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オンライン授業を生かすために まず大人の数を増やすことが必要だ

緊急事態宣言が解除されました。少しばかり心穏やかな時間を過ごせて、ありがたいなぁと改めて思います。今まで当たり前だと思っていた何気ない日常が、本当にありがたい。ここに至るまでに尽力されてきた方々に、感謝しかありません。

さて、そんな状況ですが、地元の公立小学校では、何かの時の練習のために、今年度になってから数回、オンライン授業を実施しています。おそらく、どの学校でも、進め方や頻度の違いこそあれ、「本当に必要になった時のための練習」をしているのではないでしょうか。

地元の学校は、研究校とか推進校に指定されているような特別な学校ではありませんが、その中で、先生方が工夫して、何とか実施しようと試行錯誤されていることが伝わってきて、本当に頭が下がります。

さて、「練習のためのオンライン従業」は、自宅、あるいは、教室(学童利用者)からの接続です。保護者も最初は近くにいて欲しい、とのことで、近くで仕事をしながら様子を見ていました。

気づいたことがあります。関わる大人の人数の話です。

サポートスタッフという存在

まず、真っ先に、「これはタイヘンだぁ!」と思ったのは、〈サポートスタッフ〉がいないことです。

学校の授業だから、担任の先生が全部やるのが当たり前? いやいや、それは無茶というものです。

企業研修や、大人向けのオンライン講演でも、登壇者とは別に、機材サポートを目的にしたスタッフが参加します。私も、オンライン登壇をお引き受けする際には、依頼元の方が機材サポートとして入り、話者をアップにしたり、接続トラブルのある方をフォローしたりと、目に見えないサポートをしてくれています。

学校の授業も同様のはずです。担任の先生は授業をする。そして、接続サポートを請け負う人が、担任とは別に入る。サポートスタッフがいなければ、誰か1人でも接続トラブルが起こった時に、担任の先生はフォローをしますから、その間、他の子どもたちは、待つしかありません。

おそらく、今は、パソコンやインターネットについて少し詳しい先生1人か2人が、学校全体のサポートをしているような状況ではないかと想像します。でも、それでは、即座の対応ができません。この先、オンライン授業が必要になる状況が起これば、全クラスが一斉に授業を実施します。どのオンライン授業にも、個別に、最低1人ずつのサポートスタッフが必要なはずです。

そして、このサポートスタッフは、インターネット接続や機器の専門家である必要はありません。オンライン飲み会ができる程度に使い方を知っていれば、誰でも務まる。個人的には、保護者のボランティアに頼るのも1つの方法なんじゃないかと、思っています。

オンライン会議の適切人数を考える

また、人数と言う点では、もう1つ気になることがあります。
今の小学校は1クラス最大35人。35人が一斉にオンライン会議システムに接続した時、1画面で全員の状況を確認できるでしょうか。

物理的なことを考えれば、例えばZoomの場合は、設定によって最高49人を1画面上に表示できます。ただ、その場合、画面を7×7マスに分けて表示するので、かなり大きなモニターがないと、1つ1つが小さすぎてよく見えません。今のように、学校の先生が「普通のノートパソコン」を使っている状況では、「最大49人写す」ことはできても、「写った全員の状況を確認する」ことは現実的ではありません。

そもそも、「相手の状況を確認できる」人数の上限って、どれくらいでしょうか。小学校の先生たちは、普段、1つの教室と言う空間の中で、最大35人に向けて授業を行っています。子どもたちの様子から、「よく理解している」「難しく感じている」「発表はしないけれど理解している」「助けが必要」など、状況を読み取り、個々に対応しています。

これと同じことがオンラインでできるか、と言えば、おそらく、個々の状況を読み取るためには、同じ空間を共有している状況(=対面授業)よりも、人数を減らす必要があるでしょう。同じ空間ならば伝わる空気感が、オンラインでは察知できないから、1人1人の状況の把握に時間がかかると思うのです。

ところで私は、2020年の春、2カ月間、平日毎朝「オンライン朝の会」を実施していました。

学校のように、みんなが決まった机に座り「正しい姿勢」で参加するとは限りません。いつもV字に広げた足だけが見えていた子もいれば(ストレッチしながら参加していたのかな)、押し入れの中から参加していた子もいました(その子の秘密基地なのかも)。質問に対して、手は挙げないけれど、モノを見せたり、ジェスチャーで合図したりして、何かしら感じていることを伝えようとする子もいました。

そういう、「学校の教室とは違う方法での表現や意思伝達」っを汲み取り、双方向での授業を実現することを考えると、1クラス35人をせめて半分の人数にできたらいいだろうなぁ、と思います。15~18人くらいまでなら、何とか全体を見回し、子どもたちの様子に気づくこともできそうです。

(なお、もし、子どもは必要に応じて挙手して発表すれば良く、個々の子どもの様子まで配慮する必要がない・・・という考え方ならば、双方向で授業を行わなくてもいいと思うのです。それなら、授業動画を作り、その動画を各自、家庭で視聴してもらえばいいだけの話です。)

現状の4倍くらいの数の大人の関わりが必要

こう考えてくると、オンライン授業をある程度の双方向性を持ちながら実施するには、「1クラスを2つに分けて(×2)」、「それぞれのクラスを、進行担当+機材サポートスタッフが担任する(×2)」と、今までの4倍もの人数の大人の関わりが必要になりそうです。

でも、それって、オンラインだから、でしょうか。

子どもたちが学ぶ環境には複数の大人がいた方がいい、という、随分昔から言われてきたことを、オンライン、という環境を与えられて改めて確認しているだけのような気がします。

「オンライン授業」の実施を現実的に進めるうちに、子どもの学びの環境に関わる大人が増えたら、それは、すてきな副産物ですよね。

そしてまた、授業の進め方の1つとして「オンライン」という選択肢を持つことで、この先、今までできなかった授業の在り方が実現するかもしれません。「オンライン授業」というのが、学校に行けない状況が起こった時に、仕方なく選択する授業スタイルではなく、距離や違いを生かし、強味を生かした学び方になれば、もっともっと面白いことを起こすことができそうです。

たとえオンラインになっても、子ども個々と向き合い、個々の疑問や気づきを大切にしたいと思う先生たちの気持ちは、きっと変わらないと思うのです。多くの大人が関わって、子どもたちは学びます。

「オンライン授業」の試みが、子どもの学びに関わる大人が増えることに繋がれば、すてきだな、と思っています。

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