見出し画像

【たべもの九十九・り】りんご飴

あなたの好きな果物トップ3はなんですか?

私は西瓜・梨・桃です。瑞々しい果物が好きなんです。子供の頃西瓜を食べると、赤い部分がまったくない、正真正銘皮だけにしてしまうので笑われていました。

今年は鳥取と金沢の大玉西瓜を友人が送ってくれて、7月は毎日西瓜を食べていました。鳥取スイカは身が締まっていてとても甘く、金沢スイカは食感がシャリシャリしてさっぱりした甘味が本当に美味しくて。
おかげでとても幸せな夏を過ごしています。

でも、果物の中で一番食べているものは実はりんごかもしれません。

りんごって他の果物に比べてちょっと特別な存在。
アダムとイブがエデンの園で食べた果実がりんごと言われているし、ウィリアム・テルが頭の上に乗せて矢で射られたのもりんご。白雪姫が食べたのもりんご。
ニュートンが万有引力の法則を発見したのもりんごの実が落ちるのを見てと言われていますよね?

「一日一個のりんご、医者いらず」ということわざもあるくらい、りんごは健康にもいいみたい。そういえば、子供の頃熱を出して寝込んだとき、すりおろしたりんごを食べさせてもらった経験があります。

今回はそんなりんごにまつわる思い出の話です。

私は昭和40年代後半から50年代前半に小学校時代を過ごしました。今でもあるのかどうかわからないけれど、当時栃木県の宇都宮市では学校の運動会があると、露店が校庭に並びました。
運動好きだった私にとって運動会も楽しかったけれど、この露店も楽しみにしていました。

その中で私のいちばんの憧れが「りんご飴」。
けれど何度ねだっても母は買ってくれませんでした。当時は家計のやりくりが大変だったようで、露店での買い食いは御法度だったのです。

りんご飴 これは小さい姫りんごで作ったもの

屋台のテーブルの上に並ぶりんご飴は艶やかな光を放って大きな赤い宝石のようでした。

食べたらどんな味がするんだろう?

想像してみるも、食べたことがないのだからわかりません。生のりんごが飴でくるまれているところも不思議でなりませんでした。

運動会では(ああ、りんご飴が食べたい)と思いながら母が作ってくれたおにぎりやいなり寿司を食べていました。

が、小学校も卒業する前、5年生か6年生の時についにりんご飴を食べる機会を得たのです!

おじいちゃんだったかおばあちゃんだったか、あるいは誰か知り合いの大人だったか、とにかく運動会を見にきてくれた誰かが「りんご飴」への思いを語る私にりんご飴を買ってくれたのです!
その恩人が誰だか覚えていなくて申し訳ないけれど、とにかく私はりんご飴を手に入れました。

もう運動会どころじゃない。
昼休みに買ってもらったりんご飴をかじる。

あれ?かじれない。

そう、食べたことがある人はわかるでしょうけど、りんご飴の周りの飴ってカチカチなのです。

なので次はなめてみました。
飴の味。それはそれで美味しい。
少しなめて、ちょっと薄くなったところを齧ってみました。

そしたら!
生のりんごに到達し、果汁がジュワッとしてきて、それが硬い飴と混ざってなんだかとても不思議な食感。
ただりんごを食べるのとは違いました。りんごに飴が混じるだけでこんなに不思議な食べ物になるとは。
あとは飴を噛み砕きながら、りんごと一緒にしゃりしゃり食べました。ああ、満足。

りんご飴を食べたのはそれきりです。
りんご飴を味わって満足したのと、飴が歯にくっつくのでちょっと面倒臭かったから。
りんご飴は私の中で思い出の食べ物として記憶の1ページに保管され、もう食べることはないだろうと思っていました。

ところが。

令和の今になって、昭和のそういう食べ物にスポットライトが当たっているのか、代官山にりんご飴の専門店が登場したんです!

その名もCandy Apple。

Candy Apple 代官山本店

ここで買ったのがこれ。

久しぶりのりんご飴

これですよ、これ。この輝き!
屋台で売っていたものよりかなり上品な佇まいになっていますが、子供の私が恋焦がれたりんご飴です!

周りの飴はやっぱり硬くて、ナイフでカットしていただきました。何十年ぶり?再会感がハンパないです。

生のりんごと飴のハーモニーは相変わらず不思議な食感。シャリシャリとガリガリの間。

シャリシャリ
ガリガリ

・・・りんご飴を食べながら考えました。
なんであの頃あんなにりんご飴が食べたかったのだろう。

今、同じように「食べたことがなくてものすごく食べたいもの」ってあるかしら?

思い当たらない。

恋焦がれてやっと食べることができたあの時の気持ちを思い出してみると、すごく幸せだったなあと思います。食べ物に限らず、思いが叶うって素敵な体験ですよね。

そこには、その夢を叶えてくれるために力を貸してくれた人がいたんですよね。あの時、私にりんご飴を買ってくれた誰かさん、本当にありがとう。

そして、記憶の片隅でほこりをかぶっていた思い出にスポットライトを当てて幸せな気持ちを思い出させてくれたCandy Appleさんもありがとう。

Candy Appleには私の知っているりんご飴だけでなく、いろんな味のバリエーションがあるので、今度はスイーツの一つとしてりんご飴を買いに行きますね!

りんご飴ブラザーズ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?