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目測フォーカスのカメラとは

古いカメラの中でも、我が家では長老格のカメラだと「目測フォーカス」という方式のものがあります。

これはもう読んで字のごとく
「フォーカスを目測で合わせる」
という形式のカメラで、これらのカメラはファインダーが「ただの枠」です。

つまり、「撮りたいと思う被写体にピントが合っているかどうか、目視で確認することが出来ない」という事です。

左からレンジファインダー、目測フォーカス、そして一眼レフ

一眼レフや二眼レフだと、ファインダー上でピントがどこにあっているかを目視で確認できます。
レンジファインダーの場合などは、二重像が重なるかどうかでピントがあっている箇所を確認できます。

が、目測フォーカスは、一言で言えば
「勘」
です。

じゃあ具体的にどうやってピントを合わせるのかというと、
・被写体までの距離を「目測」で測る
・カメラのレンズ側にある距離指標を、目測で測った距離に合わせる
という、ただコレだけ。

レンズの前部分を回して、焦点の合う距離を調整します

なので、「被写体までの距離が大体何メートルか」をどれだけ正確に目測で測れるかで、写真のピントを合わせるかが変わってきます。

カメラの構造自体、非常にシンプルなものになり、カメラそのものもコンパクトになります。

割と新しいものだと、Rollei35も目測フォーカスのカメラです。

コンパクトな目測フォーカスカメラ、Rollei35

そんなのじゃフォーカスあわせられないだろ、と感じられる方も多いかと思います。
僕も最初、この手のカメラを使い始めたときに
「こんなん絶対ピント合わせられんわ…」
と軽く絶望しました。

ただ、ここで大きな意味を持つのが「絞り」です。
この手のカメラの場合、大抵レンズの解放絞り値はF3.5~F4くらいであることが多いですが、F8~F11、F16くらいまで絞って撮るのがコツです。

F値16くらいに設定して、距離計の指標を3メートル(古いカメラの場合は10フィート)くらいにしてやると、2メートル先から向う側にあるものには大抵ピントが合います。

写ルンですと同じような撮り方ですが、特に6mよりも先にあるもの=風景を撮影する場合などは、もうF値8の無限遠に合わせたまま、という具合で撮る事も多いです。

左はレンジファインダーのGW690、右は目測フォーカスのBeirax

今回、あまりフィルムを入れてなかったレトロなカメラを出してみました。
こういった古いカメラは、時々使ってあげないと加速度的に調子が悪くなるような気がします。

左:二眼レフのRICOHFLEX DIA L、右:NORCA3 Super

レトロカメラを愛用していると、大抵どこかのタイミングで目測フォーカスのカメラに出会うと思います。

近くにある被写体を写すには結構慣れが必要ですが、5メートル=軽自動車2台分くらい離れてしまえば、無限遠+F値8くらいの設定でほぼ間違いなくピントが合う、という優れものです。

NORCA3 Superで撮影した1枚

また、目測フォーカスのカメラは、「蛇腹を使ってパカっと開く中判のカメラ」などによくあります。
手軽に持ち運べて、6x9などの超高解像度な写真を撮れる、といったカメラでもありますので、もし見かけた際などは是非試して欲しいなーと思います。

我が家の最長老、御年87歳のBeiraxで撮影した1枚

ちなみに、87年前のカメラでも、カラーのフィルムを入れてちゃんと撮れば、こんな具合の写真を撮ることも出来ます。

古くて、扱いにもかなりの癖がある目測フォーカスカメラ。
慣れるまでは失敗もしますが、距離感覚さえ掴めてしまえば、
「大きめのポケットなら入れて歩けるくらいコンパクトな中判カメラ」
として気軽に使えるのが非常に大きなメリットでもあります。

畳むと大きめのモバイルバッテリーくらいのサイズになります

ヤフオクなどでちょくちょく見かけるこの手のカメラですが、使ってみれば意外と今でもちゃんと写してくれます。

蛇腹とフィルム室の遮光性が無事なら、現役のカメラやサブカメラとして使ってみるのも面白いと思います。

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