令和6年度第一回三重県地域おこし協力隊交流会in名張市
第一部 事例報告会及び交流会
本研修は三重県の「三重県地域おこし協力隊つながり促進事業」の一環で一般社団法人三重県地域おこし協力隊(以下「サポートデスク」)が委託を受けて実施しました。サポートデスクとしても初めての交流会となりましたが、昨年までの交流会と比べると参加者が過去最多の29名と三重県の協力隊の4分の1が参加したことになります。今回はそんな交流会の様子をお伝えしたいと思います。
昼食交流会
今回の研修の舞台である赤目町には、現役協力隊が開いた「忍法赤目プリン」というお店があります。そこで、昼食を取りながら隊員同士が交流しました。
自己紹介
昼食交流会後、会場を「赤目自然歴史博物館」に移動し、自己紹介から交流会がスタートしました。
参加者は「氏名」「着任時期」「活動地域」「協力隊ミッションの種別」「参加目的」「出身地」の順に自己紹介をしました。
三重県内で協力隊のいる18の市町のうち、12の市町から29名の協力隊の方と協力隊卒業生の方(講師を含む)が参加しました。
【参加市町の内訳】
名張市(7名)、いなべ市(2名)、伊賀市(3名)、紀北町(2名)、尾鷲市(1名)、鳥羽市(3名)、度会町(3名)、松阪市(2名)、大台町(1名)、南伊勢町(1名)、明和町(3名)、志摩市(1名) ※現役地域おこし協力隊及びOBOGを含めて29名
名張市観光総合プランナー川井さん
事例報告は名張市観光総合プランナーの川井さんからはじまりました。
川井さんからは以下の内容の報告を頂きました。
① 活動概要 東奈良名張ツーリズムマーケティングとの連携による
広域観光の推進など
② 活動内容 「旅行会社へのセールス活動」「商談会」など具体的な活動
③ 開業・起業 「赤目忍者プリン」開業と「Community-Based-Travel」の
起業について
④ 資金調達・補助金 銀行融資や自己資金、補助金について
⑤ 資金調達前に① 認定特定創業支援証明書取得について
⑥ 資金調達前に② 「創業枠200万」登録免許税が半額など
⑦ 補助金・融資・開業に助言 商工会、市役所、地域への相談。
⑧ アドバイスをくれた方々 サポートデスクへの相談
(ミスマッチ等の事前調べ)
報告の中で終始川井さんはコミュニケーションを取ることの重要性を訴えていました。そのことで地域×自治体×協力隊の3者の円滑な活動につながったと語っています。
既成市街地活性化 長谷川さん
次は名張市地域おこし協力隊1期生の長谷川さんの報告です。冒頭で協力隊=スーパーマンではないことを参加者に訴え掛けて、「できないことはできないとはっきりと言い、できることを地域と協力して行う。」という地域の誤解を解きながら自身の能力を活かす活動について話していただきました。
報告は以下の内容
① 自己紹介 出身や趣味など
② 名張に来るまで アニメショップの店長などの経歴を紹介
③ 移住するまでに見学した地域
④ 主な活動内容 1,情報発信、2,まちなか活性化
⑤ ①情報発信「ラジオ」「地域イベント」「コスプレ」「江戸川乱歩」
⑥ ②まちなか活性化「刺繍づくり」
長谷川さんは前職がアニメグッズ等の販売店の店長だった経験を活かしたサブカルチャーを軸にした地域おこしを実践してきました。今まで地域になかった概念を入れるよい活動だったと思います。また情報発信の部分では地域のラジオ番組にレギュラー出演し、地域の町おこしを担う人材を紹介しながら地域人材発掘に尽力しました。さらに協力隊時代に身につけた「刺繍」技術を活かして開業し、名張市のPR旗なども制作しています。
地域ビジネスサポーター川崎さん
最後の事例報告は地域ビジネスサポーターの川崎さんです。川崎さんは川井さんと一緒に赤目町の活性化に携わり「忍法赤目プリン」をオープンさせました。また竹あかりを軸に竹害対策にも取り組んでいます。
報告は以下の内容です。
① 自己紹介と過去の活動
② 赤目竹あかりSDGsプロジェクト
活動「地域イベント」「高校授業」「商品開発」「ワークショップ」
「竹林整備」「資金」など
・伊勢志摩サミット記念館サミエール 竹あかり展示
・東京都庁 竹あかり展示&ワークショップ
・追手門学院大学 安本ゼミ授業協力
③ 赤目忍者プリン
参加者からの質問で「赤目四十八滝の有料駐車場を無料にするまでの経緯を聞かせてください。」という問いに対して川崎さんは「1軒1軒持ち主方にお邪魔して説明しました。」と語っており、また「駐車場を無料にする代わりに入山料などを変更することで地域の方に納得頂いた。」と地域が納得する代替案を提示するような交渉を行い赤目の駐車場無料化を実現したことを報告しました。これはこの2年間、地域と関わり続けなければできないことで、地域×協力隊の素晴らしい活動例だと感じました。
交流会
【目的】 協力隊同士のつながりを深めよう。
【ルール】
・ペアでの交流時間は5分間です。
・5分経ってベルが鳴ると中央の2列に座る人は
時計回りに1席横に移動してください。
【ペアで交流すること】
①自己紹介(持ち時間1人1分)
②相手の知りたいことを質問(2人で3分)
※「交流おたすけトピック」を参考にしてください。
【交流のルール】
①積極的に質問しよう。
②相手の活動を否定しない。
③参加者の個人情報はここだけにしまっておきましょう。
今回の交流では13グーループが10回スライドをすることで全体で1時間130回のトークができるように設定しました。この方式ならグループトークで普段話さない人も多くの人と一対一で話すことができます。アンケートでも9割の方が「とても交流できた。」「交流できた。」と回答しています。
第二部 赤目町歩き
交流会終了後は地域ビジネスサポーター川崎さんの
赤目の町歩きを行いました。
以下 町歩きコース
① 忍法赤目プリン
② 赤目滝水族館
③ 不動の滝
④ 赤目小町散策
交流会の感想
聞きたいことにすぐに回答いただき行ってよかったです。(いなべ市)
やはり抱える課題などは同じだったり苦労していらっしゃる部分が多いのを知る事ができました。大学で学ばれて来た事を活かした動きとても素晴らしいと感じられる機会となりました。(松阪市)
協力隊員の協力が印象的で良かった 協力隊員はお金の面で苦労されてる方が多いので、補助金など上手く活用されてると思いました。(度会町)
ローテーション方式の自己紹介は良かったと思います。その後、少し時間をとっていただけると、話しができなかった人やもっと詳しく聞きたい人との交流がさらに持てると思います。(大台町)
忙しなかったが、多種のひとと交流するといった目的が明らかで、良かったと思う。 協力隊のミッションによってはすごく有意義な人もいるのだと思う。(名張市)
また来たい!秋の竹燈を見に来たいと思える街歩きでした!!こうした取り組みや町の頑張りを応援したいと思う人は五万といらっしゃると思うのでいかに知っていただくか!が課題だなぁと感じました!(松阪市)
おわりに
三重県の現役地域おこし協力隊の4分の1が出席した交流会が終わり、協力隊同士がつながるきっかけづくりができたと感じています。協力隊はついつい地域ではスーパーマンのように思われがちですが、そのほとんどが元サラリーマンや自営業を営んでいた人が多いです。そんな中で同じ志をもった仲間が集ったこと自体に意味があるように思えます。今後もサポートデスクとして協力隊同士の連携と情報共有を進めながら各地域の活動が円滑に行えるように努めていきたいと思います。次回はそんなサポートデスクの中間支援業務を紹介します。次回も乞うご期待!
(文/写真:峠広之)