私家版「この漫画がすごい!2025」
毎年恒例の「このマンガがすごい!2025」が発表となりました。
オトコ編の1位は『君と宇宙を歩くために』、オンナ編の1位は『環と周』。どっちも読んだことがないです。
下位のランキングについてはここで見ることができるのですが、読んだことがあるのはオトコ編2位の「ふつうの軽音部」、9位の「ねずみの初恋」くらいしかありません。
私はあまり漫画に詳しくないのですが、「このマンガがすごい!」は例年その時世を反映した社会的なヒューマンドラマが選ばれる傾向があり、あんまりギャグとかファンタジー、日常系などは除外される傾向にあるように思います(最近だと多様性とか女性の権利系の作品が多いです)。
そして、そういう漫画は私はあまり読まないため、「このマンガがすごい!」で選ばれる漫画と私の好きな漫画にズレが発生しているのかもしれません。
また、選考対象が
なので、連載が始まったばかりの作品は対象外であるため、本当に直近で「すごい」と思った作品が対象外になるということもあるでしょう。
それじゃあということで、今年最後の投稿として個人的に私が今年すごい!と思った漫画を挙げてみたいと思います。
対象は
です。
放課後ひみつクラブ
これは、定番の部活ものです。
ちゃおっぽい絵柄で長らく敬遠していたのですが、あるタイミングで読んでみたらとても面白いことに遅まきながら気づきました。蟻ケ崎さんの「ヒミツ・ミッケ」ポーズは目の中の星の迫力があって大好きです。
お気に入りは、文芸部部長の黒薔薇アンジェリカと自作の絵本対決をする会です。
黒薔薇アンジェリカの作品「おなかぺこぺこあおむし」
対して、蟻ケ崎千歳の作品「ねないのだあれ」
甲乙つけがたい名勝負だと思うのですが、猫田悠一によりなぜかノーゲームにされてしまいました。
このように、全編にわたり不思議な展開が続く、ファンタジー学園漫画です。読んでいるとだんだん力が抜け、リラックス効果があることでしょう。
AR/MS!! (エーアール・マルチプルサヴァイヴ)
こちらも部活ものですが、AR(拡張現実)の力を使ってコスプレ姿でサバイバルゲームをやるという、現実に存在したらとても楽しそうな競技を題材としています。
設定が非常によく練られていて、ファウンデーションスーツと呼ばれる全身タイツのような着衣と、装備品をもった状態でフィールドを起動することで、簡単に好みのキャラクターに変身できるというものです。
そして肝となるのが、スキル発動時の効果を決めるパラメータです。声量、ポーズ、詠唱の正確さ、感情移入による抑揚の変化などが効果に影響するように設定されているため、「なりきって楽しんだ者ほど強い効果が発動」します。
これがものすごく楽しそうです。
自分の好みのキャラクターを選んで、そのキャラクターのポーズを練習してより強力な効果を発動させる。恥ずかしがらずにやるのがポイントです。
そして、直近ではなんか見たことある怪しげなキャラクターも登場しています。
この作品が連載されている「COMIC MeDu」は、もともとアダルト系の冊子やサイトの運営を行っていたジーオーティー社が、全年齢向けに参入したもののようです(おそらく)。
そして、「AR/MS!!」はMeDuの看板作品の一つなのですが、なぜか6月上旬から11月上旬まで連載が休止状態でした。このままフェードアウトかと心配していたのですが、まだ続くようで一安心しています。
FX戦士くるみちゃん
タイトル通りのFX投資ものです。
今年の連載分で、スイスフランショックの回があり、ついに来たかという印象でした。
(スイスフランショック:スイス国立銀行の為替介入により、スイスフランが対ユーロ比で数分で約30%急騰したという出来事。個人投資家だけでなく、投資銀行にも大きな損失を被ったものが発生した)
まさに今現在、くるみは1億円以上の損失を抱えたところで連載が続いています。
原作のでむにゃんはXでも投資の状況をポストしているのですが、当時のスイスフランショックでも被害を受けたようで、その意味ではこの方にしか描けない話なのだと思います。
アザミヤコを好きになる
最近連載が始まったばかりで単行本もまだ出ていない作品です。学園物のボーイミーツガールなのですが、ガールのほうがとても癖が強くて、バッドコミュニケーションの予感をつねに漂わせます。
ファーストコンタクトの際に、アザミヤコがお絵かきしながら歌を歌っていたシーンが解像度が高くて好きです。
私は絵を描く趣味はないのですが、一人で何かに熱中すると変な独り言を言ってしまうのは同じです。「ふんふんふにゃっ ふにゃふにゃふ~ ふんふ~」という歌がとてもリアルで好きです。
もう一つ好きなシーンが、初対面のサンノミヤマコトに、アザミヤコが自作の人形を紹介するところです。
「あっこんにちは じゃなくて おはようだった」
というのは、もっと気にするべきところがあるだろうとか、
「軽い身のこなしと体に仕込んだ武器で愛するご主人様を絶対守る、って設定あるんですけどどうですか?」
と問われてもどうもこうもねえよとか、いろいろ言いたいことはありながらも、最後のコマで全部吹き飛んでしまいます。
こんな話を考える原作のユニティコングという方が、どんな人なのかすごく気になります。
タスクス
「Amazon Fliptoon 縦読みマンガ大賞」で準グランプリを受賞した作品。全話無料で公開されています。
あらすじもいいのですが、何よりも縦読み漫画の特性を活かしてタスクがどんどん積みあがっていくさまを表現しているのが秀逸です。
これは、タスクが消化できない息苦しさそのものです。よくこんなことを思いつくな…。私は縦読み漫画は基本的に読まない、というかいくつか読んだのですがあんまりおもしろいと思えませんでした。普通の横読み漫画を一コマずつ分解して縦に配置しただけにしか思えなかったのです。
しかし、この「タスクス」は縦読みならではの漫画です。確かにこれは新しい表現だと思います。
H村へようこそ!
これもたまに見る田舎の因習?ものなのですが、因習の正体である生き神様が最初から姿を現しているというのが、あまり見ない点だと思います。
生き神様の名前を聞くシーンの文字が不気味で好きです。
一度休載した時の、休載のお知らせもこの生き神様のことばによる告知でした。
この漫画、先がすごく気になるのですが3月以来ずっと休載中です。いったい何があったのでしょうか。作者の方のXを見てみるとまあまあ頻繁にポストなさっているのですが。もしかして連載終了してしまったのでしょうか。
なお、なぜかはわからないのですが、「H村へようこそ!」で検索して一番最初にヒットする実在の村は奈良県の十津川村です。H村ではなくT村なのですが。
これはゆがんだ食レポです
過食嘔吐を長年患っている?著者による、過食嘔吐を前提とした食レポ漫画です。
私は今のところ摂食障害は患っていないのですが、過去に摂食障害歴のある方は絶対に読まないほうがいい漫画だと思います。再発の危険があると思います。
吐き戻しは、食道を傷めるので非常に苦痛だと「かげきしょうじょ!!」で見たのですが、この方は大丈夫なのでしょうか?
単行本が年末に発売になるそうです。繰り返しますが、摂食障害の病歴があったり、またはそうなる危険のある方には絶対にお勧めしない漫画です。
この方にしか描けない内容だとは思いますし、私にとっては知らない世界を覗かせてくれる面白い漫画なのですが。
妹が12人いる!
妹が12人!聞いたことがない斬新な設定!というか、令和の時代に妹が12人いる新作漫画を読むことになるとは思わなかったです。
というか、次の画像見ていただくとあらすじは理解いただけると思います。
マジで!ほんまに大丈夫なのか?「三井COMICS」というのは私は寡聞にして聞いたことがないレーベルなのですが、三井財閥とつながりがあるからシスターがプリンセスな作品から怒られずにすんでいるのか?
2週間ごと更新なので、12人の妹全員のメイン回がすべて登場するには半年という時間が必要で、彼女たちの名前を覚えるのはなかなか大変そうです。