見出し画像

あなたはどのタイプ?東洋医学で考える『冷え性』タイプ別に解説します

寒さがきびしい季節となり、冷えに悩まされている方も
多いのではないでしょうか。

体温は平熱で特別低いわけではないけれど、
からだに氷が入っているような冷たい状態となる冷え性。
成人女性のおよそ半数以上が悩んでいるともいわれています。

西洋医学では「冷え性」という病気はなく、
冷え自体を改善する治療方法はほとんどありません。

一方、東洋医学では冷え性を治療の対象としており、
冷え性のタイプにあわせてさまざまなアプローチ方法があります。

今回は東洋医学における冷え症のタイプについての解説と、
それぞれの改善方法をご紹介します。


●タイプを知ろう!症状チェック

まずは、ご自身の冷えがどのタイプかを知るために、
症状チェックをしてみましょう。

①~③のそれぞれの症状に何個ずつあてはまるか数えてみてください。

① のタイプ
✅  疲れやすい
✅  食欲がない
✅  胃腸が弱く、もたれやすい
✅  気力がわかない
✅  風邪をひきやすい
✅  寒がり

② のタイプ
✅  冷えのぼせ(末端は冷えているのに上半身や顔が熱くなる)がある
✅  シミ、そばかす、クマが気になる
✅  ニキビやイボなどの肌荒れ
✅  肩こりがある
✅  便秘しやすい
✅  (女性の方)生理痛や経血に塊がある

③ のタイプ
✅  むくみやすい
✅  下痢しやすい
✅  下半身がおもだるい
✅  胃のむかむか、吐き気がある
✅  口の中のべたつき、痰がある
✅  湿気の多い時期に不調が出やすい

どのタイプの症状にあてはまった個数が多かったでしょうか?
東洋医学で考える冷え性と、それぞれのタイプについて
これから詳しく解説します。

●東洋医学で考える冷え性

東洋医学では、身体を構成する成分を
「気」「血」「水」の3つに大きく分けて考えます。

「気」「血」「水」は、それぞれ以下のようなイメージです。

気:生命エネルギー
血:血液や栄養分
水:体内を流れる血液以外の液体

「気」「血」「水」の過不足があったり、
巡りが悪くなったりすると不調が生じるとされています。

冷え性において、「気」「血」「水」には以下の役割や影響があります。
気:体を温める作用
血:熱を体のすみずみまで運ぶ働き
水:流れが悪くなると、たまった部分で冷えが生じる

これらの働きや影響から考えると、
「気」「血」「水」が以下のような状態になったときに
冷えが生じやすいことがわかります。
①   気虚(気の不足):体を温める気が足りない
②   お血(血の巡りが悪い):血の流れが悪いため、熱を運ぶことができない
③   水毒(水の巡りが悪い):水がたまった部分が冷えてしまう

これら3つの冷えが生じやすい状態が、先ほどの3つ冷えのタイプです。
それぞれの原因に合わせて対策をしていきましょう。

●タイプ別の改善方法

冷え性のタイプ別に、
からだの状態と改善方法、代表的な漢方薬を紹介します。

先ほどの症状チェックで多く当てはまったタイプを中心に
参考にしてみてください。

①のタイプ:全身が冷えやすい(気虚)

気が不足している方は胃腸のトラブルを抱えていることが多く、
食事から栄養をしっかり吸収できないため
エネルギーが不足していると考えます。

改善方法としては以下がおすすめです。

・しっかりと休むこと

頑張りすぎや寝不足は気を消耗してしまいます。
気虚タイプの方は、何よりも「休むこと」が大切です。

なるべく無理をせずに規則正しい生活リズムで、
しっかりと睡眠をとるように心がけましょう。

・胃腸を元気にする

胃腸に負担をかけないように、
消化しやすく温かいもの摂ることを意識するのがおすすめです。
よくかんで食べることも胃腸の助けになります。

「たくさん食べて栄養をとらなきゃ」と考えるかもしれませんが、
食べる量が多いと弱った胃腸ががんばる必要があるため逆効果のことも。

食欲がないときには無理して食べずに、
少量ずつこまめに食べるのも方法です。

・気を補う食べ物

気を補う食材には以下のようなものがあります。
やわらかく炊いたり、小さく切ったり
消化しやすい調理法で取り入れるとなお良いですね。

  穀物類:玄米、うるち米、もち米など
  いも類:やまいも、さつまいも、じゃがいもなど
  豆類:枝豆、さやいんげん、グリーンピース、ソラマメなど
  キノコ類:しいたけ、マイタケ、エリンギなど

・気を補う代表的な漢方薬

補中益気湯、六君子湯、人参養栄湯など

②のタイプ:末端が冷えやすい(お血)

ストレスや運動不足、冷えなどにより血の巡りが悪くなると、
体のすみずみまで熱を届けることができずに末端が冷えてしまいます。

改善方法としては以下がおすすめです。

3首+お腹をしっかり温める

からだが冷えていると、血の巡りは悪くなります。
そのため、からだを冷やさないように心がけて、
温めることで血の巡りを助けることが欠かせません。

特に、「手首・足首・首」の3首と、
お腹をしっかりと温めるのがポイントです。

手袋やレッグウォーマー、マフラー、腹巻などを活用しましょう。

・運動を生活の一部にする

運動不足になると血の巡りは悪くなってしまいます。
ストレッチやウォーキング、筋トレ、ヨガなど
取り入れやすい運動を生活習慣にくみこんで、血の巡りを改善しましょう。

特に「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎを動かすのがおすすめです。
歯をみがきながら、かかとあげをしてふくらはぎを刺激するのも良いでしょう。

運動するのが難しい日は、
軽くマッサージするだけでも血の巡りを助けられます。

・血の巡りを助ける食べ物

以下のような野菜や魚には血を巡りやすくする作用が知られています。

  青魚:イワシ、サンマ、サバなど
  香りのある野菜:玉ねぎ、エシャロット、ニラなど

・血を巡らせる代表的な漢方薬

桂枝茯苓丸、温経湯、加味逍遙散など

③のタイプ:内臓が冷えている(水滞)

体内の水の量が多かったり、巡りが低下して偏ったりすると、
水がたまっているところに冷えが生じてしまいます。

改善方法としては以下がおすすめです。

・甘いものや油分の多いものは控えめに

甘いものや油分の多いものは、水を引き寄せる性質が知られています。
そのため、摂り過ぎには注意が必要です。

・水分を一度に飲みすぎない

水分代謝がうまくいっていない状態で水分を一度にとると、
さらに水滞を加速させ冷えの悪化につながってしまいます。
水分は、一口ずつとるように心がけましょう。

また、温かいものを飲むことは冷えの緩和には良いですが、
温かい飲み物で体を温めようとすると、
飲みすぎてしまうこともあるため気をつけましょう。

・水の巡りを助ける食べ物

  海藻類:わかめ、昆布、のり、あおさなど
  瓜類:きゅうり、にがうりなど
  ウーロン茶、紅茶、プーアル茶などのお茶

・水を巡らせる代表的な漢方薬

五苓散、当帰芍薬散、八味地黄丸など

●冷えが原因で起こる不調

「冷えは万病のもと」と昔からいわれているように、
冷えが続くと以下のような不調を招いてしまうことがあります。

◇  抜け毛や白髪、薄毛など髪の毛の悩み
◇  くすりやたるみ、シワ、シミ、クマ、乾燥、かゆみなど肌の悩み
◇  イライラや不眠、不安感など精神的な悩み
◇  ドライアイや老眼、疲れ目、かすみなど目の悩み
◇  頭痛やだるさ、疲れやすいなど全身の悩み
◇  生理痛や生理不順、不妊など婦人科系の悩み

冷え症を改善するための対策をしても、
生活に支障があるくらい冷えがつらい場合や長く続く場合は、
膠原病や甲状腺などの病気が隠れていることもあります。

放置せずに、婦人科や内科を受診して相談するようにしましょう。

●まとめ

今回の記事で紹介してきたように、冷え性にはいくつかタイプがあります。

それぞれのタイプにあわせた養生方法を取り入れて継続することで、
寒い季節でも冷えが和らいで過ごせるようになるでしょう。

また、タイプごとの代表的な漢方薬も紹介しましたが、
漢方薬は体力の度合いなどに合わせて服用することで効果が得られやすく、
副作用が出にくくなります。

かかりつけの医師や薬剤師に相談するのが安心です。

最後までお読みいただきありがとうございました。


くすりちゃん健康情報は月に一度の配信♪ぜひフォローをお願いいたします。

三重県に地域ど密着、健やか薬局についてはこちらから。

健やか薬局の採用についてはこちらから。


参考:漢方ビュー
https://www.kampo-view.com/trouble/hiesyou

クラシエの漢方
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/body/?p=8455
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/body/?p=9356
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/body/?p=9371

ヘルスケアラボ
https://w-health.jp/woman_trouble/cold/


いいなと思ったら応援しよう!