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御船町カルチャーセンター壁画《飛翔》と浜田知明の版画《飛翔》

浜田《飛翔》(赤系)

飛翔/Flight
浜田知明/Hamada Chimei

1958
36.5×45.1cm
エッチング・アクアチント

 版画《飛翔》は作者が40歳の作で、前年東京での単身生活を引き払って熊本の家族のもとに帰って来ていました。この作品は、遠近法の一点透視図法の説明図を見て思いついたそうですが、箱型のブロックに頭や足を付け、足先に動きを与えることで、軽くなり浮遊しているように見えます。よく見ると中央下方に墜落しているのもいて、浜田らしいユーモアも感じさせる作品です。(熊本県立美術館蔵)

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壁画は御船町カルチャーセンターが建設構想される時に、町内の施設に御船町ゆかりの芸術作品を残そうと考えていた田中憲一が町当局の許可を得て、浜田知明を訪ねてお願いしました。浜田はその場で旧知のモダンアート会員の画家・執行正夫(しぎょうまさお)に電話し、執行が得意とした大理石モザイクで設置することが決まりました。執行は、東京藝大で壁画を学んだ若い3人に助手をお願いして、浜田の《飛翔》の作品を中央階段奥の壁面のサイズに拡大したものを大垣の大理石工場で制作、数枚のパネルにしたものを御船に持ち込み現場で仕上げました。壁画が完成し、カルチャーセンターがオープンした年の暮れに執行は亡くなりましたので、壁画の遺作となりました。

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多摩美術大学の椹木野衣(さわらぎのい)教授が、この壁画を見られた時「こんなに素晴らしいものが、日本にあったとは」と驚かれました。この壁画は、田中憲一浜田知明執行正夫の想いが実った御船町の貴重な文化財です。なお、浜田は版画《飛翔》の貴重な原板を御船町に寄贈しました。

浜田「飛翔」原板

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