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手作りおもちゃに使う「ビニールテープ」は安全ですか?

0歳のお子さんのいるお母さんから、「手作りおもちゃに、ビニールテープを使うことがあると思うんですが、ビニールテープは安全なんですか?」という質問を頂きました。

なるほど。
考えたことなかった。

考えたことなかった、というのが、まず、いかんですね。小さなお子さんのいる保護者の立場になれば、子どもが手にするものの「安全性」はとても気になります。
「ダイジョブ ダイジョブ てきとーにしてたけど、無事に育ってるから!」って言う自分の感覚が、全てのお母さんにも通じる訳じゃない。

帰宅してから調べました。
「埼玉県和光市南子育て世代包括支援センター」とが作成しているパンフレットには、「ビニールテープには、健康への有害性が指摘されているフタル酸エステルが使用されていることも多い」こと、「使うならばフタル酸フリーのものを選ぶことをおすすめする」ことが、書かれていました。
(なお、このパンフレットは、こちらの研究〈リンク〉を元に作成されたそうです。)

フタル酸エステル! 玩具メーカーで働いていた頃、何度も目にした言葉です。

塩ビの可塑剤についての基準が変わったのは、私がおもちゃの開発の仕事に携わって1年目の年のことです。
とはいえ、「塩ビの可塑剤」と言われても、何のことだか分からないと思います。私も当時は、どうして開発の部署の人たちや、品質管理チームの人たちが大騒ぎしているのか、全く分かりませんでした。

「塩ビ」とは「塩化ビニル」の略で、プラスチックの一種です。昔のビニールのプールバックとか、子ども用のビニールプールなどは、塩ビでできています。
塩ビは、「可塑剤」という、材質を柔らかくするための薬品を混ぜることで、硬さが自由に調節できるところが、使い勝手のいい素材だったそうです。(だって、あの、突っ張って硬いビニールバックと、プールで使う浮き輪が、同じ素材なんです。全然硬さが違うでしょう?)

ところが、一般的に用いられてきた「可塑剤」であった「フタル酸エステル」が、健康上有害性があることが分かった。それで、食品衛生法の玩具の項目も変わり、玩具の安全基準(ST)も変わった。
当時は(私の記憶が合っていれば)対象年齢が3歳未満のものは、材料に塩ビは使えない。3歳以上のものは、塩ビを使う時は、可塑剤が「非フタル酸エステル」のものだけが認められていて、パッケージにも必ずそのように記載することが必要でした。

パッケージの文字確認をすると、PVC(非フタル酸エステル可塑剤使用)って書いてある。書かなきゃいけないことが多いから、デザイナー泣かせだったんですよね。

「フタル酸フリー」のビニールテープも検索したのですが、残念ながら見つけられませんでした。「このメーカーのだったら、安心だから、これでどうぞ」と言えなくなってしまった。

どうやら、お子さんが遊ぶ時にクチに入れる可能性の高いものへの使用は、避けた方が安心のようです。0歳の赤ちゃんが自分で持って遊ぶおもちゃですよね。ガラガラとか。
一方、遊ぶ人が何でもクチに入れる年齢ではない場合とか、0歳のお子さんのクチが届かないような場所に使うのでしたら、そんなに気にしすぎなくてもいいかもしれません。(例えば、モノを入れて遊ぶための箱の一部とか。)

何が安全なのか、と言う判断は、難しいのですよね。24年前、玩具の安全基準が変わったように、後から「やっぱりこの素材が危険だって分かりました」と言う場合もあります。数値的には安全が確認されているけれど、何となく感覚的にに不安を感じるような素材もあります。

そうなったら、最後は、親が安心できる方を選ぶしかありません。正しい知識を持ち、判断し、そして最後は親自身が納得できるところで決める。絶対の安全なんて、ホントはどこにもないんですよね。
だからこそ、判断の基準となる「根拠のある情報」や「確からしいと考えられる情報」をお伝えしていくことが、今の私にできることかな、と考えています。

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