消費税+法人減税=人件費税
消費税の深刻なデメリットついて、あらためて整理してみます。
消費税≠消費者が払う税金
消費税は、値札に書かれていて、レシートにも消費税が明記されています。なので、消費税は消費者が払っているような感覚を持っているかもしれません。
確かに、消費の意欲を減退させるという意味では、負担していると言えます。しかし、それよりも深刻な裏のデメリットがあるのです。
売り手の事業者が、消費税を支払う
実際に税務署に消費税を払うのは、売り手の事業者です。そのとき、売上でもらった消費税分から、仕入れの時にすでに払ってある消費税分を差し引いて、その差額を納税します。
消費税=(売上-仕入)×税率
ってことですね。内容によって、もっとたくさんカテゴリがあったり、簡便法みたいな別の計算方法があるのですが、ザックリ上記の式の理解で問題ありません。
消費税は、裏を返せば付加価値税
さて、もう少し消費税の意味を考えてみたいと思います。基本的に、(これまたザックリですが)売り上げは仕入れと人件費と利益の合計です。
売上=仕入+人件費+利益
仕入を左辺に移行すると、こうなります。
売上-仕入=人件費+利益 (=付加価値)
つまり、消費税はこういう風にも表せます。
消費税=(人件費+利益)×税率
あれ?いつの間にか、消費税が人件費と利益の合計にかかっているってことになってます。実は、これが「深刻な裏のデメリット」というやつです。
法人減税と組み合わせると・・・
さて、法人税は利益にかかる税金でした。
法人税=利益×税率
法人税と消費税で税率は違いますが、かなり乱暴な気もしますが、それは誤差として無視してください。
さて、消費税増税と法人税減税の効果を足し合わせてみましょう。消費税の増加分と、法人税の減少分の合計はこうなります。
消費税-法人税=(人件費+利益)×税率 - 利益×税率
さてさて、税率の違いは無視するオヤクソクでしたので、税率で括ります。
消費税-法人税=(人件費+利益-利益)×税率 =人件費×税率
なんということでしょう。消費税を増税して、法人税を減税すると、単に人件費に対して税金をかけたのと同じことになってしまいました!
つまり、消費増税と法人減税の組み合わせにより、会社が従業員の給与を上げたり、新たに雇ったりするインセンティブが失われていたのでした。
何も良いことのない消費税
さて、消費税は、消費者の購買意欲を低下させ、会社に給与アップの意欲まで低下させていることが分かりました。一方で、メリットの方はどうなのでしょう?
消費税のメリットとして謳われていたものは、主に2点だったと思います。一つは「広く徴収する公平な税制」、もう一つは「不景気でも取れる安定財源」でした。
しかし、前者の「公平な税制」っていうのは、貧しい人からも取るということです。所得税の累進課税の意義を丸ごと無視するかのような話です。
また、後者の「不景気でも取れる」っていうのは、不景気な時にはそれをさらに悪化させ、好景気な時は行き過ぎを押さえる機能が無いということです。そもそも、デフレの時には財政赤字を増やすことで、その反対側の国民の黒字を増やすことで、景気を回復させなけれいけません。
公平かつ安定財源である、というのは、そもそも税制としては最悪なのです。良い税制とは、格差を緩和し、(財源ではなく)景気を安定化させるものでなくてはいけません。
消費税が皆さんの給料アップにとって、強烈な負のインセンティブとなっていることについて、ご理解の助けになればと思います。
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