映画「メッセージ」(ARRIVAL) 2017年💠 時空を超えたメッセージは、「分裂ではなく」「和=環すること」を。時間とは 流れるものではなく同時に存在し円の様に繋がっているもの。
■ジャンル / SF(2017年度アカデミー音響編集賞 受賞作品)
アカデミー作品賞 監督賞 脚色賞 録音賞 撮影賞
編集賞 美術賞8部門ノミネート
■タイトル『メッセージ /英題 ARRIVAL 』
■お勧めポイント/ 美しい。深い。映像も美しい。
見れば見る程胸を打たれる。テーマのようにエンドレスで見たくなる
音楽も美しい(冒頭のMax Richter - On the Nature of Daylight)。
出演 エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー
監督 ドゥニ・ビルヌーブ
原作 テッド・チャン「あなたの人生の物語」
音楽 ヨハン・ヨハンソン
挿入曲 マックス・リヒター「On the Nature of Daylight」
制作年:2016年
制作国 アメリカ
●内容 あらすじ ネタバレあり。
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まずは、冒頭、静かに流れるマックス・リヒター作曲の音楽からあまりにも美しく 惹き込まれます。
物語を簡単に書きますと、(未見の方でも大丈夫な範囲で)
ある日、突如、世界各地12カ所に、巨大な謎の物体が出現。
日本は北海道、中国、ロシア、ベネズエラなどに同時に現れた。
目的も不明であり、アメリカのモンタナでは軍が最高機密の体制で
その対応にあたる。
それはUFO(未確認飛行物体)であり、なんとか解明を急ぐ軍は
優秀な言語学者のルイーズ・バンクスに調査を依頼する。
ルイーズに同行したのは同じく軍から調査を依頼された数学者のイアン・ドネリーと
アメリカ軍大佐のウェバーたちである。
ルイーズとイアンの任務は、宇宙船の中の2体の地球外生命体と意思疎通をし、
何のためにやってきたのか、その目的を探ることであった。
「言葉とは文明の基礎である。
人々をまとめ、争いを終わらせることができる強力な武器だ。」
言語学者ルイーズの著書の言葉が紹介されます。
地球の各国の指揮者たちは、彼らからの侵略をおそれていたが
彼らは友好的であり、その飛来の目的がわかりはじめたルイーズは
ある能力を授かる事になった。
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これより以下は、
筆者が3回の鑑賞を経て理解に及んだ記述があり
未見の方にはネタバレねなるため、
1回以上、鑑賞済みの方々の閲覧をお勧めします。
あるいは未見の方の場合、ネタバレ覚悟でお読み下さい。
☆ H A N N A H ☆
ハ ン ナ ☆☆☆☆☆☆
この名前に託された意味は、宇宙のすみずみに染み渡る慈愛の波動の様に深く大きい
それは 地球の未来を変えた出来事に起因するからです
H a n n a H は、回文であり、それは、
前から読んでも(書いても)、後ろから書いても(読んでも)同じ名前になります。
このことが、映画を通して、大変重要なキーワードになっています
この映画は、1度見て、最後に驚きの感動が静かに波の様に押し寄せ
もう1度、つまり2度目に見て、その意味が分かり、
さらに3度目の鑑賞で、作品の隅々に盛り込まれた意図の多さ、深さに驚愕する、
そんな、類い稀な、映画史上に残る程の傑作です。
映像、カメラアングルも美しく、音響効果も絶大、美術も
それぞれアカデミー賞にノミネートされただけあって、素晴らしい
ストーリーは、多くの映画紹介サイトや公式サイトでも
書かれているので、ここでは省きます。
この作品において、最も重要なテーマは
「分裂ではなく」「和=環すること」
「時間とは過去から未来へ流れている」
という我々3次元的人類の「絶対時間」観念から、
「時間とは、
流れているものではなく同時に存在し円の様に繋がっているもの」
という
円環的 時系列 超越観念への転換です。
この観念を、
日々、瞬間瞬間、刻まれる(と思い込んでる)
「時」
にしばられて この3次元に生きる「地球人」に
映像を通して見せる、という事は、
とてつもない映像構築的頭脳と技量を要します。
つまり、現次元の我々に「与えられていない観念」の映像化ですから。
この映画の中で、哀しくも美しく映像で綴られる、
娘「ハンナ」との日々。
それは、今、始まったのではなく、これから始まる事、であり
映画を見る観客にはルイーズが娘との思い出を回顧している
と思わせるかのように、挿入されますが、
宇宙船の中に入ったルイーズが、
「わけがわからないわ、この女の子は、誰なの?」
というセリフに、
1回目の鑑賞の観客は「ビックリ!」するわけです。
『え???、あなたの娘じゃないの?」って。
ルイーズは、まだこの女の子を、知らない、
という、、その「衝 撃」
ここでやっと、彼女ルイーズは、
宇宙人(ヘプタポット=ギリシア語で7本の足)と、
彼らの表意文字でコミュニケーションをとれるようになってから
「彼らと同じ観念で円環的時系列を見れる様になった」
と、悟る訳です。
私は20年以上前に、ある少年が書いた本の中で
その少年のメッセージに
「時間とは、
あなたたちが考えてる様に流れているものではなく、
全ての瞬間が、同時にあらゆるところに偏在しているのです
これは、3次元のあなたたちには、理解しづらい事かもしれませんが
これが真実です。
時間とは、実は無くて、
むしろ、すべてが、同時に存在しています」
という、文を読んで、理解しようと努めてきた、
でも、頭では分かったつもりでも、真に理解の及ぶ所では無かった、という経験が有ります。
なぜなら、わたしたちは
そんな「異なる高次元」を感知できない世界に生きてるからです
そして今、この「メッセージ」という映画の中で
まさしくそのことが、
淡々と、詩情豊かな美しい映像で、
しかも力強く、描かれていたのです。
ルイーズは、
「今、ここに、モンタナのUFOの軍施設に
調査チームとして存在しており」
しかしまた同時に
「やがて来る1年半後、15年後の、<今>にも存在している」
という超越時系列を描き出しています。
そして、宇宙人ヘプタポットの飛来の目的が
「武器を与える」ことであり、
その「武器」とは、「言語」であり、
その新しい「時系列の存在しない表意文字」を与える事で
彼らと同じく、時空を超越した観念を得る事が出来、
そして、やがて3000年後に、
彼らを救う、という
「救済目的」であることを、悟るのです。
その、彼らが描く、墨で一瞬に現す環文字の、墨絵の様な美しさ
その環の文字の中に、時系列はなく、時間の観念を現す文字はない
そして、最も、印象に残る場面、
UFOの目的が「武器」を与えることと知り、
それが攻撃的なものであるとしか理解出来なかった人類
中国のシャン将軍が先頭を切って宇宙船を「核攻撃」しようとします
12機のUFOが現れた各国は、
もちろん言語もバラバラ、それぞれが優位に立とうとし
情報を遮断し、協力を拒み、攻撃を開始しようとしている
それを見ているしか無いルイーズ、と同時に、
未来の「今」、
ルイーズは、「ヘプタポット言語」の祝賀会で
美しくドレスアップし、佇んでいます。
そこに、中国のシャン将軍が、現れ、
「あなたに会いに来たのです。
1年半前の あの時、
あなたは、私の高官ですら出来なかった偉大な事を成し遂げた
私の考えを変えたのです。
あなたは世界を、一つにしたのです。
あの時、あなたは、
私の個人携帯電話に電話をした」
でも、貴方の番号を私は知らない、
という、「今の今」のルイーズに、
「今の今」、ルイーズに
この為に会いに来たシャン将軍は携帯の番号を見せる。
「いま、あなたはその番号を、知った。
そして、あの言葉を、私に言ったのです」
訳が分からず「1年半前の今に、今居る」ルイーズは
「私が、何を言ったのですか?」
シャン将軍はルイーズの耳元で中国語でささやく
「*****************」と。。。
(ここは字幕もないため、中国語がわかる人以外は意味不明な
謎として残る、という手法!)
「今の今、モンタナの軍施設に居る」ルイーズはすぐに行動を起こし
衛星電話を使ってシャン将軍に電話をかけ、
そのままを伝えた。。。。
そして、中国は攻撃を突如中止し、
各国もそれに同調するかの様に、武力を解除し、
情報を出し合って共有をはじめた。。。。
そして、世界を協調させ目的を果たした宇宙船は、
消え去り、
地球には新たに
「共通言語:Universal Language(ヘプタポッド語)」
がもたらされ、
それは時間からの解放を意味し、
そして、H A N N A H の物語は
この時から始まるのであった。。。。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
2回目の鑑賞で、
シャン将軍に、あの時伝えた中国語の言葉が、
核攻撃寸前の彼の考えを一変させ、
攻撃を中止させ、
しかも、世界各地にも同じく協調の変革をもたらした
それほど、重要なその、「言葉」とは、
一体何をルイーズはシャン将軍に言ったのか気になって
調べました。
「战争不能成就英雄,只能成就寡妇」
In war, there are no winners, only widows
(戦争には勝者はいない。ただ未亡人だけが残される)
と、伝えたのです。
これは、シャン将軍の最愛の妻が死の間際に残した
「最期の言葉」でした。
3回目、鑑賞して、やっと、分かりました。
この言葉そのもので、ルイーズは攻撃を止めさせたのではない。
今にも宇宙船を核で撃ち落とそうとしていたシャン将軍の
考えを突如一変させたのは、
「自分しか知り得なかった、
妻の最期の言葉を、
突然、今、アメリカから
未知の彼らと交信していた言語学者が衛星電話で伝えて来た」
からなのだ。
と。
その遺言を、知るはずが無いアメリカ人のルイーズが
中国語で伝えて来た。
それは、彼らと交信するルイーズに
時空を越える何者かがコンタクトしている
そして、彼女自身もその能力を今、使っている、
ということであったのです。
それに気がついた瞬間、
シャン将軍は、
「攻撃ではなく、融合を与える為に彼らは飛来した」
という真の目的を悟ったのではないでしょうか。
『分 裂』は攻撃と破壊を意味し、
『融 合』は協調と安定をもたらすのです。
このことは、私たち人類が、真の平和を築く為に
最も必要な事なのかもしれません。
追記:思い出して、また書き忘れた事があります。
妻の最期の言葉を
電話でルイーズから聞いた中国の将軍は彼も又
その意味を理解できたことで時系列を越える事ができたのであり
それゆえ、1年半前の「攻撃寸前」の瞬間に同時に
「1年半後のルイーズ」に、自分の個人携帯番号を知らせる為に会いに行った。
そしてほぼ同時に、攻撃体制下の世界各国の指導者が
「攻撃体制を即時解除」し、
いままで遮断していたそれぞれの情報を
「すべて開示して共に解決にすすんだ」
のも、
「101匹目の猿」のように、
その時系列の新たな観念が
各国の指導者にリンクしたのでは。。。
と、いうことです。
また、人それぞれ感じ方は異なる事もあり、
みなさんが、それぞれに感性で受け止められたことが
各人への『メッセージ』でもある、ということでしょうか
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