【特別じゃないあそび】どんぐりで のびのび手づくり
遊びは日常です。時には、張り切って準備したり、貴重な道具や材料を使う「特別な遊び」もあるけれど、基本的には、毎日毎日続く日常です。だから、身の回りのものを使って、あまり頑張らなくてもできる【特別じゃないあそび】のアイディアをご紹介していきます。日々の遊びのネタが少しでも増えれば嬉しいです。
前回は、どんぐりを拾ってきて、観察して、そして、どんぐりを使って、どんどん楽しいことが広がっていくよ、という遊び方をご紹介しました。
(複数のマガジンに登録して頂き、初体験の数のスキを頂いてびっくりしています。マガジン効果がスゴイのは間違いないのですが、どんぐりパワー、おそるべし、です。)
今日は、どんぐりを使った「つくる遊び」をご紹介しますね。どんぐりは、素材そのものが魅力的な形をしているので、難しく考えず、そのまま生かすだけで、すてきな作品が完成しますよ!
従来の「つくる遊び」
どんぐりを使う前に「つくる遊び」のことについて、少しお伝えさせてください。
子どもたちが作品を「つくる」ことを目的にした教材や、キットが、世の中には色々あります。ワークショップとして、何かを作る体験ができるものもあります。
これらの多くは、〈仕上がりの完成度の高さ〉が重要視される場合が多いです。
考えてみれば当然かもしれません。キットの場合も、ワークショップに参加する場合も、保護者が費用を支払い、材料や体験を購入します。そうすると、支払った費用に見合うだけの結果(できあがった作品)を求めてしまうのでしょう。
実際には、「何をつくったか」よりも、つくる過程において、何を考えたのか、何を工夫したのか、何を克服したのか、何を楽しんだのか、そして、何を学んだのか・・・こそが、体験の対価だと思うのですが、形のあるものではないので費用の対価として分かりにくい、という実情も、理解できます。
私も「仕上がりの約束された作品」をつくるためのワークショップを実施していた時期もありました。ものすごく時間をかけて材料を準備しました。パーツごとにきれいに形を切り、長さを揃え、あらかじめ両面テープを貼っておく。子どもたちは、与えられたパーツを組み合わせ、決められた通りの場所に貼る。誰がつくっても、似たような、でも、それなりにきれいな仕上がりの作品が完成します。
つくる過程を楽しむあそび
でも、子どもたちの造形活動について学ぶうちに、パーツを組み合わせるだけの「つくる遊び」は、私の好みじゃないな、と思うようになってきました。大人が想定した「キレイな作品」というお手本に近づけるのではなく、子どもたち自身が感じたこと、作りたいものを、自由に発揮できてこそ「つくる遊び」の楽しさだし、そういう場を整えたいよね、と考えるようになりました。
ですから、今の私は、「お手本通りに組み立てる」遊びではなくて、子どもたちが感じたままに「つくる過程を楽しむ」遊びを大切にしています。
ただ、環境を用意する時に、使う素材の組み合わせを考えたり、使う色を考えたりして、「仕上がりが美しくなること」ことは意識しています。
美しさ、というよりも、魅力的かどうか、と言う方がニュアンスが伝わるかもしれません。子どもには、存分につくる過程の楽しさを味わってもらいたい、とはいえ、ある程度の年齢を過ぎれば、できあがったものにも自然と意識が向かいます。その時に、あぁいいな、と感じてもらいたい。
例えば、この作品は、絵の具を自由に吹いて遊んでいるだけですが、絵の具を用意する時に、色のトーンを揃えています。だから、吹く遊びが終わった時に、結果として紙に残った軌跡が、気持ちいい。
どんぐりを使った「つくる遊び」も、こんな考え方を元に、「のびのびつくる過程を楽しむけれど、仕上がりも美しい」ものをご紹介します。
どんぐり×ねんど
子どもにとって扱いやすい素材が粘土です。軽い紙粘土が100均などで、手軽に手に入るようになりました。大人が触っても心地いいですね。紙粘土とどんぐりで、オブジェをつくります。1~2歳くらいから遊べます。
真っ白のまま使ってもいいのですが、どんぐりに馴染むように、少し絵の具を足して、色を付けてみてもいいですよ。茶色や緑の絵の具を、少し混ぜて、よくこねます。
粘土をお皿のような形に伸ばして、そこにどんぐりを刺していきます。5センチくらいに折った木の枝など、別の自然素材を組み合わせてもいいですね。
一杯一杯使うのが楽しい人もいれば、とっておきの1コを載せて、「これで、できた」と言う人もいます。粘土に付けたどんぐりを、また戻す・・・という遊びを繰り返す人もいます。どんぐりの跡がでこぼこのクレーターみたい。
子どもが、いいよ、と言ったところで完成。1歳くらいだと、粘土の形をどんどん変えて遊ぶのが楽しくなって、完成しない場合もありますが、それも良し、と思ってください。粘土をこねて指先を使ったり、粘土とどんぐりの硬さの違いを味わったりと、遊びとして充実した時間になったはずです。
どんぐりをたくさん使った場合は、木工用ボンドで補強しておいてください。粘土とドングリの接しているところに、たっぷりと塗っておきます。乾いたら透明になるので、はみだしても大丈夫。
どんぐり×フェルト
フェルトは、どんぐりと組み合わせると、いい雰囲気です。暖かそうな感じが、秋から冬の季節感にちょうど合います。
つくり方は簡単。フェルトを厚紙に貼り、適当な形に切ったものを用意して、どんぐりや自然素材を、自由に貼るだけ。
子どもたちと、この遊びをする時は、私はあまり「意味のある形」を用意しないようにしています。フェルトをランダムに貼り、中途半端な形に切る。
木工用ボンドを用意します。浅い容器に出しておくと使いやすいです。(おすすめは、500グラム入りヨーグルトのフタ。)ちょんちょん、とボンドを付けて、フェルトに載せます。どんぐりだけじゃなく、木の枝や松ぼっくりも使えますね。
こういう作品は大好きです。習ってできるものではない、1人1人の持つ感性だなぁ、と感じます。
年齢が上がってくると、子どもたち自身も工夫します。フェルトを貼っていない厚紙の側にどんぐりを貼ったり、台紙を自分の好きな形に切ったり、自分で違う素材を探してきたり。そういう工夫のできる余地が楽しいですね。
できたものは、クリスマスツリーなどに飾ってもすてきです。
(大人がつくると、どうしても、こういう型通りの感じになってしまうんですけどね。でも、手を動かす時間は楽しいですよ。)
自然の素材は、1つ1つが魅力的な形や質感を持っているので、その魅力を楽しむような遊びや工作がいいな、と私は思っています。ぜひ楽しく遊んでみてくださいね。