見出し画像

二眼レフで望遠????

愛用の二眼レフカメラ、MamiyaCシリーズはレンズ交換が可能という、他のカメラに無い特徴があります。

レンズの焦点距離は短い順に
・55mm(35mm換算で約30mmの広角)
・65mm(35mm換算で約35mmで標準)
・80mm(35mm換算で約45mmで標準)
・105mm(35mm換算で約50mmで標準)
・135mm(35mm換算で約75mm、中望遠)
・180mm(35mm換算で約100mm、中望遠)
・250mm(35っm換算で約135mm、中望遠)
というレパートリーがあります。

今回新しく手に入れたのは、最も焦点距離が長い250mmで、開放F値が6.5と結構暗いレンズです。
一番絞った値だとF値64と、もうスペックからすれば大判用のレンズのようにも思えます。

我が家に来た子は、「シャッターが全速粘る」とう症状があるとのことで、かなりお安い値段で売られていました。

早速、実際の動きを観察します。

https://youtube.com/shorts/GvKGyfJFfVw

この動画のように、シャッターチャージ後にシャッターレバーを操作すると、どの速度域でもチャージレバーがなかなか戻らず、結局シャッターが切れるまで時間がかかる、という症状でした。

ただ、羽根の動きなどを観察するに、
「シャッターが粘る」
というよりは
「シャッターチャージレバーが戻るまでの時間がやたら遅い」
というだけで、シャッター速度自体は問題なさそうでした。

さて、修理に先立ってちょっと仮説を立てます。
シャッター自体は全速切れるというところから、
・シャッターの機構自体に致命的な問題は起きていない(だろう)
・「全速で粘る」ということは、おそらくレンズシャッター機構部分で、チャージ機構の辺りに問題があるのでは(※)
・とりあえずバラして動きを観察してみよう
という、いつもの流れになりました。

(※例えば「スローシャッターだけが不調」であれば、スローガバナーに問題があるなど、速度域で不調が出る出ないということであれば、大抵ガバナーの不調に依る場合が多いです。
 それが全速度域で同じ問題が出るということは、速度調整機構以外で問題が出ている、という可能性が高くなります。
 速度域を問わず使う場所は
A・シャッターチャージレバーとスプリング
B・シャッターチャージ時にバネが戻らないようロックする機構
C・シャッターを切る際にロックを解除する機構
D・シャッター羽根の「開く→閉じる」という動きを制御する機構
E・シャッター羽根自体
 だいたい代表的なのはこの辺です。
 粘りはするもののシャッターが全速切れるということは、B、C、D、Eには大きな問題が起きていないだろう、と予想が出来ます。 
 ということで、今回は「多分Aが原因である可能性が高いのでは」という仮説で修理しました)

仮説も立てたところで、早速分解します。
もしこの仮説通りの状態なら、この時点で勝ち確です。

で、分解する途中で気づきましたが、絞り調整レバーのパーツが1箇所折れてました。
ここは後で接着剤でくっつけます。

花形ネジをロックする部分が外れたままでした。
あと以前修理された方の指紋でしょうか、指紋の後がサビとして残ってしまってます。

カバーと花型ネジを外して、カバー部分を露出させます。
結構くっきりと指紋の後が残りますね。

カバーを外してみました。
パッと見た感じかなりきれいです。シャッター機構自体、状態はかなりイイみたいです。シャッター羽根も油染みも無くきれいな状態でした。

シャッター速度調整のための円盤も外し、シャッター機構を露出させます。
どうやら機構内にはサビも油もなさそうです。
この状態で動きを観察してみましたが、特に固着したり油で粘ったりしている場所はなさそうでした。

が、一箇所だけ、やはりシャッターチャージレバー(中央の金色のパーツにはめ込まれている輪っか)の部分がやたら動きが重く粘りがあります。
どうやらここにだけ、油か何かが残っているようです。
エタノールを1滴ほど垂らして全体に馴染ませ、何度かシャッターレバーを動かしてみます。

スローガバナーも、若干の汚れはありましたが動作自体は問題なさそうです。
エタノールを着けてしばらくすると、シャッターチャージレバーもスムーズに動いてくれるようになりました。

今回のレンズは、純粋にシャッターチャージレバーの動きだけが重くなっていて、どうやらそのせいで「シャッター全速で粘り」という症状が出ていたようです。

分解したときとは逆の手順で組み立て、ついでにレンズも軽くクリーニングします。

組み立て後の動きを観察します。

シャッターレバーを操作すると、普通に反応してくれるようになりました。
無事修理完了です。

ちなみに、Mamiya C33はセルフコッキング(巻き上げ機構と連動して、シャッターチャージレバーを下げる機構)があるんですが、180mmと250mmのレンズだと、この機構は空回りするようになります。

というのも、シャッターチャージレバーが前方にせり出していて、カメラ本体のチャージ用の爪が届かないんです。

そのため、Mamiya C3と同じように「フィルム送り後に手動でチャージ」という動作をする必要があります。

レンズ側も、爪がスムーズに動くように整形されています。
この辺は「届かないモンはしょうが無い」という割り切りの産物でしょうw

あと、試しに着けたところを真横から撮影してみました。

二眼にあるまじきフォルムです。
ついでに、我が家の他の二眼との比較を

もうお話にならないデカさです。

こうして我が家にまた1台、「写真も撮れる鈍器」が生まれたのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?