ケニアの帝王切開
今日はケニアの帝王切開の様子をお話ししたいと思います。
さまざまな理由で帝王切開になると思いますが、ここケニアでも同じ。赤ちゃんの心音が下がっていそう・ママの体が持たない・胎位に異常ある・巨大児・前回帝王切開…経膣分娩望めないさまざまな理由で帝王切開を選択します。
ただエコーは分娩室にないので、医師と助産師の五感をフルに使い必要性を判断。
前回帝王切開の人でも予定帝王切開ではなく、陣痛や破水・異常があったら来院してその日に帝王切開というスタイルでした。
日本では考えにくいですがこれがこの地域の方法。
少ない人材・物品の中で多くの産婦さんに対応するためどうやりくりして母子を守るかが大切です。
今日は前回帝王切開の方が陣発したかもとのことで手術準備が始まりました。
日本では希望しリスクを同意すれば前回帝王切開でも経膣分娩トライできる病院もあります。しかしここではその管理をする人的リソースも緊急対応も難しいです。また3人4人出産するので、日本以上にリスクが高い。そのため基本的には前回帝王切開の人はそのままリピート帝王切開となるのです。
インフォームドコンセントを行い早速準備開始!
日本同様膀胱留置カテーテル・ルート・剃毛等の準備が始まりました。
準備できたし、前回帝王切開で陣痛始まってるしよし手術室に行くんだな!と思ってたらなかなか行かない。昼時だったのでみんなランチタイム過ごしてる。
…あれ?いつ手術室行くの?
…陣痛きてるんだよね?
聞いてみると
「麻酔科がまだ来ないからできないんだよ。今のうちに昼食べときな。」
ここには常駐麻酔科はいません。なので緊急帝王切開ある時はオンコールで呼びます。
なるほど
少ない人材の中でうまく周りの病院と連携しながらしてるんだなと感じました。
が!
なかなかこない。
あれ?みんなお昼食べ終わったよ?
…そこから30分…
あれ?本当に手術する??
…1時間後…
ようやく登場!
帝王切開決まってから2時間半くらい経ったのではないでしょうか。
現地の交通状況や他病院での対応等もあるため待つ時は待つとのことでした。
しかし麻酔科が到着してからは早かった!
すぐに手術室に向かい、麻酔をチャチャっと導入。
タイムアウトはなく準備できれば開始。
メンバーは、執刀医1人・麻酔科1人・機械出しNS1人・ベビーキャッチ1人の4人。
最小限の人数で進めていきます。
電気メスなどなく、時折停電もしながら着々と進んでいました。
ここでは停電は日常茶飯事。
停電すれば、滅菌手袋をしていない麻酔科やキャッチ係がその都度スマホのライトをかざしながら行ってました。
手術室に窓なんてないので、停電したら真っ暗です。それでもママの様子を見ながら焦らず進めたり、時折手を止めて確認しながら実施しているのはすごいと感じました。
そしてみんな楽しそうに会話しながら進める。
スワヒリの初心者なので何言ってるかわからない時の方が多いですが、ママに冗談話したり、スタッフでなんか楽しそうな雰囲気で話しながら進める
全身麻酔じゃないからママに会話聞こえてるけど大丈夫そう〜?と思うけど、ママも笑ってるからもうこういう文化なんだなと認識。
無事に赤ちゃんも産まれました!
手術室には一応吸引があるのですが、なんと壊れておりスポイトタイプの吸引でスポスポ羊水を取り除きます。
インファントウォーマーがあるので保温に関しては少し安心。
経膣分娩より羊水が溜まってるので呼吸確立するのが本当に大切!
基本である気道開通・保温・刺激をしっかり行い状態を安定させます。
日本では病院ごとに異なると思いますが
帝王切開で生まれた赤ちゃんは、クベースで少しの間様子みたり、手術室から部屋までクベースで移動したりすると思います。
ここにはクベースはないので、赤ちゃんが安定したら、ママ持参の暖かタオルでくるくる包み、ママの手術が終わったらベビーキャッチ係の手で抱っこして一緒に部屋に戻ります。
部屋に戻ったらママの隣に寝かせて終了!
ママは帝王切開当日から共に過ごし、母乳をあげます。
今回は幸いにも前駆陣痛くらいで来院してたので間に合いましたし、赤ちゃんも心音元気なことを時折確認しながらできましたが、これが心拍低下している場合やママの緊急時の時はどのくらいのスピード感で帝王切開をしているのか気になるものです…
今後経験することあったらまたまとめていきたいと思います。