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紙の本と電子書籍、どっちがいい?

 たまには出版関係者らしい記事を書いてみようと思います。
 皆さんは紙と電子、どっちで本を購入してますか? 
 おそらくかなりの方が電子に移行してるんじゃないでしょうか。
 なんたって物理的な保管スペースが必要ないし虫にページを食べられることもないし、持ち運びも便利ですからね。膨大な蔵書を抱えながら引っ越そうと思ったら、紙の本なら軽トラが必要になりますが、電子書籍ならスマホ一個で大丈夫です。

 これはもう電子書籍の完勝だ、紙の本は淘汰される運命にあるんだ、と言いたくなるところですが、紙には紙の利点があります。
 まず思いつくのは、読み飽きたら古本屋に売れることでしょうか。いや、作家としてはできれば自分の本は売ってほしくないんですが、お金に困ってる人はそうも言ってられないでしょうからね。そしてサイン本や初版本などは後で買い取り価格が上がることもあるので、これぞまさに実体を持った紙の本ならではの強みと言えます。
 また古本屋で紙の本を買う場合、前の持ち主次第では付加価値が生まれることもあります。たとえば著名人が手放した本なんかは、ある種のファングッズみたいなものですよね。 
 あと女性向けの如何わしい本を古本屋で手に取った時、これを売ったのは綺麗なお姉さんだったかもしれないと想像すると興奮することが……すいません忘れてください。今のは失言でした。まふゆは清楚な読書家です!
 
 ……ええと、気を取り直して紙の本のメリットを挙げていきましょう。
 読むのに電力が要らない。これはいいですね。電子書籍は停電したら終わりです。他にも漬物石代わりに使えるとか、人を殴る武器に使えるとか色々思いつきますが、やはり紙の本の最大のメリットは、
 
 一度買ったら完全に自分のものになるところ

 だと思います。
 なんやそれ? と思った人のために説明しましょう。
 基本的に電子書籍って、書籍のデータを閲覧する権利を購入してるだけなことが多いんですよ。だからもしも販売元が倒産したら、購入した本を読めなくなる可能性があるんですよね。実際にそういう事例も過去にあったみたいですし。
 そしてデータを閲覧する権利を購入しているだけ、という状態によるデメリットは他にもあります。
 たとえば著者がシャレにならない犯罪をしでかした場合、販売元が配信を停止することがあります。数年ほど前、原作担当が強制わいせつ事件を起こした漫画がこの措置を取られたそうですね。ただ新規に電子版を購入できなくなっただけで、既に買っていた人は閲覧することができたようですが……。
 企業はイメージを気にしますからね。もしもこれが殺人や強姦だったら、罪の重さを考慮して閲覧すらできなくなったかもしれません。
 
 他にも懸念点があります。
 本を書いている側として感じるのですが、年々校正業者さんのチェックがポリコレ的な意味で厳しくなっています。ジェンダーや人種に関する表現の許容範囲は、日に日に狭くなってるんですね。欧米諸国の動きを見ていると、表現の自由よりも社会的な正しさの方が優先される風潮が広まりつつあるので、日本もどうなるかわかりません。
 何十年か後に「この表現は正しくない」と認定されて閲覧できなくなったり、修正パッチを強制的にダウンロードさせてくる電子書籍アプリが出て来るかもしれません。 
 ……せっかく買ったエッチな電子書籍が、モザイクパッチをダウンロードしないと読めなくなるとか嫌でしょう? でも、これは現実にありうる未来なんですよ。表現の自由とはそれくらい脆いものなのです。
 政治的な表現なんかも、ずっと我が国が民主主義でいるとは限らないので、うかうかしてられませんよ。

 さあ、ここでようやく本題に入ります。
 今まで挙げた問題点は、紙の本だと恐れることはないのです!
 出版社が倒産しようが作者が捕まろうが有害図書指定を食らいそうなドスケベ本だろうが、一度買って自室の本棚に入れてしまえばもう安全です。読めなくなることも勝手に内容を修正されることもありません。
 もうお分かりですね、皆さん。
 
 いつ規制されてもおかしくないヤバい本ほど、紙の本で入手しておいた方が安全なのです

 電子書籍と違って、貴方の本棚はネットと繋がってるわけではないですからね。
 企業にも国にも監視されていない、真の自由が紙の本にはあるのです!
 ここまで理解したらぜひ、本屋に行ってヤバそうな本を買ってくださいね。特にラノベなんかオススメですよ! レジに持っていくのが恥ずかしいくらい表紙の女の子が淫らな格好をしてるのばっかですが、だからこそ紙の本で買っておく必要性があるわけですし……。

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