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深夜特急的な海外貧乏旅行の始まり⇒シンガポールの1泊1500円の宿

司法試験に合格できずにいた僕が、勉強に煮詰まり、初めての海外旅行へ行った時のお話をしています。

今回は第4話です。悲劇の事件は、次の話から始まりますが、今回はシンガポールの市中観光の様子を書いています。

シンガポール2泊目の宿に到着?

街中を歩き回っているうちに、知らぬ間に夕方になっていた。

そろそろ目当ての宿に向かわなければ、ということで、宿泊予定の安宿に向かうことにする。

予約をしていなかったので、「泊れなかったらどうしよう」と若干不安になるものの、まあなんとかなるさと思う。

楽観的な気分で地図を見ながら宿に向かうことに。道に迷いつつも、なんとか夜20時ごろに宿に到着する。

辿り着いた安宿の一階は、地元の人が集うカフェ又はバーのようなお店だった。ゲストハウスと書かれた看板はなく、その気配も感じられない。

「果たして本当に、ここは宿なのかな?」と疑問に思いながら、拙い英語で泊まりたいことを告げると、鋭い目つきをした店員さんが出てきて案内された。こっちへ来いとのこと。

バーの2階にゲストハウスがあった

「なんだか怖いな」と思いながらも、店員さんの後に続くことに。店内を通り抜けると中庭のような空間があった。石造りの階段を上がり大きな木の戸口を開けると、そこには宿の受付?のような場所があった。雑然とした場所で、異質な雰囲気に包まれている。

ボロボロの壁と、石造りの床下。周囲を見渡すと、むき出しのシャワー室のような場所があり、またお世辞にも綺麗とは言えないトイレもあった。洗濯場のような場所(洗濯機がある場所)は見当たらない。

宿泊者と思われる人が数人いて、たむろして簡易式テーブルに座っており、お酒を飲んでいるのか大声を出している人もいた。皆バックパッカーだかホームレスだかよくわからないような20代〜30代の外国人だった。

受付で部屋は空いているか?と聞くと、空いているという。料金は「地球の歩き方」に書かれているのと同じ料金だった。

1泊1500円の部屋

僕は3泊分の料金を支払うと、部屋に案内される。受付の斜め前にあるその部屋は、天井にプロペラが回っており(決してインテリアではない)、轟音が響いている。

空調のためのプロペラなのだろうか。とにかくうるさい。僕は音に敏感なので他の部屋にしてくれと言ってみるが、この部屋しか空いていないらしい。

ちなみにドアには簡単な鍵しか付いていない、剥き出しのコンクリートの床上に、パイプベットが一つ置いてあるだけの部屋。ベットには年季があるシミのついたボロボロのマットレスが置いてあるだけ。

「こんなもんだろう。料金も安いし、まあいいか」ということで、これ以上部屋を探す気力もなく、また予算がなかった僕は、この部屋に泊まることにする。

物騒なので、荷物はパイプベットにくくりつける。日本から持参したチェーン付き鍵だった。荷物はリュックだけだったので、ナイフでリュックを切り裂けば中のものは取られてしまうのだが。。

気持ちの問題に過ぎないかもしれないが、とりあえずは一安心だ。お腹も空いたので、貴重品だけを持って一度夜の街に出ることした。

シンガポール2泊目の夜

今日はたくさん歩いたので空腹だった。

何か食べたかったけれど、でも貧乏旅行中の僕には節約意識が強く、それにどの店も値段が高そうに感じた。

また、どの店も物騒に見えたので、数件のお店を覗いた後に、結局コンビニのようなお店でパンを買った。道端で夜空を見上げて、石の上に座りながら一人でパンを食べた。

普通の旅行者からみれば、僕の姿は寂しそうに思えたかもしれない。でも、僕は満ち足りていた。確実に海外旅行をしている実感があり、また受験生活とは違う環境に身を置いて居ることに満足をしていたのだ。

夜の街も散策して、24時前に宿に戻る。1階のバーはまだ賑わっていた。部屋に入り、簡易式の鍵をかける。マットレスの上には、日本から持参した寝袋を敷いて、その上に眠ることにする。

部屋の外には酔っぱらったヒッピーみたいな旅行者が騒いでいたし、部屋の天井にある轟音が気になったけれど、疲れ切っていた僕は、しばらくして眠りについた。

シンガポール3日目の朝

気が付くと、部屋の上の方に付いている小窓から、光が差し込んでいた。朝が来た。

僕はベッドから起きて、トイレに行くために部屋の外に出る。昨夜と異なり廊下は静かな雰囲気で、新聞を読んでいる男性も一人いた。

こんな宿でも、朝から受付には係の人がいた。係の人が教えてくれる。なんでも200円ほどで簡単な朝食も食べれるようだったが、僕にはこの宿で食べる200円は高いように感じた。

丁重に断り、昨晩コンビニで買ったパンの残りを部屋で食べて、簡単な朝食とすることにした。

朝8時には宿を出て、シンガポール市内を散策に出かける。

その日1日は、どんな日になるのだろうか。その時の僕はまだ何も知らなかったのだ。

この記事を書いた人
湯川 七八貴
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