TASCAM SERIES208i 購入 その1
製造中止となったPresonus audiobox44vslを使っていましたが、左右の入力音量が同じにできなくなってしまったため、新しいオーディオインターフェイス(以下AIF)を買うことにしました。
新しいAIF選定には、かなりの時間を費やしました。現行機種については、ほぼ全機種検討しました。結果、TASCAM SERIES208iを選びました。
1:Electronic musicという視点
最初に困ったのは、AIFのレビュー記事は、ギターやボーカルの録音を主眼としたものが多く、私のようなハードシンセオンリーのElectronic music制作者のレビューが少ないことでした。とりあえず、私が新しいAIFに望む条件を整理してみました。
A:値段は10万円未満=極めて現実的な問題です。
B:入力2、出力4、ヘッドフォンアウトあり=ハードウェア資産活用のため。
C:USBバスパワー不可=PCへの負荷やノイズ、安定性を考えると、持ち運ばないので、メリットがない。
D:DSP不要=プラグインのかけ取りをすることはない。
E:MIDI端子付き=JP8080とvolca nubassを使っているため、別途、USBーMIDIインターフェイスを用意するのが面倒。
F:音量調整ツマミ=大きい目で、クリック型ではなく、無段階(audioboxは、無段階でないため、微調整できず)。
2:AD重視
ハイレゾ音源ではなくspotifyを聴いていて、制作時も24bit44.1khz専門のPCスペックという、私のようなElectronic music制作者の場合「AIFの買い替えで音が格段に良くなることはない」と思います。
AIFの基本的な構造は「マイクプリ→ ADコンバーター→(PC)→DAコンバーター→アナログ回路の出力」で、AD、DA変換の正確さを左右するクロックジェネレーターが搭載されています。
AIFのレビューの大半は「録り音(AD側)」重視です。私の場合、もっぱらデジタルシンセの録音です。シンセは出力が大きく、情報量が多い音でもないので、「AD側」の性能があまり関係ありません。
続いて、DAコンバーターですが、これはDACチップという回路を使っています。AIFの品質が年々向上しているという言及の根拠は、このチップの性能が上がっていることによると思われます(旭化成エレクトロニクスのものが、高性能らしいのですが、火災によって生産がストップしてしまいました)。ノイズが少なく、再現度が高くなっているのだと思います。
ただし、良い音で聴くためは、耳に近い部分が一番重要で、それは「部屋とスピーカーと私(リスニングポイント)」です。その次は、音を増幅するアンプ(パワードスピーカーの場合は不要)。ヘッドフォンの場合は、AIFのヘッドフォンアンプの性能が、かなり重要と思われます(私はヘッドフォンを基本使いません)。
AIFは、どちらかというとパソコンに近い機器です。DA側は最近の機種であれば、価格で大きな差がないと思います。
3:安定性と置き場所
AIFがPC寄りの機器であることを考えると、重要なのは「安定性」です。DAWとの相性やドライバの更新頻度、PC上での接続の容易さも鍵となります。その点、AIFはDAWが付属している物が多いので、付属DAWでAIFを選ぶのが手っ取り早いように思います。私はStudio Oneユーザーで、PresonusのAIFを使っていましたが、接続関係のエラー経験はありません。
次に重要なのは「置く場所」です。AIFはデスクトップ型、ラック型、ミキサー型があります。デスクトップ型のものが多いですが、背面や前面から伸びるケーブル込みで、置き場所を考えた方が良いと思います。MIDIキーボード、パソコンのキーボード、ドラムパッド、小型シンセ、マウスなどでデスクスペースが少ない場合は、邪魔になります。
持ち運ぶ用途がないなら、ラック型の方が、スペースを有効活用できます。複数のソースを入力して、音量の操作を行うならミキサー型が良いです。ミキサー型の弱点は、操作が複雑で、場所を取ることです。ただ、複数台のシンセやハードエフェクターのルーティングなど、できることが広がります。私の場合は、アナログミキサーを使っています。シンセを複数持っていて、ハードのエフェクターを使っている場合、デスクトップ型より、アナログミキサー+ラック型AIFか、ミキサー型AIFの方が、抜き差しの手間がなく便利です。
次回は、AIFレビューをレビューしつつ、買うべきAIFを探す模様です。
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