プロ視覚障害者のサッカー観戦レポート

プロ視覚障害者である僕にとって、サッカー観戦は、ちょっと変わった体験になる。

先日、サガン鳥栖のホームゲームに招待いただき、駅前不動産スタジアムの熱気を肌で感じてきた。

試合前のウォーミングアップ時の写真


目が見えない僕にとって、スタジアムは音の渦だ。

サポーターたちの歓声、チャントのリズム、スタジアムDJの声。
それらが混ざり合い、巨大なエネルギーとなって押し寄せてくる。

「今、どんな感じ?」
妻に尋ねると、彼女は僕の指を持ち、ボールの位置を伝えてくれる。

「シュート!」「惜しい!外れた~」
周りの観客の声援を頼りに、僕は頭の中で試合を「見える化」していく。

想像力は見えない世界を彩る。
視覚情報がない分、僕の想像力はフル回転だ。

選手たちの動き、ピッチの熱気、スタジアムの風景。

断片的な情報と、過去の記憶を繋ぎ合わせ、自分だけのスタジアムを創り上げていく。
「本気」の応援が心を熱くする。

特に印象的だったのは、どんな時もチームを鼓舞し続ける「熱狂的サポーター」の存在だ。

彼らの熱い声援は、得点シーンだけでなく、苦しい時間帯でも途切れることなくスタジアム全体を包み込んでいた。

その「本気」の応援に触れ、僕はサガン鳥栖が「人づくり」「まちづくり」「夢づくり」を掲げ、地域に根ざした活動をしていることを実感した。

「本気」で応援する人々がいる。

その熱量は、きっと選手たちの力となり、地域全体を元気にする力となるだろう。

「語り」がつなぐ、新たな観戦体験。

隣にサッカーに詳しい人がいたら、もっと深く試合を楽しめるだろうと感じた。
実況解説のように、選手の動きや戦術を詳しく説明してくれたら、僕の頭の中のスタジアムは更に鮮やかに彩られるだろう。

視覚障害者にとって、スタジアム観戦は、周りの人と「語り合う」ことで、新たな発見と感動を生み出す、特別な体験になる。

それは、まるで言葉と想像力で紡ぐ、もう一つのサッカー観戦記。

これからも、僕は「見えない」世界から様々な体験を通して、見えない価値を言葉で伝えていきたい。

そしてサガン鳥栖の活動が、より多くの人々に「夢」と「希望」を与えることを願っている。


試合後、ピッチに立たせてもらいました。広い!!


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