あの頃の恋愛②

2月半ば、ラッピングの袋や材料を買いながら、心のモヤモヤと戦っていたころ。

少しでも気になってほしくて、バレンタインデーにチョコレートを渡すことにした。でも、渡そうと思っていたのはあくまでBくんであった。そう、ずっと、「私はBくんが好きなんだ」となぜか言い聞かせていたのだから。

はっきりと答えがわからないまま当日になり、カバンにひとつ、チョコを入れて登校した。授業中も頭を悩ませて、どちらに渡すかをずっと考えていた。でもかすかに気づいていた、LINEが来るのを待っていたこと、目で追っていたこと、話せたらうれしかったこと、それはAくんであったなと。

「私、Aくんに渡す!!」

そう友達に告げて、渡そうと決めた昼休み。だが、タイミングがわからず、チャイムの音と「さようなら」の声が響き渡った。

「あ・・・」

Aくんは声をかける前に教室の外へ友達と行ってしまった。その瞬間、とっても後悔した、渡したかったんだ、私。深くため息をつきながら私も部活へ向かおうと出ていくと、廊下の個人ロッカーの前で教科書を入れ替えているAくんの姿が。思わず曲がり角までダッシュして隠れてしまった。教室から出てきた友達もそのことに気づき、私のところまで走ってきて

「チャンスだよ!!」と。

心を決めるまで、少し時間はかかったがずっとAくんはかわらずロッカーの前にいた。頭の中で、「これ、余ったからあげる!たべてね」とかいうことを考えていたのに、走って渡しにいった私は

「ねえ、これ、あげる」

そんな言葉しかでなかった。でもAくんは「おう、ありがとう!」とにっこり笑ってくれていた、にもかかわらず私はダッシュでまた曲がり角まで走って逃げてしまった。だいぶん失礼だったよなあ。

そして気づいた、こんなにAくんのことをすきになっていたことを。

その日の夜、いつものようにAくんからLINEがきた。「チョコありがとう!めちゃうまかった!」そんなメッセージに嬉しくなって、「いいえ~よかった~」と普通に返した途端、次の返事に思わずドキッとした。

「義理に決まってるよな~爆笑」

彼の本心がわからなかった。いつも爆笑なんて使うキャラではないけれど、「うん」といったら告白になるし「ううん」というと嘘になるし、どうしようかと思った。どういう心理で聞いていたかわからず、思わず

「さあね~」と返してしまった。本当に素直ではない。それに彼も「そうなんか~」とかえってくるだけだった。でも、私は自分の気持ちに気づいてしまった以上、この関係を続けたいと思ったし、それ以上になりたいと思ってしまった。

でもそれから、Aくんからの連絡はわかりやすく減っていった。駄目だったんだなと、落ち込んでいたとき、突然Aくんの友達に衝撃的なことを言われた。

「残念だな~、あいつお前のこと好きだったんだぜ」

嘘だ、と思った。

「だって、チョコもらったこと部員のみんなに言ってたし、めっちゃ喜んでたで」

嘘だ嘘だ、何回も疑った。両想いだったのだ。

「あの返事で脈がないなっておもったんちゃう?」

「あの返信に素直に答えていたら、付き合えていたの?」そんなことを後悔しても、Aくんの連絡はどんどん減っていった。タイミングが合わなかったのだ。そう、交わらなかった淡い気持ちたちだったのだ。

その後、私は違う人と付き合ったが、これが私の忘れられない恋愛。ここまで読んでくださってありがとうございます。




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