着替えしてたの?寒くない?」
と優しく話かける
「体がかゆくてね…寝付けなくて…こんな時間だし…
看護婦さん呼ぶの悪いと思って…
どうしたもんかなと思ったら、尿素がいいって思い出して…」
あっ…なるほど…笑
みなさま、お分かりでしょうか?
要約すると…
かゆみに困ったおばあは、CMなどで耳にしていた
《 尿素配合 》
などの言葉を思い出し
かゆみ止めに自分の尿が効くと思ったらしい
そして、トイレから尿取りパッドを回収し
ペタペタと自分の体に塗っていた
ということみたい
半分正解で半分間違い…な、この案件…
いや…完全に間違いだよね…
余計にかゆくなっちゃうよ?
おばあの気持ち
「そうだったんですね
ボタン(ナースコール)押してもらってよかったのに…」
おばあに待つように伝え
体を拭く用の温かいタオルと新しい着替え、クリームを取りに行く
いろいろとお話しながら、体を拭きあげ、かゆみ止めクリームを塗る
新しいパジャマを着てもらい、とりあえずOK
幸いにも明日は入浴日だし、一安心
そして、無事に尿取りパッドを回収する私
「ありがとね。こんな時間に迷惑かけちゃって…
わたしも看護婦さんに迷惑かけちゃいかんと思って
ない頭で必死に考えただよ。
尿素がいいって言うでしょ?
わたしアイディア賞じゃない?」
と、ドヤ顔のおばあ
「そうですね。でも困ったら遠慮なく呼んでくださいね。
迷惑じゃないし、そのためにいますからね。」
と「おやすみ」を言い合い、部屋をあとにする
正直、やれやれ・・・です
そして、おばあの発想に心のなかで大爆笑の私
反省と気づき
少し認知症が出始めているけれど、自立しているおばあ
自分のことは自分でしたいという気持ち
私たち看護師に迷惑をかけてはいけないという想い
その気持ちは大切に受け止めたいと思いました
そして、困ったときなど遠慮せずに気軽にナースコールを
押してもらえる雰囲気を作らないといけないなと
反省した出来事でした
遠慮なく、じゃんじゃん呼ぶ方もいますけどね笑
高齢者施設で働いてると、想定外のことが頻発します
マメ知識
ちなみに…
クリームなどに配合されてる「尿素」
排泄された尿に含まれる「尿素」
まったくの別物です!!
もともと排泄された尿から発見されたので「尿素」と命名されましたが
商品に配合されている「尿素」は、工場でアンモニアと炭酸ガスで化学反応を起こして作られているもの
排泄される「尿素」は、腎臓で作られた結晶のことで体内にあるたんぱく質を分解してできた有機化合物です
なんだか、ややこしいですよね・・・?
もしも「尿素配合」と聞いて、なんとなくイメージ良くなかった方がいらっしゃいましたら、今後は安心して購入・使用してくださいね
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