関電は日本最古の原発=高浜1号の炉内構造物の交換をやめて廃炉に!!
運転開始54年で炉内構造物を交換!?
7月25日、「高浜1、2号機の長期的な信頼性確保の観点から、予防保全策として炉内構造物一式を取り替える」ことを、関電が発表しました。高浜1号機は今秋、運転開始から50年となる日本最古の原発です。
以下の発表資料をみると、高浜1号の炉内構造物の交換工事は2028年6月から12月まで行われる予定となっています。高浜1号は、交換作業を行う28年の秋には運転開始から54年になる老朽原発です。運転開始から50年以上もたってからこれほど大規模の交換工事。しかも交換した炉内廃棄物は、巨大な放射性廃棄物になるので、関電は専用の保管庫も作る予定です。元を取るために関電は今後どれだけの期間、老朽高浜1号を動かし続けるつもりでしょう。
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20240725_1j.pdf
高浜1号の原子炉容器はもろくなっている
どんなに周りの部品を交換しても、原子炉容器そのものは交換ができません。原子炉容器は中性子照射により、年々劣化していくことが知られています。そのため、原子炉内には監視試験片が入れられています。ある一定時間が経過したら試験片を取り出し、劣化状況を調べます。脆性遷移温度といって、もろくなって壊れやすくなる温度がどんどん高くなっていきますが、それが日本一高くなっているのが高浜1号です。
監視試験片が足りないから再生?!
監視試験片そのものも足りなくなっています。なにしろ運転を開始した時には、原発を60年を超えて動かすなんて想像もしていなかったのですから。どうするんだと聞くと、取り出した試験片を再生使用するとか、とんでもないことを言い出しています。
この読売新聞の記事によれば「中性子はビリヤードのように金属原子をはじいて配列を乱し、金属をガラスのように割れやすくしてしまうことがある。原発は運転開始時、容器内に容器と同じ素材の「監視試験片」を入れている。定期的に取り出してハンマーでもろさを測り、容器へのダメージを推定する。関電は高浜1、2号機の運転開始後、それぞれ8個中5個の試験片を数年~十数年おきに取り出して検査してきたが、異常は確認されていないという」
「運転期間が延び、今後は試験片の不足も懸念されている。東北大の笠田竜太教授は『1度取り出した試験片を炉内に戻して再利用しても有用なデータになるのかといった研究や議論が必要になるだろう。国や事業者は基礎研究への投資を惜しまず、データを公表して社会の安心につなげるべきだ』と話す」とあります。
三菱重工の受注発表
同じ7月25日に三菱重工は炉内構造物2基の受注を発表しています。(タイトル画像はこのプレス発表より)
これを読むと「大型構造物であるにも関わらず0.01mm単位での加工精度が必要で、非常に高い設計・製造技術力が要求されます。また、炉内構造物を原子炉容器に据え付ける際には、非常に高い精度で位置決めする施工技術力も必要となります」と書かれています。
そんなに大変なものをわざわざ作って、据え付けなくていいので、どうか高浜1号はこのまま廃炉にしてください!
おんぼろ原発で金儲け!ええ加減にせい!!
*1 経年劣化した原子炉と規 制のさまざまな問題点
井野博満(原発老朽化問題研究会)
2023/07/22、FoE オンラインウェビナー第2回
https://foejapan.org/wpcms/wp-content/uploads/230722_ino.pdf
*2 『原発の老朽化はこのように』
==圧力容器の中性子照射脆化を中心に==
編著 原発老朽化問題研究会
発行 原子力資料情報室
2023年5月15日 1500円
https://cnic.jp/books/46972
*3 関西電力高浜原子力発電所1、 2号機の運転再開同意に関する要請書
特に事故時の原子炉容器脆性破壊のおそれについて
2023年7月20日 老朽原発40年廃炉訴訟市民の会
https://www.town.takahama.fukui.jp/page/gikai/p006568_d/fil/chinzyou10509.pdf