雑0712

ガリガリと皮膚を削り形や色を流し込まれながら、痛みから逃れようと「あとでこれを調べよう」をたくさん思い浮かべていた。

脱衣所のような湿度めいた外に触れた途端「あとで調べようリスト」は雨に滲んで火傷のような痛みだけが残った。

電車に乗り込むと湿度は匂いと混ざり合い最悪だった、最悪な人混みを運んでいる列車は健気だ。

詰まった排水口が機能を取り戻したかのように、人が放出されていっては、寄せる波のように戻ってくる、牛の反芻もこんな感じなのかな、と疲れと眠気に微睡みながらキイ、キイ、ガタン、と揺れる電車に身を任せていた。


駅前には、夏休みなのだろうかと思うほどに学生たちが色めき立ち缶チューハイを片手にベンチに座っている。
「蚊とか気にならんのかな」とお節介を覚えつつ空になった煙草空箱を捨てた。

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