新着 不死者殺し 原稿用紙6枚。BFC3幻の2回戦、参加作品。 殺し屋と不死者のお話。 短めの小説 キリング・メッセージ 1000文字ちょうど、というお題で書いた、1000文字ちょうどの小説です。 原稿用紙で3枚弱。 ジャンルとしては、広い意味でのミステリ。 ワンダーウォール 約1200文字。原稿用紙で3枚くらい。 人と、ある生物との対話の記録。SF、なんですかね。 BGMは、オアシスのWonderwall 。 ボレロ 約3000文字。原稿用紙約8
最初に使ったのは銃だった。闇夜に紛れて背後に忍び寄り、後頭部に三つの穴を開けてやった。次に毒。食事に竜毒を混ぜ込み、内側から消化器官を爛れさせた。火や水、罠に爆薬といろいろ使ったが、最終的に落ち着いたのはやはり刃物で、頸動脈ごと頸椎を切断したところで、ようやく俺は実感したのだった。この世には本当に存在するのだ。殺しても殺しても殺せない化け物が。 不死者殺し。 そんな二つ名がついたのは五年ほど前だ。 気が付けば俺は売れっ子だった。仕事に困ることがなくなった。望んでいた
陽宿りの儀式が近付くと、今回はどの種を使うかという話し合いがもたれる。これまでの実績から優秀な種を選別し、偏り具合を確認し、因子の相性を考慮した上で最終的な案が出来る。あとはアレゥデォルェ様の承認が得られれば決定だ。 私は見習いなので、話し合いに参加することはできない。雑用をしながら、ただ聞くだけだ。それでもレカ姉様の名前が出たことで、つい口を開きそうになってしまった。レカ姉様は私の大切な人だ。次の巫女の一人に選ばれて、今は陽籠りの儀式でお社に入っている。姉様と相性の良さ
険しい山道を越え、ようやく雲上都市の一つ手前の集落に辿り着いた。ここが最後の休憩地点で、過ぎればもう後戻りはできない。 私はとにかく横になりたかった。山岳系の獣人種の力を借りなければ辿れない道なき道は、私の身体をとことんまで疲弊させていた。頭がずきずき痛み、筋肉という筋肉が軋み、まるで重力が増したかのように身体が重い。一刻も早く寝そべって、それから温かいものを口にしたい。最早それ以外のことは考えられない状態だった。 しかし集落に入った途端、私の心は感動に包まれた。やはり
愛とは何だろう。 僕には愛がわからない。 ヨミ花のことが好きかと訊かれたら、迷うことなく好きだと答える。しかし愛してるかと問われたら、僕には答が見つけられない。 「ねぇ、ロンロン。ほんとなの? ほんとにまたプレゼントくれるの?」 振り返ったヨミ花に問われ、僕は答える。 「もちろん。いつもの場所で待ってて」 ありがとう、とほほ笑む彼女は、この世のものとは思えないほど美しい。 「あとでね。愛してるよ、ロンロン」 ヨミ花に手を振り返しながら、同じ言葉を返せない自分に問い
「ねぇボクのこと好き?」「大好きだよ」ボクとゆっちゃはラブラブでずうっと一緒にいるし離れることはないしゆっちゃはボクの言うことなんでも聞いてくれて嫌なこと言わないし乱暴なことしなかったりで理想の存在。でも最近ちょっとだけトキめかなくなってきてて不思議なんだけど理由もわからないしでもやっぱり変な感じがするからボクはゆっちゃをじっと見る。「どうしたの?」優しくゆっちゃが首を傾げて「何でもないよ」て返すけどほんとは何でもあるからうーんって思ったところでガチャッ。ドアが開いて帰っ
アンパンマン知ってる? もちろん。 実は前からずっと気になってることがあんねんけどさ。 気になること? そう。気になりすぎて夜も眠れんくらい。 え、なになに? アンパンマンの味って……どうやと思う? 味? ボクの顔をお食べよって、あれ美味しいんかな? ええ、考えたこともない。……それがずっと気になってたの? ずっと気になってた。 夜眠れないくらいに? 毎日寝不足で死にそう。 死因、アンパンマンの味患いは悲しすぎるな。 一緒に考えてくれへん? まあ
何気なく立ち寄ったコンビニで、クソみたいな客がクソみたいなクレームを叫んでいた。あんだよてめーその態度はよってめー店員だろっこっちは客なんだよっふざけんじゃねーよっなんか言えやコラッ。いやうるせーよっと思ったけど、こっちはか弱い女だし揉め事は面倒だしとりあえず私は水が買いたいだけだったので、別の店にしようかなぁと思ったところで大きな音がした。 パーン、パーン、パーン。 耳をつんざく、というほどではなかったのだけど、何故だか心臓の中心までずしんと恐怖を埋め込まれるような音
準備中
王立特能院によると、僕の能力は一種の召喚系に属するとのことだった。誰でも一つは能力を持っているものだが、召喚はかなりレアだとされている。通常なら、貴重な研究対象として優遇措置を取られてもおかしくないのだが、僕の場合は違った。召喚される物が特殊で、さらに発動条件が不明だったからだ。僕に与えられたのは、王城の裏手の深い森、その中にある一軒の小屋だった。 僕自身は、己の能力の発動条件を知っていた。しかしとてもじゃないが役人などには言えない。信じてもらえないだろうし、心の傷なの
先輩の趣味は、ころころと変わる。 去年の秋ごろは、確か地図帳を眺めていたはずだ。 けれど今は、もう地図帳なんかでは満足できないらしい。先輩の好奇心には果てがない。日本地図を飛び越え、世界地図すらも飛び越え、先輩の興味の対象は、今や僕らの立つこの星、そう母なる地球……すらも飛び越えてしまった。 いまや先輩の頭の中は、宇宙で一杯なのだ。 「ビッグバンってどんなのだったんだろうねぇ」 そんなうっとりした顔で訊かれても、あいにく僕は見たことないです。 雨が降っていた。
いつものようにファミレスのバイトの帰り。 僕の隣には先輩がいる。 途中まで帰り道が一緒で、商店街の端っこにあるゲームセンターがお別れのマイルストーンだ。 だから僕はこのゲーセンが憎かった。罪に問われないなら、とっくに火をつけているところだった。しかしあいにく日本の法律は野暮なので、僕は恨めしげににらむくらいしかできなかった。まったく、日本人は頭が固いなぁ。イタリアあたりだったら、口頭注意くらいで済んでるぞ、たぶん。 とりあえず、こんな店で遊んでやるものか! と誓って
その1へ その2へ 6 腑抜けだった。僕は腑抜けになっていた。 なにをすることもできず、なにをする気にもなれず、ただ力なく床の上を転がる日々。なんであんなこと言っちゃったんだろう。思ってしまえばおしまいだ。ごろごろごろごろ転がって、そのまま階段から落ちていっそのこと死んでしまいたい。 なにもかも自分が悪いのだ。全部、自分のせいだ。もう土下座して謝りたい。ずるずるとアスファルトに額をこすらせて、そのまま地球の反対側まで行ってみたい。問題は途中に海があること
その1へ その3へ 3 神様がイジワルだろうがなんだろうが、そのことで僕が意味もなく落ち込もうがなにしようが、そんなこととはまったくなんの関係もなく時間は流れる。先輩と再会してから一ヶ月ほどが過ぎた。もうすっかり秋だ。 「あぁ、狩りに行きたいよねぇ」 先輩は相変わらずマイペースに、それでいてやけに要領よく仕事をこなしていた。すっかり店長やほかの従業員の信頼を勝ち得たらしい。 自分の場合を考えると、つくづく向き不向きというのがあるんだなあと思ってしまう。先
prologue 先輩の笑顔が好きだなあと思う。 いままさに咲かんとする花のような、儚げだけどどこか秘めた強さを感じさせるような、そんな笑顔。 たとえば授業が終わり、先輩の大好きな部活動が始まるとき。そんなときの先輩のうれしそうな顔ったらなかった。 お昼休みの部室。先輩は女の子のくせにずいぶんと大きな弁当箱を使っていて、いつもお腹いっぱいにお昼ごはんを食べては満足げな顔をしていた。 僕のつまらない笑い話なんかにも、先輩は盛大に笑ってくれたりした。 ずうっ
その男には左腕がなかった。 どうしたのかと訊くと、野菜と一緒に煮込んで振舞ったと答えた。それから男はこう言った。 「初対面から人の外見に言及するなんて、君は失礼な男だね」 男は世にも珍しい、人語を解する食用人間だった。 男の興味は音楽にあるらしかった。 通常、食用人間は言語を獲得することができないはずなのだが、男は後天的な努力と才能によってその力を得たらしい。結果、研究対象に格上げされ、食用として供されることのなくなった彼だが、それでも得られないものがあった。