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ロシアドーピング問題とマクラウド
ロシアの選手がオリンピックに出られる出られないで、すったもんだしてましたね。
ドーピング問題を考えることは、スポーツってなんだろう、競技生活ってなんだろう、ということを考えることとイコールであるように思います。
ちょうど読んでいた、『煉瓦を運ぶ』(アレクサンダー・マクラウド著 小竹由美子訳)という短編集の最初の一話「ミラクル・マイル」が、陸上競技選手の話でして、クスリの話も出てきました。
「実際のところ、それは健康とは対極的だ。皆、タイムを縮めるためならなんでもやる。」
という箇所があります。
「それ」とは、陸上競技選手の競技生活のことであり、「最高のレベル」の人たちの記録のための日々のことであります。
この作品を貫く主人公の独白は、とても引いた目線で語られています。
自分がいかにクレイジーな、小さな世界に生きていたかを、悟った次元から語っており、自分はもうこの世界からオサラバを決め込むつもりで振り返っているからこそ、その世界の真っ只中にいる人々のことを冷静な目で見ていられるのだろうな、と思います。
いや、それにしても、作者のアレクサンダー・マクラウドさんは、素晴らしい小説家ですね(偉そう)。
お父様のアリステア・マクラウドさんの『冬の犬』という、同じくクレスト・ブックスで出版されている作品が、私の「心のベストテン」に入っています。
なので、その息子さんの、前評判の高い初短編集にはただならぬ期待を抱いていましたが、期待通りの大好きな作風です。
カナダに行きたい熱が再燃しました。