コロナウイルスがフィリピンを襲撃する中、ドゥテルテ大統領の地位が明らかとなる
アナリストによればパンデミックが大統領の「軍国主義」アプローチと深刻な政策アジェンダの欠如を露呈したと言う。
ロドリゴ・ドゥテルテがフィリピン大統領に就任してから4年、「政府への信仰と信頼の衰退」を罵り、1億人以上の国に「本当の変化」と「透明性」を約束することでポピュリスト(人民主義の政治家)の波に乗った。
しかし、残り2年間の就任となったこの火曜日、デュテルテのリーダーシップは虚ろであることが証明されたとアナリストは言う。継続するコロナウイルスのパンデミックへの対処が彼の深刻な政策の欠如を露呈し、経済が数十年で最も深刻な課題に直面しているにもかかわらず、多くのフィリピン人が自分でどうにかしないといけない状態で放置されている。
数千人を殺した麻薬に対する戦争から、マラウイの都市におけるISILに触発された戦闘機による致命的な包囲、そしてすでに36,000人が感染し、1,250人以上が死亡した現在の緊急事態、ドゥテルテ氏は、たとえそれが機能していなくても、直面したすべての主要な危機に対し、「軍国主義」のアプローチに依存してきたとアナリストは言う。
独立シンクタンク、IBON財団のエグゼクティブディレクター、ソニーアフリカ氏はドゥテルテが過去4年間にもたらした政治的および経済的損害を修正することは「すでに困難な課題」であると述べた。
「今後2年間は恐ろしいことです」とアフリカはアルジャジーラに語った。フィリピンは「歴史上失業と家計収入の崩壊という最悪の危機にある」と警告する。
ロンドンスクールオブエコノミクスの訓練を受けた開発の専門家アフリカ氏によれば、社会保護、土地の無料配布、「逆進的」税制の逆転などの基本的な財政および経済改革に取り組む代わりにドゥテルテの経済マネージャーはいつものようにビジネスを続けているという。
「政府の政策は機能していない。なぜなら、利己的な政治アジェンダと経済エリートの利益は、合理的な公衆衛生と社会経済的救済よりも優先されているからだ」と彼は言う。
どちらかといえば、大統領は、大企業、仲間、外国人投資家に「過度のバイアス」を示す政治的および経済的アジェンダを進める際に「日和見的にパンデミックを利用している」とアフリカは付け加える。
ドゥテルテ氏は、フィリピン人の「福祉を考えている」と告げ、「コロナウイルスがすでに発生しているので、政府のせいにするのをやめる」ように国民に告げることによって、自分の政策を擁護した。
彼はまた彼が政府の健康危機の対応に異常がないと「彼の評判を賭けてもよい」と言った。
空虚なポピュリズム
マニラを拠点とする政治学の教授でありアナリストでもあるリチャードヘイダリアン氏は、パンデミックは「右翼ポピュリズムの空洞性を露呈した」と指摘し、ドゥテルテを例に挙げながら、彼を米国大統領のドナルドトランプやブラジルのジャイルボルソナロと比較している。
米国とブラジルは、確認された症例数および死亡者数の両方で世界をリードしている。
「世界中の最悪のケースを見ると、これらの国はすべて、ある種のポピュリズムの呪文にかけられている」と彼はアルジャジーラに語った。
フィリピンの場合、COVID-19としても知られているこの病気の蔓延は、ドゥテルテにとって「諸刃の剣」であったと、「ドゥテルテの台頭-エリート民主主義に対するポピュリストの反乱」の著者であるヘイダリアンは述べる。
1月末、一部の医療専門家と、レニロブレド副大統領を含む野党は、感染が最初に報告された中国の都市、武漢からの訪問者の旅行禁止を即時に課すようにドゥテルテに要請していた。2月2日、フィリピンで最初の中国国外でのコロナウイルスによる死が報告された後も、ドゥテルテはマニラと北京との外交関係を損なう可能性があるため、飛行制限の要請を拒んだ。彼はまた、「コロナウイルスを平手打ちする」と冗談を言った。
旅行禁止は3月中旬にようやく課され、数百万人のフィリピン人の生活に影響を与えた事実上全国的な封鎖が行われた。 国民健康緊急事態も宣言された。
権威主義の電撃戦
対応の遅れはドゥテルテの「決定的で効果的な指導者としての」イメージを損なうものの、パンデミックは大統領に「権威主義的な電撃攻撃」を開始するための「余裕と法的な緊急時の権限」を与えたとHeydarian氏はいう。
同氏は、国内最大のメディアネットワークであるABS-CBNの閉鎖、およびラプラージャーナリスト兼編集長のマリアレッサのサイバー名誉毀損の有罪判決は、ドゥテルテがコロナウイルスの拡大に対処するための緊急権限を確保してからわずか数か月後に発生したと述べた 。
「明らかに、ポピュリストは、特にフィリピンのような民主主義を駆り立てており、進行中の緊急事態を悪用して活用し、独立したメディアで野党と声を封じ込め、脅迫している」とHedarian氏は語った。
だが、投票会社のSocial Weather Stationによるとコロナウイルスが封鎖される前は、調査回答者の少なくとも81%がドゥテルテ大統領の管理に満足しているという。
しかし、Hedarian氏は、パンデミックによる経済の差し迫った下落がドゥテルテが国民的地位を「深刻に傷つける」可能性があると警告した。
フィリピンで最も古い非営利研究機関の1つであるIBON財団のアフリカは、ドゥテルテ政権の「軍国主義的対応」が「その権威主義を強化する」と述べる。
議会での大統領の味方がテロ防止法案を押し通すことができたのもロックダウン中だった。これは逮捕状なしでの逮捕と無罪での長期拘留を可能とした。批評家たちは、政府に反対する物に対して悪用される可能性があると警告した。
「ドゥテルテの監視は、慣習的な自由民主主義の制度に深刻なダメージを与えた」とアフリカ氏は述べ、「権力の抑制と均衡はほとんどなくなっている」と付け加えた。
「大失敗」
マラウイのコミュニティリーダーであるDrieza Abato Lininding氏は、2017年にISIL(ISIS)グループへの忠誠を誓った武装戦闘機による包囲攻撃を受けた南部のマラウイ市ほど、ドゥテルテの政策が明らかになったところはどこにもありませんという。
攻撃から3年以上、何万人もの人々が避難しており、大統領の繰り返しの約束にもかかわらず彼らの家に戻ることができないと彼は言う。マラウイ市はまた、避難キャンプでのコロナウイルスの拡散を封じ込めようと奮闘している。
Lininding氏は、バンサモロ自治政府が可決されたにもかかわらず、ドゥテルテの政策を「大失敗」と宣言し、「貧困層は貧困層を悪化させており、裕福な家庭も苦しんでいる」と述べた。
「腐敗は蔓延しており、モロ地域だけでなくミンダナオ島全体で最悪です」と彼はアルジャジーラに語った。
彼はドゥテルテが残した「悪い遺産」の中に彼の「虐待を引き起こす軍隊と警察への過度の甘やかしと依存」があると言う。
アルジャジーラへの声明で、活動家グループカラパタンの事務局長クリスティーナパラベイ氏は、ドゥテルテの4年間の権力は、「国家テロ、露骨な不正、および重大な権利侵害の蔓延」になっていると述べた。
月曜日に、宮殿のスポークスマンであるハリー・ロケはドゥエルテを擁護し、健康緊急下に大統領のメッセージはひとつだという-政府は状況に対処するために「政治的な策略でなく」、「最善を尽くしている」という。
「修復困難」
ドゥテルテが大統領としての任期を終えた後でも(フィリピンでは、大統領の任期は1期のみ)IBON財団のアフリカは、記録的な額の債務を含めた未処理の問題について懸念している。
「政府は、パンデミックの前でさえ、2020年に記録的な1兆4000億ペソ(261億ドル)を借りる予定でした。どちらかと言えば、COVID-19はそれの都合の良くごまかした」と彼は言った。
アフリカ氏は、インフラ・プロジェクトのための借入の大部分は「パンデミックによる景気後退の変化する状況の中で、経済的および経済的に実行可能性が低い」と指摘した。
「いわゆる「リカバリープログラム」は、パンデミック前と同様な経済政策のリサイクルであり、これまで以上に不適切である」と語った。
同氏は、「経済を牽引するための債務への依存は、以前も懐疑的だったが、今はなおさらだ」
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