日本だったら救えたかもしれない命

朝病院に行くと何やら夜勤チームが暗い表情でいた。

何があったか聞くと生まれた直後の新生児死亡例があったとのことだった。

他院で分娩第2期から進まず、分娩第2期遷延と巨大児疑いの判断でこちらに搬送。
搬送元病院では帝王切開できない施設なので搬送依頼したと。

ただ、搬送の時点で赤ちゃんの心拍は100bpm

ご存知の方はこれが赤ちゃんにとってどれだけ危険な状態かわかるはず。
110-160bpmが通常の心拍。それを下回ってる状態が継続。
また日本のようにCTGモニターがないから、一過性頻脈・徐脈の確認、基線細変動の確認ができない。日本ではCTGモニターを利用してこれらを総合的に判断し、赤ちゃんの状態・分娩進行の状態を見ることができる。ここにあるのはドプラーとトラウベのみ。

さらに羊水混濁は+3くらいで臭いもきつかったらしい。
羊水混濁は、赤ちゃんが苦しいサインの1つ。+3はかなり濁っていて、赤ちゃんの状態が心配になる状態。

これらの情報からも赤ちゃんの状態が悪いことが想像できた。

分娩停止かつNRFS(赤ちゃんの状態が悪い)ため、すぐに準備初めて病院に着いてから40分後には帝王切開にて分娩に至った。

日本だとおそらくこれは超緊急帝王切開する状況かもしれない。

ここでは最大限急いでも、人数少ない中で麻酔科を呼ぶ、先生を呼ぶ、電気の状態の確認等してると少なくても1時間くらいかかることもあるから、かなり急いで連携とって娩出できた方。

生まれた時はかろうじて生きていたけどアプガースコア1分値は2点。5分でも2点。10分では1点。
そして死亡確認。

なぜこうなってしまったのか、よくよく話を聞くと、他院で全開大(分娩第2期の始まり)から搬送を決定するまで時間5.6時間様子を見ていたそう。心拍はこの時点ですでに110bpmくらい。

また生まれたとしても、ここには新生児科医はいないし、新生児の挿管できる道具はない。
赤ちゃん用の酸素もまともにない。

知識不足と物品不足により起こってしまった悲劇。

CTGモニターがあれば早く異常に気づけたかな

挿管グッズがあれば呼吸確立できたかな

もっといい搬送システムがあれば救えたかな

日本ならもっと早く判断して帝王切開できたかもしれない

悔しい

そんな状況でも1つの光がある。
どうすればこの地域の周産期医療がよりよくなるのか話し合いのできるスタッフがこの病院にはたくさんいるということ。

きっとここのスタッフならこの地域の医療をもっとよく出来ると思う。
私もそのサポートできるように考えていきたい。

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