Brother KH-531の備忘録
先日、ヤフオクで「ほぼ送料だけ」という格安で手に入れた家庭用編み機、KH-531。
この子はどうも不遇な機種なようで、ネットを徘徊してみても解説サイトも解説動画もマニュアルも無い、ということで、今使っているのも完全に手探り状態です。
そんな状態でも、ある程度使い方について分かったことがありますので、まとめて見ようと思います。
本体のボタンの使い方
本体の右奥には、1~4の番号が割り振られたボタンがあります。
これは選針ボタンで、ボタンを押してレバーを「SET」方向に倒すと、選んだ番号の針が前に飛び出てくる、という仕掛けになっています。
例えば、1を選んでSETレバーを倒すと1の針だけが、1,3を選んでSETレバーを倒すと、1,3の番号が割り振られた針が出てくる、という仕掛になっています
この機能は、メリヤス編みのときには使用せず、模様編みや編込みをする際にだけ使うものです。
針の配置と位置について
KH531には、合計で200本の針が横一列に配置されています。
この針は、キャリッジ内の溝に沿って前後に動き、糸を編み込んでいくために使われるものですが、針の前後の位置にはある程度意味があるようで
A位置
…初期の位置で一番奥にある。編みの操作には一切関わらない
B位置
…標準の編み位置。
C位置
…編み込みなど、模様編みをする際にはこの位置にある針にだけ糸が掛かる
D位置、E位置…まだわかりません
といった具合で、一番良く使われるのはA~Cの針位置なようです。
キャリッジのボタン、ダイヤル、レバーの使い方
最もボタンやレバーが集中しているのは、左右に動かす部分、キャリッジです。
このパーツには大きくわけて
・編み目調整ダイヤル
・切り替えレバー
・編み機能切り替えボタン
が配置されています。
編み目調整ダイヤルは、糸の種類によって編み目の大きさ(糸のテンション)を調整するものです。
これまで何種類か試した結果、
・コットンでの20/8番手の糸…ダイヤルを6に合わせる
・ウールやアクリルの中細毛糸…7
・裂き織りの経糸に使われる細い糸…2と2/3に合わせる
といった具合で、数値の大きさと編み目の大きさが比例するような具合になっているようです。
切り替えレバーは、左右にそれぞれ「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」の位置に切り替えられるようになっています。
「Ⅰ」は、メリヤス編みをするときに使用するポジションで、針がぐいっと出ていようが標準の編み位置(B位置)にあろうが、キャリッジが通り過ぎた後はすべてB位置に戻ります。
「Ⅱ」はどうやら、複数色の糸で編み込みをするときに使用するようです。キャリッジが通り過ぎた後は、針の位置に関わらずB位置に戻ります。
「Ⅲ」についてはまだわかりませんが、「Ⅰ」、「Ⅱ」と異なる点として、キャリッジが通り過ぎた後針位置はB位置に戻りません。
加えて、左右のレバーを異なる位置に設定する意味についてもまだわかりません。
編み機能切り替えボタンは、
・中央に「平編み」
・右側に「編み込み左」と「編み込み右」
・左側に「タック左」と「タック右」
の合計5つのボタンが配置されています。
メリヤス編みの場合は「平編み」のオレンジを押して、すべてのボタンが押し込まれていない状態でキャリッジを動かします。
編み込みボタンは、複数の色の糸で編み込みをする場合に、キャリッジを動かす方向に応じたボタンを押し込むと、選針ボタンで選んだ針だけに糸をかけるような動作になります。
タックボタンについてはまだ使い方がわかりません。
平編み(メリヤス編み)
これらの機能を使って、実際にメリヤス編みをするまでの手順をザックリとまとめると
本体を組立てて、糸立て棒に糸をかける
直線重り(糸を引っ掛けてしたに引っ張る部品)をセットする
編みたい目数の針をA位置からB位置くらいまで引き出す
一度キャリッジを「レバー:Ⅰ、平編み」の状態で動かして、針位置を揃える
糸をキャリッジのフィーダー(真ん中の穴)にかけた状態で、右から左(または左から右)へゆっくり動かす。この時、キャリッジの下に出た糸は、テンションを感じたら一旦離す
直線重りのフックを外して、糸に引っ掛ける。この時編地の端と、直線重りのフックに糸がかかっている箇所の端をあわせる
2~5段目くらいまでは、あまりスピードを上げずゆっくりとキャリッジを動かす。(キャリッジは編地の端から10cmくらい行き過ぎるくらいまで動かす)
10段目くらいからは編地も安定してくるので、あとはキャリッジを左右に往復させて編む
というような手順で、非常に簡単にメリヤス編みを作れます。
糸掛け~最初の3段くらいを編むまでを慎重にやれば、あとは割りとスムーズです。40目の50段くらいであれば、それこそ15分もあれば余裕で出来ます。
編み込み(複数の色の糸を使った模様編み)
さて、メリヤス編みが出来るようになった時点で
「これって選針ボタンと編み込み機能使えば、色を変えての編み込みとかも出来るのでは?」
と思いついて、こちらも色々と試してみました。
選針ボタンが4つということは、針4本を1組として針を切り替えることになりますので、それほど複雑な模様は作れません。
とりあえず、サンプルとして一番シンプルな千鳥格子の模様編みをしてみた手順の記録です。
最初の糸掛け~10段程度編むまではメリヤス編みと全く手順は変わらず、糸Aと糸Bをそれぞれ糸掛けにかけておくところが、準備段階で生じる差です。
糸Aで10段程度メリヤス編みを編む
キャリッジが右側に着たら、キャリッジの切り替えレバーを左右ともにⅡに切り替え+「編み込み」ボタンを左右同時に押し込む
本体の選針ボタンで1・3・4を押し込んで、レバーをSET側に勢いよく倒す
1・3・4の針が前(C位置)に出たのを確認して、キャリッジを右→左へ動かす
キャリッジから一度糸Aを取り外して、糸Bをキャリッジにセットする
選針ボタンのレバーを「OFF」側に勢いよく倒してリセット
選針ボタン2を押してSET
2の針がc位置に出たのを確認し、キャリッジを左→右へ
選針ボタンをOFFにしてリセット
選針ボタン1・2・3を押してSET
1・2・3の針がC位置に出たのを確認して、キャリッジを右→左へ
糸Bを外して糸Aをキャリッジにセット
選針ボタンOFF+リセット
選針ボタン4を押してSET
4の針がC位置に出たのを確認し、キャリッジを左→右へ
選針ボタンOFF+リセット
選針ボタン1を押してSET
1の針がc位置に出たのを確認し、キャリッジを右→左へ
糸Aを外して、糸Bをセット
選針ボタンOFF+リセット
選針ボタン2・3・4を押してSET
2・3・4の針がC位置に出たのを確認し、キャリッジを左→右へ
選針ボタンOFF+リセット
選針ボタン3を押してSET
3の針がC位置に出たのを確認、キャリッジを右→左へ
糸Bを外して糸Aをセット
選針ボタンOFF+リセット
選針ボタン1・2・4をセット
1・2・4・の針がC位置に出たのを確認してキャリッジを左→右へ
この作業の3~29を繰り返すことで、こんな千鳥格子の柄を編み事が出来ました。
作業項目自体はこうして個別にかくと多く感じますが、慣れると結構手早く出来ます。
この編み込みで大事なポイントは、
・キャリッジの切り替えレバーは「Ⅱ」にすること
・編み込みボタンを押し込むことを忘れない
・糸Aと糸Bの切り替えと、「常にもう一方の糸の上をキャリッジが通る」ようにすること
この3つだったと思います。
ただ、実際やってみて率直に感じたのは
「労力と失敗率の割に出来上がりは今ひとつ」
というものですw
今後の課題
さてこのKH-531、ある程度使い方はわかりましたが、未だに理解しきれないポイントが多くあります。
その中でも、今後い色々試してみようと思うのは以下のポイント。
タックって?
キャリッジにある「平編み」ボタン「編み込み」ボタンの使い所はある程度理解できましたが、タックボタンの使い方はまだわかりません。
ただ、タックボタン自体は他の編み機でも組み込まれた機能であるようなので、他の機種のマニュアルなんかを参考にしてみようと思います。
レバーポジションⅢの使い所は?
レバーポジションⅠはメリヤス編み、Ⅱは複数の糸を使った編み込みのときに使うということはある程度分かってきましたが、Ⅲの使い所がまだわかりません…
こちらも他機種を参考にしてみようと思います。
模様編みの可能性は?
模様編み自体、裏側の糸の渡し方とかも考えると、それほどやることもないかもなー、と今更ながらに考えてますw
編み機の最大のメリットは「メリヤス編みを超絶エゲツないスピードで、しかも均一のテンションの編み目で作れる」というところかと考えています。
なので、編み込みはちょいちょい練習するにしてもメインはメリヤス編み機+ニット生地作成機として使っていく見込みです。