布は本来「貴重品」だった
数年前から、自分で色々作るクラフト素材として布を織る機会がありました。
で、ここ1年くらいで糸も紡ぐようになって、改めて実感します。
布って本当に手間暇がかかるもので、昔々は税として収められるくらいの価値があるものだったんです。
ここ2週間位で、ようやく「細い綿糸」を紡げるようになったんですが、ドロップスピンドルを使って紡ぐのが、情け容赦なく時間がかかります。
僕の作業スピードだと、まだまだ1時間で30mとか50mとかそれくらい。
趣味に費やせる時間だけでなんとかやってますので、1日に紡ぐのは100mがやっと、といった感じです。
しかも単糸の状態で、これから実際に使うとなると、撚り合わせたり染めたりといった加工も発生します。
単糸の状態でも織物の横糸としてなら使えるかもですが、経糸にするには強度が足りません。多分途中でブチブチ切れます。
また、手織りに使っている織り機は「Karanko」という非常にシンプルな、2枚綜絖の構成ですので、一番シンプルな平織りしか出来ません。
綾織は出来ない織り機なんですが、その分結構スピーディーに布を織ることが出来ます。
シンプルな平織りでも、糸の色の組み合わせによってはチェックやストライプ、ボーダー、千鳥格子といった基本的な模様で織ることは可能です。
織りの場合、経糸は端っこ部分が結構切り落とされてしまい、無駄になってしまうところが出てきます。
このムダも考えて糸を用意しないといけないんですが、糸を自分で紡ぐようになってからは
「いやいや無駄は最小限にしないといかんでしょ」
と考えるようになりました。
今は気軽に、お手軽な価格で糸も布も買うことが出来ます。
糸も布も、自分で手作りするよりも買ったほうが早いですし、品質だって買った方が良いです。
時折、
「何でこんな面倒くさいことしてるんだろう」
と我に返ることがあるんですが、そのたびにたどり着く答えが
「その面倒くさいのが面白い」
というもの。
昔々からすれば贅沢の極みなんでしょうね。