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人とツナがる・インタビュー #1

創刊号にあたり、員辨暁委員長に今の思いや三重教区内外の方々に向けた
メッセージをお伺いしました。

◾本日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。

◾先日、寺町通り商店街でアンケートを取った結果、77人中2人しか「慶
讃」の字を読める人がいませんでした。門徒さんに広めていくためには難しそうですね。
 そうですね。まずは「慶讃(きょうさん)」の字にフリガナをふってどなたでも読んでいただけることから始めています。

◾慶讃法要とはどういう法要なのですか。
 ひと言で言えばお念仏に出遇(あ)っていただく法要だと捉えています。

◾親鸞聖人の御誕生(ごたんじょう)と立教開宗(りっきょうかいしゅう)の「慶讃法要」と、御命日の「報恩講(ほうおんこう)」との違いはあるのでしょうか。
 お念仏の教えにふれるという意味においては違いはないのではないでしょうか。ただ御誕生と立教開宗は「生まれる」「始まる」ということです。これまでの自分と違った新しい自分に出遇う、新しい自分の始まりの機会にしていくことが大切です。

◾『慶讃事業計画書骨子』の中に「現代社会に即した教化の発信」「次世代への教えの継承」が大きな方針として掲げられていますね。
 現代の若者は私のような世代とは違い、スマホを片手に色々な情報を入手できます。そういった若い方にも親鸞聖人の教えを伝えていくにはどうしたらよいのかを考慮し、情報発信の仕方を工夫する必要があります。また若者だけでなく幅広い年代の方にも参加していただきたいので、これまで行ってきた方法も取り入れつつ、より身近に感じていただけるよう発信していきます。

員辨 暁

◾子育て・介護の家庭や、職場や学校など多くの方が悩んでいる時代と思います。そういった方々にどんなメッセージを伝えていきたいですか?
 現代社会には悩んではいけない、苦しんではいけないという空気感がありますよね。仏教は悩みをなくすものではなく、悩みを抱えたまま生きていく教えです。現代の価値観では悩みや苦しみを失くすことで自分の居場所を見い出しがちですが、そうではなく、「いっぱい悩んでいい」「悩みを持ったあなたのまま生きていける世界がある」「どん底に沈んでもそこに大地があった」というモノに触れていただきたいですね。慶讃テーマの中に「人と生まれたことの意味をたずねていこう」という言葉があります。それが出発点にもなると思います。

◾慶讃事業を盛り上げるために、まずは三重教区の方に何を呼びかけていきたいですか?
 これまでの形だけにこだわらず、みんなで一緒につくりあげたいと思っております。『骨子』にも書かせていただきましたが、「211カ寺に携わるすべての人の参加が望まれる」という大切な願いをまずは一番にお伝えしたいです。

◾それは員辨さんご自身の、これまでの教区の事業の関わりの中で感じるものがあったからでしょうか?
 毎年、桑名別院の報恩講では、別院の各所で法要の様子を見られるようにモニターを設置しています。これは、お斎(とき)の準備など本堂以外でお手伝いをしている方から、「法要の様子が分からない」という声があって始めました。この意見を聞かせてもらったことによって、本堂の法要儀式だけが報恩講ではないことに気づきました。各々の場所でたくさんの人が様々な準備をして、多様な関わり方の中で報恩講がつくりあげられています。いろいろな参加の仕方があって、法要が勤められているんですよね。ですから慶讃法要も当日に本堂でお勤めするだけが法要ではなく、参加の仕方はそれぞれです。今回は小さなことでもいいので、多様な関わりを持って法要に携わる人が増えてほしいと思います。

◾いま、新しい三重教区のカタチをつくっていくということで、新たな委員さん、とくに若い方が増えましたね。
 本当にうれしいですよ。私自身、若い頃から新しいことにチャレンジし失敗もしてきました。若い方には「やってみる」ということを大切にしてほしいと思います。

◾この紙面を見ていただいた方に向けてひと言をお願いします。
 私がお念仏から教えていただいたことは、「今、自分の目の前にいる一人ひとりがすべて私にとっての師である」ということです。大事な教えは私たちが意識しなくてもそこにありますが、それに触れた人が広めなければ教えがあるのに気がつくことができません。そういう機会が今回の慶讃事業であり、一人でも多くの方にお念仏の教えに出遇っていただければと思います。

◾ありがとうございました。

員辨 暁(いなべ・とし)/東員町・圓光寺住職
1964年生。大谷大学卒業後、前住職の逝去により25歳で住職就任。児童教化連盟をはじめ様々な教区事業に参画。現三重教区会議長・三重教区慶讃事業推進委員会委員長。

※本内容は三重教区桑名別院宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年立教開宗八百年慶讃事業広報紙「慶讃ニュース―ツナがる211」Vol.1のインタビュー記事を転載したもので。

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