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私家版「この漫画がすごい!2025」

毎年恒例の「このマンガがすごい!2025」が発表となりました。

オトコ編の1位は『君と宇宙を歩くために』、オンナ編の1位は『環と周』。どっちも読んだことがないです。

下位のランキングについてはここで見ることができるのですが、読んだことがあるのはオトコ編2位の「ふつうの軽音部」、9位の「ねずみの初恋」くらいしかありません。
私はあまり漫画に詳しくないのですが、「このマンガがすごい!」は例年その時世を反映した社会的なヒューマンドラマが選ばれる傾向があり、あんまりギャグとかファンタジー、日常系などは除外される傾向にあるように思います(最近だと多様性とか女性の権利系の作品が多いです)。
そして、そういう漫画は私はあまり読まないため、「このマンガがすごい!」で選ばれる漫画と私の好きな漫画にズレが発生しているのかもしれません。

また、選考対象が

前年10月1日から発行年9月30日までに単行本が発売されたタイトル

なので、連載が始まったばかりの作品は対象外であるため、本当に直近で「すごい」と思った作品が対象外になるということもあるでしょう。

それじゃあということで、今年最後の投稿として個人的に私が今年すごい!と思った漫画を挙げてみたいと思います。

対象は

今年、雑誌やweb媒体等で連載の初出最新回が掲載されたものの中から、私が「すごい!」と思った作品

です。


放課後ひみつクラブ

これは、定番の部活ものです。

あらすじ:
学園のひみつを解き明かして真実に触れるために、「放課後ひみつクラブ」を創設した高校1年生の蟻ケ崎千歳。彼女のことをかいがいしく面倒を見る猫田悠一とともに、さまざまなヒミツを見つけていく。

ちゃおっぽい絵柄で長らく敬遠していたのですが、あるタイミングで読んでみたらとても面白いことに遅まきながら気づきました。蟻ケ崎さんの「ヒミツ・ミッケ」ポーズは目の中の星の迫力があって大好きです。

「ヒミツ・ミッケ」のポーズ
私の世代だとセーラームーンを思い出します

お気に入りは、文芸部部長の黒薔薇アンジェリカと自作の絵本対決をする会です。

黒薔薇アンジェリカの作品「おなかぺこぺこあおむし」

何かをやっているらしいです

対して、蟻ケ崎千歳の作品「ねないのだあれ」

タチが悪いらしいです

甲乙つけがたい名勝負だと思うのですが、猫田悠一によりなぜかノーゲームにされてしまいました。

いい勝負になりそうでしたが、理由があかされないままバトル中止です

このように、全編にわたり不思議な展開が続く、ファンタジー学園漫画です。読んでいるとだんだん力が抜け、リラックス効果があることでしょう。

AR/MS!! (エーアール・マルチプルサヴァイヴ)

こちらも部活ものですが、AR(拡張現実)の力を使ってコスプレ姿でサバイバルゲームをやるという、現実に存在したらとても楽しそうな競技を題材としています。

あらすじ:
魔法少女や変身ヒーロー、軍人、古代の甲冑を着た兵士など、拡張現実の技術を用いて好みのキャラクターになりきってサバゲーするという競技「AR/MS」。引っ込み思案の日向向日葵は、かねてからあこがれていたAR/MS部に入部して、魔法少女としてサバイバルゲームを行う。

設定が非常によく練られていて、ファウンデーションスーツと呼ばれる全身タイツのような着衣と、装備品をもった状態でフィールドを起動することで、簡単に好みのキャラクターに変身できるというものです。

ライフがゼロになるとAR機能が解除されて、ファウンデーションスーツ姿に戻ります

そして肝となるのが、スキル発動時の効果を決めるパラメータです。声量、ポーズ、詠唱の正確さ、感情移入による抑揚の変化などが効果に影響するように設定されているため、「なりきって楽しんだ者ほど強い効果が発動」します。

魔法少女「ラブリー・ミリー」の決めポーズと決め台詞を完全再現することで、
強力な魔法効果を発動する

これがものすごく楽しそうです。
自分の好みのキャラクターを選んで、そのキャラクターのポーズを練習してより強力な効果を発動させる。恥ずかしがらずにやるのがポイントです。

そして、直近ではなんか見たことある怪しげなキャラクターも登場しています。

なんか吸血鬼と対戦しそうな予感がするキャラクターですが

この作品が連載されている「COMIC MeDu」は、もともとアダルト系の冊子やサイトの運営を行っていたジーオーティー社が、全年齢向けに参入したもののようです(おそらく)。
そして、「AR/MS!!」はMeDuの看板作品の一つなのですが、なぜか6月上旬から11月上旬まで連載が休止状態でした。このままフェードアウトかと心配していたのですが、まだ続くようで一安心しています。

FX戦士くるみちゃん

タイトル通りのFX投資ものです。

あらすじ:
中学生の頃、FXによる借金を苦に母が自殺したという過去を持つ女子大生福賀くるみは、母が残した損失を取り戻すべく自らもFXに参戦する。

今年の連載分で、スイスフランショックの回があり、ついに来たかという印象でした。
(スイスフランショック:スイス国立銀行の為替介入により、スイスフランが対ユーロ比で数分で約30%急騰したという出来事。個人投資家だけでなく、投資銀行にも大きな損失を被ったものが発生した)

取引画面を一回閉じるところがリアルです

まさに今現在、くるみは1億円以上の損失を抱えたところで連載が続いています。

原作のでむにゃんはXでも投資の状況をポストしているのですが、当時のスイスフランショックでも被害を受けたようで、その意味ではこの方にしか描けない話なのだと思います。

アザミヤコを好きになる

最近連載が始まったばかりで単行本もまだ出ていない作品です。学園物のボーイミーツガールなのですが、ガールのほうがとても癖が強くて、バッドコミュニケーションの予感をつねに漂わせます。

あらすじ:
両親を失い、経済状態が厳しい環境で育ったサンノミヤマコト。幼いころに結ばされた名家出身の許嫁アザミヤコと結婚することで、経済状態の改善を狙うのですが、初めて会ったアザミヤコはかなり癖のつよい少女でした。

ファーストコンタクトの際に、アザミヤコがお絵かきしながら歌を歌っていたシーンが解像度が高くて好きです。


「ハイッ」という合いの手がところどころ入るのがリアル

私は絵を描く趣味はないのですが、一人で何かに熱中すると変な独り言を言ってしまうのは同じです。「ふんふんふにゃっ ふにゃふにゃふ~ ふんふ~」という歌がとてもリアルで好きです。

もう一つ好きなシーンが、初対面のサンノミヤマコトに、アザミヤコが自作の人形を紹介するところです。

恋愛漫画の表情とは思えない

「あっこんにちは じゃなくて おはようだった」
というのは、もっと気にするべきところがあるだろうとか、
「軽い身のこなしと体に仕込んだ武器で愛するご主人様を絶対守る、って設定あるんですけどどうですか?」
と問われてもどうもこうもねえよとか、いろいろ言いたいことはありながらも、最後のコマで全部吹き飛んでしまいます。

こんな話を考える原作のユニティコングという方が、どんな人なのかすごく気になります。

タスクス

「Amazon Fliptoon 縦読みマンガ大賞」で準グランプリを受賞した作品。全話無料で公開されています。

あらすじ:
おばさんの病気を治すために隣の山まで薬草を取りに行く少年タスクス。しかし、道中の橋が壊れているなど一筋縄ではいかず、どんどんタスクが増えていく事態に陥る。

あらすじもいいのですが、何よりも縦読み漫画の特性を活かしてタスクがどんどん積みあがっていくさまを表現しているのが秀逸です。

タスクが増えると左端のタスク表示が追加されます
タスクが積みあがると左のタスク表示も太くなり、画面が窮屈になります

これは、タスクが消化できない息苦しさそのものです。よくこんなことを思いつくな…。私は縦読み漫画は基本的に読まない、というかいくつか読んだのですがあんまりおもしろいと思えませんでした。普通の横読み漫画を一コマずつ分解して縦に配置しただけにしか思えなかったのです。
しかし、この「タスクス」は縦読みならではの漫画です。確かにこれは新しい表現だと思います。

H村へようこそ!

これもたまに見る田舎の因習?ものなのですが、因習の正体である生き神様が最初から姿を現しているというのが、あまり見ない点だと思います。

あらすじ:
分校に生徒が4人しかいない田舎のH村に引っ越してきた灰山A子。なぜかA子が住む家の屋根裏に生き神様が住んでいたのですが、その姿はちょっと変わった少女にしか見えない不思議な存在でした。

生き神様の名前を聞くシーンの文字が不気味で好きです。

生き神の真名を聞くまいと耳をふさぐ地元の少女が怖い

一度休載した時の、休載のお知らせもこの生き神様のことばによる告知でした。

この漫画、先がすごく気になるのですが3月以来ずっと休載中です。いったい何があったのでしょうか。作者の方のXを見てみるとまあまあ頻繁にポストなさっているのですが。もしかして連載終了してしまったのでしょうか。

なお、なぜかはわからないのですが、「H村へようこそ!」で検索して一番最初にヒットする実在の村は奈良県の十津川村です。H村ではなくT村なのですが。

そして次点は東京都の町田市。こちらも謎です。

これはゆがんだ食レポです

過食嘔吐を長年患っている?著者による、過食嘔吐を前提とした食レポ漫画です。

あらすじ:
過食嘔吐歴10年以上の著者が、過食嘔吐民の食生活と日常をあけすけに描く

私は今のところ摂食障害は患っていないのですが、過去に摂食障害歴のある方は絶対に読まないほうがいい漫画だと思います。再発の危険があると思います。

「もはや治りたいとも思っていない」というのが強い

吐き戻しは、食道を傷めるので非常に苦痛だと「かげきしょうじょ!!」で見たのですが、この方は大丈夫なのでしょうか?

「吐く前提の」というのも強い。はーとまーくが飛んでいます。

単行本が年末に発売になるそうです。繰り返しますが、摂食障害の病歴があったり、またはそうなる危険のある方には絶対にお勧めしない漫画です。
この方にしか描けない内容だとは思いますし、私にとっては知らない世界を覗かせてくれる面白い漫画なのですが。

妹が12人いる!

妹が12人!聞いたことがない斬新な設定!というか、令和の時代に妹が12人いる新作漫画を読むことになるとは思わなかったです。

あらすじ:生き別れの妹が12人いることが判明します。

というか、次の画像見ていただくとあらすじは理解いただけると思います。

生き別れの妹との出会い
妹が12人いることが判明

マジで!ほんまに大丈夫なのか?「三井COMICS」というのは私は寡聞にして聞いたことがないレーベルなのですが、三井財閥とつながりがあるからシスターがプリンセスな作品から怒られずにすんでいるのか?

2週間ごと更新なので、12人の妹全員のメイン回がすべて登場するには半年という時間が必要で、彼女たちの名前を覚えるのはなかなか大変そうです。


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