見出し画像

私が20代のころに好きだった漫画たち

Xで少し前に見たポストを張り付けてみます。

これ、想像がつかなさすぎてめまいがしました。こういう相手がいる方がうらやましくないわけではないです。むしろ死ぬほどうらやましい。しかし、古書店は店ごとに品揃えが異なっていることから、一緒に古書店巡りをするにはある程度、本の嗜好が一致している必要があるのです。私は、人生で誰かと本の趣味が一致したことは、基本的にないのです。

このポストを見て思い出したのが、こちらの記事です。

私はこの映画を見たことがないのですが、ネット上で「サブカルおじさんに大ダメージ」とか書かれていたのをみて読んでみました。(たぶんスマホで読むのに最適化されているために、PCで読むとすごく読みづらいのですが…)

さらに、そういった、自分のことを普通よりちょっと面倒くさいタイプだと思っていて、その面倒くささに並々ならぬ誇りを持っている男女は、自分の学校の、ひいては日本の多くの人は悪趣味で本も読まず、映画も観ずにくだらない音楽を聞いてくだらないビジネス本を読んで暮らしている、と思い込みがちなため、自分とピタリと一致するカルチャー嗜好を持つパートナーを見つけて愛し合うことは兎角尊いものらしく、この2人の関係をある種の青春の理想形だと感じるようだ。

「映画『花束みたいな恋をした』に包摂されない女たち」より

さきほどのポストでは「自分のことを普通よりちょっと面倒くさいタイプだと思っていて、その面倒くささに並々ならぬ誇りを持っている男女」という要素はなかったのですが、おおむね根底にあるのは似ている?のかなと思います。
自分が好きなものを誰かと共有したい、あわよくばそれが身近な人であればよい、場合によっては魅力的な異性ならまたそれもよい。これはそんなに珍しい望みではないと思います。最近では「クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった」という漫画でも、B級映画好きという共通点を持った男女の出会いが描かれています。

しかし、この種の話は

小説の感想を何もセックスする相手と共有したいという願望も全く持ったことがない

「映画『花束みたいな恋をした』に包摂されない女たち」より

という方にとっては全く共感できない話なのかもしれませんし、もしかしたら「気持ち悪い」に近いような話なのかもしれません。

やっと本題です。先ほども書きましたが、私は、人生で誰かと本の趣味が一致したことは、基本的にありません。誰かが薦めてくれた本は読んだことがありますが、「お薦めの本を貸してくれ」といわれて貸した本が、読まれないまま返ってきたことも1度や2度ではありません。

昔は自分自身に「無意識のうちに一般受けしそうな本を遠ざけるという、『逆張り』をやってしまっているのだろうか」と問いかけたこともありました。しかし、社会人になって本の趣味を比較する機会が無くなっても同じような本ばかり読んでいることを考えると、どうやらたんに私の趣味が珍しいというだけだったようです。
私は普通の本(いわゆる「文字だけの本」)も漫画もたしなむのですが、普通の本についてはここ16年ほどの間に読んだ本の99.9%以上はネットにメモをあげています。

これをみれば、私がどんな本を好むかは内包的には理解できると思います。
しかし、「どんな本が好きですか?」と問われて外延的な説明をしようとすると、私自身も悩んでしまう状態です。これが共通の読書趣味を持つ人を見つけることをさらに難しくしているような気がします。初対面の人に、自分の読書嗜好を説明できなければ、趣味の合う人がいたとしてもそれを相手に知らせようがないのです。古すぎない程度に古いものが好きなのは間違いなさそうですが…。

あと、あんまりネットに挙げていないのは、私が好きな漫画についてです。私は20年ほど前まではコミックビームという漫画雑誌が大好きでした。今アニメがまさに話題の「ダンジョン飯」や、中央アジア付近を舞台にした人間ドラマを描く「乙嫁語り」などが連載されていた雑誌ハルタは、もともとはコミックビームの増刊からスタートしたのです。
しかし、私はどちらも、単行本を途中で買うのをやめてしまいました。私がコミックビームに求めている(求めていた)のは、こういうおしゃれかっこいいものではなく、もっとダメなものなのです。私が好きな、コミックビームにかつて連載されていた漫画をいくつか挙げてみます。もし、似たような趣味の方いらっしゃったらうれしいです。


100万円!ベガスくん

1巻が出てからもう22年、2巻が出るのをずっと待ち続けています。作者の肉柱ミゲルは、2016年になんと14年ぶりに「おじいちゃん、水素水でミドリガメ洗うのやめて。」という漫画を発表したのですが、こちらは幸いkindleで読めるようです。

あらすじ
貯金が100万円貯まったお祝いに、100万円の札束を胴上げしていた赤田家でしたが、家の中で焚いていたかがり火が100万円に燃え移って焼失。その煙の中から現れたのが「100万円の国」から来たというベガスくんだったのです!

読んでもよくわからないと思いますが、私にもよくわかりません。
ベガスくんは語尾に「ベガス」とつけて話すのですが、怒ったときの語尾は「ヴェガス」となるそうです。

四隅に100万円だから400万円という考え方は誤り

あとは、100万円シューターなるゲームで楽しく遊んだりもします。

「ノック知事」に時代を感じます

魔術っ子!海堂くん!!

こちらはマンガ図書館Zで全部無料で読めてしまいます。

あらすじ
オタクっ子の魔法使い見習い海堂くんは、同じくオタクの老子さまや、老子さまが作り出したオタクっ娘ミコちゃんと一緒に魔法修行に励むのです!

海堂くんが大切にしていた「声優100人大行進」のビデオをミコちゃんが間違って消してしまって、発狂する場面。

ああっ俺の へきるがっ めぐみがっ 優子がっ マリ子がっ 春奈がっ ゆり子がっ 琴乃がっ 喜久子がっ 晶子がっ 育江がっ 古奈美がっ ちなみがっ ゆかながっ みなみがっ のり子がっ 犬子がっ 雅子がっ 冬美がっ のぶ代がっ

老人冒険倶楽部という、老人が冒険するクラブとの出会いの場面

「まあ 魔術使いのタマゴといったところですね」
「はっはっは なるほどのう 魔じゅたま乱太郎というわけじゃな」

このくらいでどんな漫画かはわかってもらえると思います…。

釣れんボーイ

これは言わずとしれた、「できんボーイ」をもじったタイトルなのですが、「できんボーイ」自体古すぎて私もよくわからないです。
最近「新釣れんボーイ」なる続編が発表されたそうですが…。

あらすじ
いまいちパッとしない漫画家ヒマシロタケシ。漫画よりも何よりも釣りをするために生きているといってもいいくらいの釣り好きなヒマシロの日常がつづられる

初詣で熱心に祈るヒマシロ先生。もっと他にないのかよ…。

上部の余白が秀逸

街をパトロールするヒマシロ先生。

こんなミニスカで就職活動するものなのか?

こんな感じの、どうしようもない中年男性の日々が描かれます。時々ヒマシロ先生は正気に戻るのですが、あまりにも遅すぎたりタイミングが悪すぎたりするのがまた切ないのです。

金平劇場シリーズ

なんかamazonだと★2.3という恐ろしい低評価がついているのですが…。

長らくコミックビームの巻末を飾りつづけた読み切りシリーズです。「金平劇場」「かねひらだもの」「カネヒラデスカ」「KANEHIRA-DEATH」「金平deR」「かねひらでCHU♥」「ドキドキかねひらんど」と7冊の単行本が発行されています(なぜか「かねひらでCHU♥」だけがA5判)。20代のころ、私はこの漫画が大好きでゲラゲラ笑って読んでいたのですが、ある女性から「あなたは本気でこの漫画を面白いと思っているのか?」と真顔で問われたという思い出深い作品です。

代表作「お約束の夏(仮)」より。火星、夏、美少女、とくれば、血の海!

枠線が曲がっているのも狂気を感じます
すみません。ちょっと修正入れました。noteってbanとかあるのでしょうか。

いやマジで、こんな感じでまるまる1話が終わります。これ見たときにはちょっと衝撃でした…。

あとは「オタク軍」の軍人に対して教官が厳しい訓練を行う「史上最低最悪の作戦」より。

知らんかった…

これは「史上最悪の作戦」のパロディですね。私はこの漫画で冨永み~なの正しい表記を知りました。

あと、この金平劇場シリーズにまつわる超お宝アイテムを披露します。

「鋼の錬金平師」というタイトルも好きですし、「歯が無ぇ~」というくだらないギャグも好き

コミックビーム102号付録、スペシャルブックケース!これは超レアものです。このブックケースをここまで完全な形で持っているのは、日本でも10人もいないのではないでしょうか。
これは何がレアかというと、スクエニに無断で作ったせいでスクエニに怒られて即回収となってしまったために、世にほとんど出回っていないのです。と思ったら、ヤフオクで未使用品が500円で売っているのを発見してしまいました。供給も少ないですが、需要はもっと少ないために値が付かないようです…。

まとめ

こうやって見直してみると、オタクっぽい漫画が好きなのは間違いなさそうです。オタク=サブカルだとしたら、私もサブカルおじさんの仲間に入れてもらえるのでしょうか。
いつのまにかビームはこういうオタクっぽい雑誌ではなくなって、サブカルはサブカルでもおしゃれっぽい感じの雑誌となりました。私はそのころにビームを卒業したように記憶しています。
「釣れんボーイ」を描いたいましろたかし、「金平劇場」を描いた金平守人はまだ漫画家として活動していますが、あのころのビームで輝いていた作家の多くは最近見かけることがありません。
肉柱ミゲル、すがわらくにゆき、新谷明弘、夜野権太、園山二美…。同人作家やアシスタントして活動なさっている方もいらっしゃるようですが、皆さんお元気なのでしょうか。鮪オーケストラは、改名してホラー作家となられたそうですが。あの頃の超豪華なコミックビームは、今でも私の一部を形成しているように思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集