丁々発止のやり取り
藤山直美と言う役者さんの名前は知っていても、喜劇役者という程度しか知らないでいました。生前は中村勘三郎さんと親交が深く、お二人が共演されたお芝居はとても評判良かったそうです。
以前耳にした一説によると喜劇やお笑いで言う所のボケとツッコミは、陰と陽で成り立っていると聞いた事があります。陰のボケがあるから陽のツッコミが引き立ち、笑いの深淵に触れる事が出来るのだと。
そしてそれは、お芝居おける丁々発止(ちょうちょうはっし)のやり取りを楽しむ事にも相通じるのではと感じています。
丁々発止とは、激しく議論する様を言い表し、芝居に於いては激しい台詞の応酬を言い、観る者を魅了して止まない醍醐味のひとつでもあります。
きっと藤山直美と勘三郎さんの芝居も、陰陽と丁々発止のバランスが取れた見事なものだったのだろうと想像しています。
さて、そこで日常生活の会話の中では、どんな丁々発止があるだろうかと、ふと考えてみました。
会話やコミュニケーションは、ややもすると一方的な言葉の押し付けになってしまいがちで、ちゃんと言葉のキャッチボールが出来ているのかどうか気を付けないといけませんよね。
気付かずにドッジボールになってしまい、相手に言葉をぶつけるばかりではコミュニケーションと呼ばないのですから。
では、理想とする丁々発止のやり取りとはどんなものなのでしょうか。
難しい議論を戦わすばかりでなく、相手を言い負かそうとする口ゲンカでもない。
其処には言葉遊びを楽しむ余裕、ツウと言えばカア、打てば響く様な阿吽の呼吸、間とでも言うのでしょうか、そんな様子が頭に浮かんできます。
そして其処には笑いが、笑顔が不可欠なのは言うまでもないですよね。
もっともその前に、丁々発止の相手がいなければ成り立たない話なのですが笑