関西から奥尻島を訪れる人のためのメモ
北海道の奥尻島に観光で行ってきました。とても楽しかったです。
奥尻島はそれなりに観光地なのでネット上にもいろんな記事が見つかりますが、それでも行ってみないと分からないこともありました。
今後奥尻島に旅行に行こうという方のために、いくつかわかったことを記しておこうと思います。
行くまでの準備
奥尻島に限らず離島への旅行では、都会と違って行き当たりばったりは厳禁です。最低限、
離島までの交通機関の確保
宿の予約
島内の交通機関の確保
が必須でしょう。今回私は上記1と2で結構苦労したので、これについて書いておこうと思います。
奥尻島へのアクセス①:江差港からフェリー
渡島半島西岸の江差港から2時間余りで、奥尻島中心部にある奥尻港に到着します。時刻表を貼り付けますが初見の人間にはすぐに理解できないほど複雑です。
基本的には、一日一便。7~8月やGW、9月の週末のみ一日二便ということのようです。ただし、一日二便の日の夜の便で奥尻に渡ったとしても、夜の8時前でありその日は何もできないでしょう。
奥尻島へのアクセス②:丘珠、函館空港から飛行機でアクセス
函館空港や丘珠空港から奥尻空港へのJAL定期便が存在しますが、こちらもフェリーに負けず劣らずダイヤが複雑です。
11時台に丘珠ないしは函館から奥尻への便が飛ぶのですが、日曜日と金曜日、および一部の3連休に丘珠発着、それ以外は函館発着ということのようです。
関西から奥尻島は遠い!
ここまで調べたところで、結局関西から奥尻に行くにはどうすればいいのか?という問題が発生します。
フェリーも飛行機もあまりにもダイヤが複雑すぎるので、自分で考えると頭がおかしくなりそうです。そこで、ネットの力を借りてみたところ、二つほどアクセス方法の候補が見つかりました。
候補1:フェリーで奥尻にアクセスするパターン
朝7:20伊丹発青森行のJAL便に乗り、はやぶさ1号で函館新北斗に向かいます。さらにバスで江差港まで行ってからフェリーを利用するルート。恐ろしいルートです。
何が恐ろしいかというと、JAL便やそのあとの青森空港~新青森駅のバスが少しでも遅れるといきなり破綻して、奥尻島への到達が不可能になるのです。
最悪の場合、奥尻に到達できずに函館新北斗あたりで急遽ホテルを取ることを覚悟するのでなければ、選択しないほうがいいルートでしょう。
候補2:飛行機で奥尻にアクセスするパターン
朝の飛行機で羽田に飛び、そこから函館空港、奥尻空港に乗り継ぐルートです。
こちらも恐ろしいルートです。3つも飛行機を使うので、交通費がまあまあの金額になってしまうのです。
朝の飛行機にもう少し早い便を選択すれば、上記フェリールートよりは奥尻に到達できる可能性は高まると思われますが…。
なお、丘珠空港発着の日にはこのルートは使用できません。なぜなら、伊丹~丘珠、羽田~丘珠はいずれも直行便が存在せず、どう乗り継いでも一日一便の奥尻便に間に合うように丘珠空港に到達することが不可能なためです。
私が選択したアクセス方法
関西出発日当日に奥尻まで到達するルートは、いずれもちょっとした遅れで行程が破綻したり、または曜日に制約があるなどしたため今回は断念しました。ということで、第三の案、前泊です。具体的には
前日
19:40 伊丹 ~ ANA739便 ~ 20:55 仙台空港当日
08:05 仙台 ~ はやぶさ1号 ~ 10:53 新函館北斗
11:08 新函館北斗 ~ 函館バス ~ 12:24 姥神町フェリー前
13:00 江差港フェリーターミナル ~ フェリー ~ 15:10 奥尻島
というルートでした。奥尻島着当日は、これだけ移動時間が長いと旅行の高揚感から覚めて正気に戻ってしまいそうになりました。しかも船に激よわの私はフェリーで結構船酔いしてしまいました…。
なお、前泊地として青森ではなく仙台を選んだのは、
伊丹~青森 最終便 18:30発
伊丹~仙台 最終便 19:40発
と、仙台のほうが夜遅くの便があって仕事の後に利用するのに都合がよかったからです。サラリーマンでなければこんなこと考えなくてもいいのでしょうが。
奥尻島は宿が不足気味
交通機関が決まったところで、次は宿の確保です。
少し前までは奥尻島にも、大人数を収容できるような大型のホテルがあったそうなのですが、残念ながら閉館してしまいました。
その結果、奥尻島にある宿泊施設は、小規模な民宿やゲストハウスのみとなります。そして、奥尻島には観光客以外にも、工事業者の方々をはじめとしたビジネス目的の来訪者が多く、慢性的に宿泊施設が不足気味のようです。
実際、私は訪問1か月前くらいに宿を予約したのですが、電話で5件断られた末にやっと予約に成功しました。奥尻に旅行なされる方は、相当早くから宿を予約したほうがいいでしょう。
なお、宿によっては食事の提供がないところもあるようです。奥尻島には、コンビニはフェリー乗り場近くにセイコーマートが一件のみ、晩御飯を食べられる店もそれほど多くはないので、よく確認する必要があります。
レンタカーは必須だと思います
奥尻島には町内に路線バスが存在します。
しかし、島内の南半分(青苗方面)を走るバスは一日5往復、北半分(稲穂方面)を走るバスは一日3~4往復と、当然ですが便数は多くありません。
レンタサイクルもあるのですが、奥尻島は車でゆっくり一周して4時間くらい必要なくらい、大きな島です。よほど体力に自信があったり、時間に余裕があったりしない限りは、レンタカーを借りるのが一般的だと思います。
フェリーが発着する奥尻港は奥尻エリア、飛行機が発着する奥尻空港は青苗エリアにあり、相互に車で20分ほど離れています。利用する交通機関に応じてレンタカーを借りる店を選ぶとよいでしょう。
なお、奥尻島内の道路状況ですが、フェリーターミナル付近は道幅も広くて走りやすいのに対して、島の北西部などは未舗装区間もあり、道が狭いです。Google Mapでは未舗装区間はストリートビュー未踏破なのですが、下記リンクをよく見ると、向こうのほうに未舗装の道が伸びています。
道がきわめて狭くて危ない!というほどの場所はないと思いますが、観光客は運転が荒い方もいるので注意するにこしたことはないと思います。
あと、観光協会で配布している「奥尻島まるごとマップ」見てみると「山の道路でタヌキに出会えます」と書いてあります。
これ、「出会えます」というと良く見えるのですが、実際は自動車の前にいきなりタヌキが飛び出してきたりもします。旅行先でレンタカーを破損すると、いろんな予定が台無しになるので、注意したほうがいいと思います。
それはそうとして、奥尻島は最高でした
どこ行ってもいちいち景色がいい!
幸い天候に恵まれたおかげもあり、奥尻島はどこもかしこもいい景色でした。
まずは奥尻島のシンボル鍋釣岩。かつては岩まで歩いて行けたそうなのですが、30年ほど前の北海道南西沖地震で土地が沈降して、鍋釣岩と島が完全に切り離されてしまったそうです。
夜間ライトアップもやっているのですが、個人的には朝見るほうがよかったかな…。
そして、島の北部にある球島山も素晴らしい景色でした。駐車場から5分ほど階段を上るだけでこの景色。360度全方位に向けて視界が開けています。海もきれいだし、山もきれい。何もかもきれい。
そして島の北部にある賽の河原公園。河原とかいいつつ海辺なのですが、この一帯は海難事故犠牲者などの慰霊の場となっているそうです。日本海の波をバックにした石積みは不思議な光景です。
島の西側にある北追岬公園も、素晴らしい景色が臨めるスポットです。奥尻島には「フットパス」という、トレイルコースがいくつか整備されているのですが、北追岬公園のフットパスはいろんな景色が楽しめるので、時間と体力のある方にはおすすめです。
あと、奥尻周辺の海は透明度が高く、「奥尻ブルー」と呼ばれているそうです。確かに場所によってはかなりきれいな青色に見えるところもあります。
奥尻島津波館は、ぜひ時間に余裕を持って訪れましょう
島の南端にある青苗地区は、北海道南西沖地震で甚大な被害を受けた地域です。地震とそのあとの火事で焼け野原になってしまったのですが、現在は奥尻島津波館とその周辺の徳洋記念公園が再整備されています。
津波館は急ぎ足で見て回ることもできるのですが、職員の方に丁寧な解説をしていただいたほうがよいと思います。概ね1時間程度を見ておけばよいでしょう。
あと、周辺には津波でも流されなかった数少ない建造物である、1931年完成の徳洋記念碑がそびえています。
ブナの森を散策できる「復興の森」ですが、全然地図等が見つからない…
島の北部に「奥尻21世紀復興の森」があります。
ちょっと歩いたのですが、パンフレット等が全然見当たりません。道自体ははっきりしていて迷うことはないのですが、携帯もつながらず、慣れないと結構怖いです。
奥尻はクマがいないので、こういう気軽に散策できるような場所は良い観光資源だと思うのですが、もうちょっと情報が入手できるともっとありがたいとも感じます。せめてどこかに地図とかあるといいのですが。
まとめ
結論としては、関西から奥尻島に行くのは面倒ですが、天気にさえ恵まれればとても良いところだということです。ざっと見てまわるには一泊二日もあれば十分だと思います。
この記事が、とくに関西から奥尻島に行ってみようという方の参考になれば幸いです。