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お母さんのお腹

お母さんのお腹の中はすごい。何もしなくても、温かくて守られていて繋がっている。

けれど、誰もが10月10日もすれば、否が応でも外の世界に出されてしまう。

そして、そこから「人」としての歩みを求められる。好むと好まざるとに関わらず。

一人で歩かねばならず、
一人で死んでいかねばならない。

誰しもが、どこかに、不安と、孤独と、寂しさを抱いてしまうのは、お母さんのお腹という世界からの分離を経験してしまったからなのかもしれない。

だから、人は人と手を繋ぎ、寄り添い、励まし合い、一つになろうとする。

カッコつけていても、立派にしていても、強くあっても、根底で私たちの求めるものは、安心感であり、温もりであり、一体感である。
 
お母さんのお腹の中の安心と温もりと一体感。

どうしたら、あの世界に手が届くのかと、模索をする。
どうしたら、あの世界に手が届くのかと、行動をする。
どうしたら、あの世界に手が届くのかと、心を探る。

もし、生きるという衝動の起源があの世界にあるとするならば、なんとお母さんのお腹というのは偉大であり、なんと人間は健気な生き物なのであろうか。

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