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2つの趣味の融合

わりと若い頃から続けていた趣味に、ハンドメイドがあります。
レザークラフトや帆布を使ったいろいろな小物、バッグ作成などを続けていましたが、この2年位は写真とカメラにどハマりしていたせいで、少々クラフトからは離れていました。

先日、Cyanotypeという技法に出会ってからいろいろ試していた中で
・コンタクトプリントだけど、デジタルネガにすればA4くらいならプリントできる
・ネガを密着させられて、薬液を塗り込めるものならいろんな素材にプリントできる
・ってことは布でも良いのでは?(※絹などの動物性繊維と、化繊は除く)
・そういえば家に帆布が鞄作り用の帆布が結構いっぱいあったな
・布に写真をプリントできれば面白いことが出来るのでは
と思い立ってやってみました。

使った薬液

使用したのはAmazonで購入できる、Jacquardのサイアノタイプインクセット
薬液Aと薬液Bを、塗布する直前に同量ずつ混ぜ合わせるタイプです。

それぞれのボトルには粉末になった薬品が入っているので、250mlの水で溶かしてから24時間ほどなじませます。

塗り方

同量ずつ、今回は30mlずつを混ぜ合わせて合計60mlの薬液を作りました。
こいつをスポンジハケで紙や帆布、キャンバスに塗り込んでいきます。

できるだけムラが出来ないように塗りますが、極端に神経質にならなくても大丈夫みたいです。
多少の刷毛目なんかは水洗い現像時にかなり目立たなくなります。

極端に濃いところと薄いところが出来る、というようなものでもなければ、問題なくプリントすることが出来るみたいです。

どれくらい塗るの?

これの加減についてはまだ掴みきれてませんが、幅が7cm位あるスポンジはけの先を薬液に着けて、薄く塗り伸ばすのを2回ほど、重ね塗りする程度が良いのかなーと思います。

あまり沢山塗りすぎてもどういう影響が出るかわからないし、何より薬品を大量に使うのはちょっともったいないです。

塗るのが難しかった素材

今回試したのは
・上質紙(180kg極厚手)
・帆布11号
・帆布8号
・絵画用キャンバス
の4種類です。

この内、 塗りやすかったのは上質紙でした。

裏を返せば、その他のは全部塗りにくかったです。

というのも、帆布には防水のためのロウをなじませてあったし、絵画用キャンバスに至っては下塗りがされた状態になってました。

そのため、薬液を軽く塗っても弾かれちゃいます。

そのため、スポンジでちょっと強めに「刷り込む」ような感じで縫っていきました。
キャンバスはもうどうやっても染み込んでいかないので、1回だけ、できるだけムラにならないように薄く塗る程度でした。

帆布は番手が小さくなるほど、使われている糸が太くなります。
つまり表面の凹凸が大きくなりますので、薬液を均等に塗るのが難しいです。

8号帆布はもうどうやってもムラになってしまったので、現実的にやるとしたら11号が良いかもしれません。

ちなみに、11号帆布は一度湯通ししてからやってみたものもありますが、結果は変わらずでした。湯通しが十分でなかったかもしれませんが…

上質紙の仕上がり

上質紙は色々露光時間を探ったところ、我が家の露光台を使って約25分ほどがベストなようでした。

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こちらは水洗直後で、しっかり乾燥して真っ直ぐに伸ばしたのが

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こちらです。
ディテールまでかなりしっかりと描写されています。あと、かなり厚手の紙を使っていますので、濡らして乾かした後は非常にパリッと硬く仕上がってくれます。

上質紙で難しかったこと

スポンジハケで薬液を塗る際に、やはり紙が反ってしまうので、ある程度押さえながら塗っていました。
そうすると、今度は押さえた場所に指跡がついてしまい、また塗り直し…というのを何度か繰り返してます。

あと、何よりも「紙に何かを塗る」という経験が致命的に乏しかったので、単純に「塗る作業」が難しかったです…

絵画用キャンバスの仕上がり

キャンバスはまだ露光時間のベストがわかりませんが、恐らくは30分程度かなと思います。
下の写真は20分露光でしたが、少し露光不足だったようです。

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絵画用キャンバスは、とにかく薬液を弾いてしまうためちゃんと印画されるかどうかが心配でした。

キャンバスにはられている布が、恐らくは6号か8号くらいの帆布なのかなと思いますが、目が結構粗いです。

そのため、細かい描写がどうなるかなー、という点も心配でしたが、写真によってはむしろいい味を出してくれていると思います。

ちなみに、水洗しすぎるとかなり絵が薄くなりますが、これは露光時間と水洗時間、ハイター仕上げの組み合わせである程度カバーできそうです。

絵画用キャンバスで難しかった事

何より難しかったのは、やはり薬液を均等に塗るというポイントでした。
こればっかりはもう「薬液が染み込まずに弾かれてしまう」という性質上、仕方ないのかなと思います。

そしてもう一つ難しかったのは、現像のために水洗いする時に、どの時点でストップさせるか、というポイントでした。

基本的にサイアノタイプでは、水洗してから過酸化水素水などで表面の薬液を参加させてコントラストを強くします。

ただ、素材を乾燥させると、色が若干薄く感じられるようになるので、基本的に
「コレくらいのコントラストがほしいな」
と思う程度で水洗をやめて、そこから過酸化水素水…我が家ではハイター仕上げをしてコントラストを強めてから乾燥させる、という手順を踏んでます。

ただ、キャンバスでの因果の場合には、水洗を少し早めに切り上げてからハイター仕上げを行い、結構濃い目の状態になるようにしないと、薄めの仕上がりになるようでした。

帆布の仕上がり

ある意味最も難しかったのが、この帆布です。
結果的に帆布は40分~50分ほど露光させてちょうどよい仕上がりになりました。

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2枚並べて居ますが、上が25分露光、下が45分露光です。
上の方はコントラストも弱く、カメラのシャッターボタンのあたりなどはほぼ消えてしまっています。

45分の方は結構しっかりと描画されていますが、実際はもっと露光しても良かったかもしれません。

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また、ネガの方でしっかりとメリハリがついていれば、プリントの方もしっかり明暗がくっきり出てくれます。
これはちょっとした洒落で作ってみた、有田ポーセリンパークのお城の写真に文字を重ねてみたものです。

ネガでは黒い文字が、しっかり白抜きになってくれています。
こちらは約30分露光で、水洗時間を短めにしたものです。

帆布で難しかった事

帆布では、紙やキャンバスと大きく異なり乾燥のプロセスが面倒でした。
薬品を塗るのが面倒なのはもう慣れてしまったのと、露光時間についても長めに設定すれば問題なさそう、とういうのが解ったんですが、水洗、ハイター仕上げ後に
・脱水のために絞らないといけない
・そうするとシワが寄る
・乾燥のためにもアイロンがけする
と言った具合でアイロンという道具をつかう必要があります。

この時に、濡れた印画面に直接アイロンを当ててはダメ、というポイントと、ちゃんとあて布をするというポイントで注意が必要です。

また、あまり高温のアイロンを長時間当てると、染料そのものが変色してしまう事があります。

まとめ

恐らくですが、我が家の紫外線LED露光台とこのJacquardの薬液の組み合わせでやった場合、
・紙素材であれば25分露光
・布素材なら45分露光
・水分を弾く素材の場合でも、まぁまぁしっかり色が定着する
というのが今回解った成果。

そして、同時に今後の課題としては
・ただし、あまり強い日光に数十分ほど晒すと褪色が激しい。
・紫外線を防止するためのスプレーとか何らかの対策がいる
という対策も必要なようです。

ただ、絵画用のキャンバスなどかなり厚みのある素材にも写真をプリント出来、さらに帆布生地にも写真を印画出来たので、今後はクラフトの素材づくりにも役立てられそうです。

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